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第308回 ネットの「民主主義」とは何だろう?

2013/09/17

前回の参議院選挙からネットでの選挙活動が解禁され、国民の声が政治に反映されやすいインターネットの時代が来た、と喜んだが、どうも、事態は、そう理想通りには進んでいないようだ。

2020年、東京五輪招致に絡む問題もその一つである。

国民の多くが2020年東京五輪の決定に沸いている裏で、東京五輪実現に疑問符を抱いていた著名人に対して、「非国民」呼ばわりし、数の力でその意見を圧殺しようとするネット上の発言が目立っているようである。インターネットは、ネットに接続する人々がだれでも自由にその思いを発信できる道具である。だれでもが自由に発言できる環境が民主主義の基盤である。インターネットが登場したときに、まさしく、コスト安く、多様な意見をそれぞれが発信できる道具が登場した、と期待してきた。

しかし、インターネットでは、ある人物を標的にした「炎上」と称する集団リンチがしばしば発生する。何かの意見に賛成する意思表示が支持を集めるというなら、それは民主主義の一つの実現だから良いのだが、事態はしばしば、相手の人格まで否定するような乱暴な罵詈雑言を、しかも数を頼んで、有無を許さない反対意見の封殺、という色合いを見せる。何よりもその攻撃が匿名のもとに行われるのが冷静さを欠いている。

「非国民」というような批判には、数を頼んで反論を許さない、というニュアンスを含んでいる。こうした全体主義的な傾向は、すでにインターネットの中では常態化しているようだが、匿名の気楽さで、標的に対するリンチ者の群れに加わらないように、インターネットユーザーの自制を望みたいものである。

ちなみに言うと、筆者は単純に東京五輪の実現を喜ぶが、併せて懸念や不安も拭えない。例えば、新しい国立競技場のデザインを見ると、爬虫類のようなイメージで捉えてしまい祭典の感が沸いてこないのは私だけであろうか。さらに、招致を決定的にしたと評価されている安倍首相の最後のスピーチの福島原発についての「コントロール下にある」という発言には、直観的にぞっと背筋に走るものがあった。本当に安倍首相のこの発言が功を奏したというなら、「全世界を相手に嘘をついていないか」と同じ国民として、懸念を抱いてしまった。この懸念が杞憂であったとされるよう、全力を投じて福島原発を本当に収束させるべく関係者には努力してもらうことを祈るばかりである。

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