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第295回 技術進展と制度改革

2013/03/18

昨年末の衆院選後に大きく機運が盛り上がった通りに、インターネットを利用して選挙運動を行う「ネット選挙」がこの夏の参議院議員選挙から解禁される。維新の会の橋下徹代表は、衆院選中、「私は逮捕されるかもしれないが・・・」と現在は禁止事項になっているブログの更新を行って選挙運動を行っていたし、街頭での選挙演説の様子を、関係のない第3者がスマホで撮影してフェースブックやツイッターに動画で流す事例などは誰が責任をとるのか、これを取り締まるのは不可能ではないか、など、具体的な問題が多数、発生した。現行の公職選挙法がすでに現状と大きくかい離した制度になって、寿命が尽きていることを実感させられた。それが衆院選後の「ネット選挙解禁」の大きな声になったわけだ。

インターネットを使った選挙運動は、米国大統領選で、すでに5年前の第一期オバマ大統領のキャンペーンで強く印象付けられたが、欧州でも韓国でも、当たり前のことになっている。日本でも早くから、ネット選挙を認めよ、との声が上がっていたが、現行の公職選挙法改定の動きは大きな壁に当たったまま、なかなか前進しなかった。古い制度を固守する意識が強く、改革には大きな抵抗があった事例の1つだった。

しかし、今回、一挙にネット選挙の制度は変わりつつある。これは日本のインターネットの進展を阻む制度も、時機が熟せば変えることができる、と自信を持たせてくれる事例である。

インターネット利用で壁になっている制度は在宅をめぐる医療分野にも、薬品のネット通販の分野でも、激しい論争になっているケースがある。詳細に見れば、もっと多数のケースが出てくるに違いない。今なお、壁は厚く、高い、と諦めてしまいそうになる時もあるが、ネット選挙解禁はこの停滞を打破する大きなきっかけになると確信する。というのも、ネット選挙はインターネットの効用を理解する若い選挙民の投票行動を刺激する効果が期待されるからだ。投票率が低かった若年層が選挙に関心を高めてゆけば、政治の世界に新しい価値観が吹き込まれ、ネットの進展を阻む壁の排除にもフォローの風が吹くに違いない。

ネット選挙の解禁はたった1つの制度改革だが、その波及効果は想像以上に大きい。

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