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第292回 警告〜〜スマホのセキュリティー

2013/02/04

厄介な問題である。スマホの無料アプリをうっかりダウンロードしたら、情報を抜き取られるなどの被害にあってしまった、という事例が頻発している。昨年末からの1か月の間に、スマホのアプリ、ダウンロードサイト「グーグルプレー(Google Play)」に偽サイトが2つも発見され、それぞれ個人情報を抜き取る不正アプリが9種類ずつ、合計18種類も確認したというのである。

同様の偽サイトはパソコンのソフトウェアのダウンロードサイトにも出現して、個人情報を奪うなどの被害をもたらした。これも問題は深刻だったが、セキュリティソフトを入れれば、適正なサイト以外には、アクセスできないようにマスクしたり、あるいは「危険がある」とユーザーに警告を発する、というようなある程度の防御策ができてきた。

スマホでのセキュリティーの重大な問題は、ユーザーの危機意識の希薄さである。原因は、スマホによってインターネットにアクセスするユーザー層が一気に広がったことだ。「スマホ教室」があるわけでもなく、スマホを利用する際の危険など学習しないうちに手軽に使える便利さで利用者が急増した。無料アプリなどもふんだんに出回っているので、スマホの魅力が初心者のユーザーの間で次から次へと伝わって、インターネットの危険について認識のない初心者が一気に広がった。社会的に重大な危険を抱える事になってしまった。

もちろん、パソコンでの事故も依然として深刻な状況である。ある程度の知識をもっているパソコンユーザーですら、送られてきたメールに添付されたファイルをうっかり開けることによってウイルスに感染して保存していたファイルが盗まれたり、インターネットにファイルをばらまかれたりという被害があったし、乗っ取られて「成りすまし」に悪用をされるという事故があった。誤って逮捕されたユーザーもいる。

しかし、あの小さくて薄いスマホが、そんな危険を抱えている、とは、なかなか考えにくい。無料のアプリに慣れているので、有料の対策ソフトを購入するのには抵抗があるし、無料の対策ソフトが出てくれば、これは最も危険な不正ソフトである可能性を疑わなければいけない、という厄介さだ。

最低限必要なのは、初心者ユーザーに、スマホのセキュリティーリスクを学習してもらうことだ。その際に重要なのは、例えば住所録のような個人情報を抜き取られる、というのは、単に「被害」とは言えないことだ。盗まれた個人情報は、ユーザーのものではなく、それぞれの個人のものである。ユーザーは、セキュリティー対策を怠った故に、安全に保管しなければならない他人の個人情報を漏えいしてしまった。「加害者」でもあるのだ。

自動車運転者は、使用を間違えれば他人に危害や損害を与える危険があるので、運転には期限のある免許が必要だ。善意で運転していても、事故を起こせば「安全運転義務違反」として罪になる。自動車本体も安全に運転できるかどうか、定期的に「車検」を義務付けられる。自動車は便利だが、社会に被害を与えかねないので、利用者を縛るルールが厳しい。厳しすぎるので、利便性が減殺されると思うが、社会的リスクを考慮すると、残念ながら厳しくならざるを得ない。

スマホやパソコンで社会的リスクが高まると、新しいルールが欲しくなる。ただし、インターネットでは国境を越えて情報が飛び交う。日本だけで厳しいルールを課すと、それを基盤にしたサービスの発展を阻害するので、国際競争力を損なう。自動車と同様に論じられない面もある。かと言って放置して良いものではない。スマホの持つ問題点を芽のうちに早く摘んで、健全な情報社会が発展するように、何とか、対応策を考えなければなるまい。

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