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第315回 防災対策、地方自治体の責務

2013/12/24

当然のことだが、災害を防いだり、起こった災害に対して被害を抑制する「防災」や「減災」の仕事は、地域に責任をもつ地方自治体の責務である。分かってはいるが、実際に、きちんと着手できているところがどれほどあるのだろうか。

筆者はある地域で行政データを2次利用可能な電子データの形で開示してほしいという「オープンデータ」実現の活動に関わっているが、その当初に難航したのが防災関係の行政データのオープンデータ化への壁だった。災害が発生した時点では限られた人員、施設の中で自治体行政機関自身のできることは極めて制限される。民間との協力関係が重要であることは明らかだが、その協力の前提になる各種の防災関連の諸データを当該部署が出したがらないのである。

緊急時に突然、そうしたデータを開示されても活用するタイミングを失う。事前に防災関連のデータを基に、有効なさまざまなサービスを開発するには民間の知恵を活用するのが効果的である。行政の側からだけ見ていては気が付かない豊富なサービスの可能性があるはずである。民間の力をどこまで活用できるか。普段からどのような協力体制を築いておくか。その過程で、行政がもつさまざまなデータが生きてゆくことになるだろう。

先日、沖縄で同県南城市が災害時対策に民間の力を使うためにいろいろ施策を打っている、と聞いて調べてみた。2つのことが目についた。

1つは流通業との協定締結。イオン琉球株式会社、イオンタウン株式会社の両社と、地震や津波等による大規模災害が発生した場合に、協定各社が食糧や生活物資、避難場所などを提供するというもの。もう1つはレンタカー会社との協定。これはニッポンレンタカー沖縄株式会社が保有する電気自動車を災害停電時には同市に提供し、市内公共施設への電力を供給する協力協定だ。

単に物資や電気自動車を提供するだけではなく、恐らくは実際の配給作業やだれにどの物資を配給したかの記録、物資の過不足の予測などを行う作業も一緒にやることになるだろうから、行政のもつデータを利用する必要がある。保秘義務の徹底などの訓練も予め実施する必要もある。オープンデータ化する必要も出てくるだろうし、予めシステムを構築し、習熟して置かなければならない。「備えあれば憂いなし」などと言っているほど時間的余裕はないかもしれない。

全国の自治体で早く、こうした民間との協力協定作りを進めて欲しい。

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