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第268回 「クラウド音楽」を日本にどうやって持ち込むか

2012/02/20

「ネット配信」の音楽市場に変化が起きているようだ。インターネットを通じてパソコンや専用携帯端末、あるいは携帯電話やスマートフォンに配信されるネット配信は徐々にCDの需要を奪い、CD市場は縮小してきた。いずれはCDを上回ると予想されていたが、そう簡単ではないらしい。日本国内の配信市場は2010年時点で860億円だったが、11年は15%程度減少したとみられている。

そこに「クラウド音楽」の大波の音が米国から聞こえてくる。

「クラウド音楽」は手持ちのCDのコンテンツをインターネットを通じてサービス事業者に保管してもらうサービスだ。有料、無料があるが、無料のグーグルのサービスの場合、1人2万曲まで保管してくれる。仮に1000万ユーザーが1人1万曲ずつ保管したとすれば1000億曲のファイルを保管することになる。膨大なストレージが必要になる、と思いたくなるが、そうでもない。ユーザーが保管を依頼する楽曲には多数の重複がある。つまり同じ楽曲を多数のユーザーがアップしてくる。

サービス事業者は同じ楽曲を1万人のユーザーがアップして来ても、ファイルとしては1つしか保管しない。ユーザーは保管楽曲のライブラリーからこの曲を選ぶと、そのファイルにアクセスして聴くことができるが、これは自分のための専用ファイルが保管されているのではなく、1万人のユーザーが共有している1つのファイルが保管されているだけなのである。つまり、サービス事業者は市場にある楽曲の数だけのファイルを保管すれば済むのである。

「ワンソース・マルチユース」の利用方法である。マルチメディア時代の到来が議論されたころ、その利点の1つに、利用資源を節約できる「ワンソース・マルチユース」が指摘された。「1つのファイルを様々なメディアや端末で利用する」または「1つのファイルを多数のユーザーで共有する」。それが現実化してきたいということか。日本では著作権法上の問題から、このサービスは上陸してきていないが、これが出現すると、音楽出版市場は大きなインパクトを受けざるを得ない。ただ、「ワンソース・マルチユース」は社会の理想形からいえば、「あってほしい」サービスである。

問題は現在の仕組みでは、著作権者や関係者に収益をもたらすことが難しいことである。著作者が反射的に拒否するは当然である。しかし、繰り返し強調すれば、この「クラウド音楽」はかつて夢として語られた形なので、その方向に社会は進むだろう。課題は、合理的な収益の配分の仕組みを作ることである。音楽家もユーザーも納得する新しいサービスモデルをきっちりと作ってほしい。「クラウド音楽」を日本で普及させる決め手だろう。

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