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第294回 日本の「GIX」の多重化

2013/03/04

GIXはグローバル・インターネット・エクスチェンジの略称である。インターネットのデータ流通を交換する中継所がインターネット・エクスチェンジだが、地域内のデータ流通を中継するローカル・IXに対して、国内と海外のインターネットデータを交換する中継所と理解して置けばよいか。国内側からみれば、インターネットデータを海外に送出し、海外から来るデータを受け取る玄関口でもある。日本の場合は東京と大阪にある。

膨大な量のデータが往来するインターネットの日本の玄関口が2か所というのは、ちょっと驚きである。国際間を旅客や貨物が行き来する航空路線でいえば、玄関口が成田と関西空港の2か所にしかないということに相当するように思う。こういう状況がどれだけ非効率なうえにリスクが大きいか。大きな自然災害が東京や大阪付近に発生して東京・大阪のGIXへのアクセスに問題が生じたら、日本と海外の間のインターネットでの情報交換、データ交換が機能マヒを起こす。

日本社会の存亡にかかわる危機であるばかりでなく、世界経済に大きな比重を占める日本の企業活動や証券、金融などの市場情報が短期間でもストップすれば、世界大恐慌の引き金をも引きかねない。インターネットについての日本の現状は、日本経済、日本産業界、日本社会にとってリスクを抱えているだけでなく、世界経済のリスクに対しての十分な対策を怠っている状況のように思える。

現在、沖縄では、アジア各地へのインターネットの玄関口となるGIXの構築を目指して投資を進めているが、県独自の施策としてはまだ、力が弱い。時間がかかる。当初はアジアに事業進出する日本企業の情報拠点誘致に有利な施設として構想を進めてきた。しかし、このところは、大災害時の国外へのインターネットのもう一つの玄関口として、日本社会のBCP(事業継続計画)の機能も果たすものである。もちろん、そのためには、もっと高速、大容量の回線に強化してゆく必要がある。

BCPの観点でいえば、東京、大阪に加えて沖縄というだけでは心もとない。北の玄関口としての北海道や福岡・新潟など、複数の地点を考慮して行かなければならない。海底ケーブルだけでなく、衛星回線・無線も採用して、多重化して行く必要がある。

「強靭な国土」は、土木のインフラだけではない。通信インフラ、とりわけ、インターネットのインフラの強靭化も急いでもらいたい。

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