HOME > U+(ユープラス) > 奇論・暴論 > 第275回 円高を活かす戦略

U+(ユープラス)

U+のTOPへ

寄論・暴論

コラムニストの一覧に戻る

第275回 円高を活かす戦略

2012/06/04

欧州の金融危機の雲が一向に晴れないので、というより、一層、垂れこめた暗雲が濃くなっているので、ドルに対してもユーロに対しても円高が一段と進行している。日本の景気の状況を見れば円高になるのが不思議で仕方がないが、為替は相対的な問題で、相手国の状況がもっと悪ければ比較的に円の方が信頼されるということらしい。

日本の状況が悪ければ、相対的に強くなった円を利用して海外企業を買収する、というのも円高活用策だ。IT業界でも、海外企業の買収が活発になって来た。日本円にして10億程度の小型の買収から100億円以上の中型、1000億円を超える大規模なものまで毎日、新聞の紙面をにぎわしている。業績が低迷して不振を極めているような企業も海外市場を目指して現地有力企業を手に入れている。

経営学の教科書入門編をひもとくまでもなく、企業買収は時間をお金で買う戦術である。海外市場に進出するのに、自ら現地法人を設け、ゼロから市場開拓するのは時間がかかる。そういう悠長なことでは業績低迷を打開することは難しい。幸い、数年前、1ドル120円台だったころに比べれば、円の価値は1.5倍程度に上がっている。逆数を取れば、3割以上の割安な状況である。金額的な損失リスクが3割以上小さくなったと解釈することもできる。

ただ、海外企業を買収した後、現地法人の幹部、従業員、顧客とどう付き合うのか。そのマネージメントのノウハウを持っていないと大けがをしかねない。情報産業の第一次の海外進出ブームは、日本の製造業、金融業の海外進出のサポート役として一緒に出て行った、という色彩が強い。主役の企業の指示や注文に従って仕事をしていたので、現地社会でビジネスを行うノウハウはそれほど習得できなかったのではないか。

「一度、海外経験がある」と過信するのは危険である。2度目はあっても、3度目があるかどうかは分からない。円高を活用した今回の海外進出を絶好のチャンスと見るだけではなく、「最後の機会」の覚悟で全力を尽くして海外事業を成功させてもらわないといけない。

上記のコラム購読のご希望の方は、右記の登録ボタンよりお申込みください。

登録はこちらから