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第287回 いつまで続く政治の混乱

2012/11/26

12月16日の衆議院議員選挙で政治の混乱が収束するとはだれにも思えないのではないか。多数の新党が乱立して各選挙区で足を引っ張り合うだろうから、当落が投票日直前まで読めないのが現実だろう。政党の名前すら覚えきれない。選挙後はもしかすると、過半数を押さえるための連立の組み合わせに時間がかかるかもしれない。下手をすると、参議院とのねじれが再び生じて、何も決められない国会がだらだらと続く。これも困る。

争点も一挙に広がった。消費税引き上げを「事後承認」するのかどうか。農業だけでなく、サービス業、医業界など、実は多くの業界に影響が及ぶ「TPP」にどう応じるのか。尖閣、竹島、国後など、過熱化する領土問題にどう立ち向かうのか。東日本大震災の復興の足取りはこんなに鈍くて良いのか。原発はどうするのか。就職の機会を失った若者や中高年の雇用の場をどう創るのか。国際競争力を急速に失ったIT業界、家電業界の立ち直りの後押しはどうするのか。有権者は、そのどれを重視して投票すればよいのか。原発について同意する政党がTPPでは考えが違うかもしれない。消費税についても意見が違うとなれば、投票するのも苦痛である。

特にねじれ国会では「とばっちり」で落胆もさせられた。遅れている電子行政の突破を拓くべく、なんとか立法にこぎつけた「マイナンバー法」が審議未了、廃案になってしまったことだ。主要政党は協議の上、対立点は解消して、後は消費税法案と一緒に成立するばかりだったのだが、通常国会では、消費税だけに精力が使われて置いてけぼり。継続審議になったが、臨時国会では間違いないだろうと思われていたのが、それも放り投げての突然の解散である。継続審議は2度はできないのだそうで、廃案となった。

再度、次期国会で法案が出されるだろうが、特別国会で、連立の調整、内閣総理大臣の選任、組閣と作業があった後、ようやく予算案作りに入って、通常国会で特急で予算審議に入る。予算の審議が優先されると、また、「マイナンバー法」は後回しになるだろう。いつまでたっても、電子行政の基礎になる「国民ID制度」は確立されないのではないか、と諦めにも似た感情にとらわれる。

政治の不在が、ここまでマイナスの影響を社会に及ぼすのか。気がつけば、もう十年以上ではないか。あまりにも長い失われた年月である。こんどの選挙では「ねじれ」を解消する新しい枠組みをぜひとも作ってもらいたいものである。

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