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第300回 「円安進行」の秘密が分かった

2013/05/27

日本の経済が窮迫したリーマンショック以降に円高が進行するという、理解し難い現象が進行した。経済評論家や経済学者の皆さんは、いろいろ解説して下さったが、元経済記者の筆者には、ちっとも納得がいかなかった。

昨年末、政権が交代した後、流れが大きく変わった。それを、再び登場した経済学者や評論家の皆さんが「アベノミクスの効果」と説明しているが、どうも今一つ、腑に落ちない。

しかし、先日、別の見方があることを知って得心した。

その解説によると、円安も円高も、決めているのは、専ら、米国の事情なのだそうだ。自国経済が窮迫した際に、最も効力ある手段は自国通貨安への誘導で、リーマンショック後、経済混迷に陥った米国が採用したのが「ドル誘導」だった。欧州は経済がガタガタだったので、ターゲットになったのは、もちろん、日本だった。その結果、ドル安の影響をまともに受けたのが日本だった。

しかし6年を経過して、オバマ政権は米国経済がしっかりと回復軌道に乗ることを確信し、危機を脱出したサインとして今度は「ドル高」誘導への舵を切った、というのが、円安の進行の理由だ、というわけだ。経済閣僚の国際会議で日本の円安がやり玉に上がるのではないかと心配していたが、諸外国は日本の円安誘導ではなく、米国のドル高誘導なのを知っているから、日本の非難には向かわなかった。心配していたのは、真相を理解できなかった日本のマスコミだけだった、というのが真相のようだ。

この説には、確かに思い当たる節がある。アベノミクスは、タイミングが良かったのである。そのタイミングを引き寄せたのは政治家としての安倍首相の運の強さであるから、安倍首相の価値が下がるわけではない。

さて、その為替水準だが、どこまで円安が進むのか。解答は出ている。米国が苦境に陥ったのはリーマンショックがきっかけだから、リーマンショック以前に戻ると考えるのが自然だろう。1ドル110円が目安になるのではないか。1ドル100円を切り、90円、80円、さらに70円台と円高が進むに連れて日本国内では競争に勝てない産業が海外に拠点を移し、日本経済の低迷が深刻化したのである。普通は、日本経済が弱れば、円高は修正されて円安に転換するかと思いきや、さらに円高が進行するという不可思議さだった。そこへ、米国による「為替誘導」という因子が入れば、方程式はすぐに解ける。

国際競争力を失った産業にソフトウェア開発業や情報機器製造業がある。業界内ではオフショアを次のアジアの国々に拠点を移す動きがあるが、これはやめてもらいたい。この際、日本に回帰して、日本の産業空洞化を反転させることを考えてはもらえないだろうか。ただでさえ縮小する日本市場向けの仕事をアジアに移転するのは、日本産業の死を招くだけだが、その原因が、実は、日本の努力不足ではなく、米国の経済再生政策のそば杖を食っているだけというなら、目を覚まし、日本再生の本当のプランは何なのか、しっかり見据えてみたいものである。日本の情報産業も、本当に蘇るかもしれない。

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