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第299回 異常気象に備える

2013/05/13

身近な経済現象で望ましいのは「歳時記経済」である。冬は寒く暖房器具や衣服が売れ、夏は暑くアイスクリームやエアコンが売れる。春は梅が香り、桜が咲いて花見に浮かれる。秋には名月を愛でながら酒を味わい、実りの豊かさに感謝する。さらに紅葉の錦に感嘆の声を上げ、寒い冬の到来に備える。

人々は季節の移り変わりに合わせてモノを買い、消費する。生産者は需要を正確に予測して無駄のない生産スケジュールを立て、流通事業者も適正在庫を維持しながら、収益を確保する。経済は順調に循環する。

ところが、この数年の異常気象は、こういう経験則に基づく需要予測や生産計画を大きく外すことになる。

特に、この春は散々だった。経済活動にも影響を与える桜の開花。西日本から関東までは3月中に満開、4月初めには葉桜である。満開の桜の下で新品のランドセルを背負って記念写真に収まる新入生も肩すかし。一方、北日本では、雪が深く、ゴールデンウィークに見ごろのはずの青森・弘前城の桜も、ゴールデンウィークの最終日も3分咲きとのことで、北海道ではゴールデンウィークでも積雪を記録する、という寒波である。西日本も異常なら、北日本も反対方向に異常である。

世界的にも、洪水、干魃、竜巻が、前例のない規模で発生している。

これと関係しているのか、太陽の黒点の発生にも異変が生じているらしい。11年ごとの周期で増減し、今年はその発生数が極大化するピークのはずが、今のところ増加の兆候がなく、地球寒冷化の懸念を指摘する声もある。炭酸ガスの温室効果で地球の温暖化の危機が叫ばれていたが、今度は一転して、寒冷化の恐れである。

どうも、前例が通じず、予測が難しい時代に入ったのかもしれない。

過去の経験を効率よく集計して未来を予測する道具である情報技術は、こういう事態の中でどのように使えば良いのか。もちろん、ノウハウは蓄積されている。例えば、予算と実績を比較しながら、予定通りにゆかなかった事態に柔軟に対応して次の一手を考える「予実管理」もその手法だろう。歳時記経済のような理想的な循環はもはや期待できない、と腹をくくって、情報技術によって異変を的確に捉え、次の適正な方策を考えなければならない。「異変」が「当たり前」の時代に入ったことを肝に銘ずる必要がある。

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