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第302回 台湾のコンテナ型データセンターにショック受ける

2013/06/24

台湾はITの先端技術の採用に意欲的で、筆者にとっても学ぶべきことが多いが、先日、研究集積地域の新竹にある工業技術研究院を訪ねておおいに啓発を受けた。商用化目前のさまざまな研究成果も興味深かったが、最もインパクトがあったのが、コンテナ型データセンターだった。

広い駐車場の端っこに、簡易カー洗車場のように屋根と後壁があって前面が開放されている設備があって、その中に物流に使用するような大型のコンテナが5台、設置されていた。設備の目の前も後ろ側も道路で、車が走っている。特に前面は自動車やオートバイが並ぶ駐車場と狭い道路で対面している。

コンテナ1台に10ラック、1ラックに50サーバー収容というので、このカー洗車場のような小さな空間の中にコンテナが5台なので2500サーバーが収容可能ということになるか。電力線、高速通信回線が引き込まれている。データセンターに不可欠なサーバーの冷却は、外気の自然風による空冷とエアコンによる強制冷却の併用だが、外気の利用によってPUE(電力使用効率=最も完全な場合で1.0、在来型設備は1.4〜2.5以上)は1.2以下というから、驚異的な数字である。

日本国内でも島根県松江市にあるIIJのコンテナ型データセンターはPUE1.2というので、やはりコンテナ型センターの省電効果は絶大である。ここで指摘しなければならないのは、この日の新竹の気温は優に35度を超える猛暑だったことだ。日にさらされたコンテナの前で説明を聞いているだけで気が遠くなるような熱さだった。外気を利用するコンテナ型センターは、高緯度の寒冷地域に向くと思いこんでいたが、ほぼ、北回帰線の真下のような台湾の外気でも十分に適応できるのである。

これならば、沖縄でも南九州でも対応できそうだ。夏には高温になる群馬県館林に大規模なデータセンターがあるが、こういうところでもコンテナ型で行ける。

もちろん、テロや災害に強いとは言えないので、取り扱う情報の種類は考えなければならないが、複数のセンターのシステム連携で相互バックアップすることも効果があるかもしれない。建設コストも運用コストも極端に安いコンテナ型センターを超分散で日本全体に広域配置する網の目の構造を作れば、全体のシステムとして安全性の高い、効率の良い仕組みができるのではないか。クラウド時代を目前にして、データ保管、システム運用の効率化が重要になってくる。根本的なところから、新しいデータセンターの在り方を再検討しても良いのではないか。

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