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第317回 東京五輪をサイバー防衛力強化の契機に

2014/01/20

聞くところによると、ロンドン五輪では、大会を運営する情報システムに対して2億数千万回のサイバー攻撃が加えられたそうである。北京五輪の際の7倍だったという。1回ごとに7倍の増加を想定すると、東京まで後2回、ざっと50倍のサイバー攻撃を覚悟しなければならないかもしれない。どうやって防衛するのか。日本のセキュリティー技術の水準が試されるところだ。

2年ほど前から、海外からのサイバー攻撃に対し、日本の企業や行政のシステムをどう守るか、が国家的な重要課題になっている。防衛省にサイバー防衛軍を組織する、ということになったが、その数は数百人規模で、これで日本全体の防衛ができるのかと疑問を持ったら、それどころか、日本全体ではなく、とりあえず行政機関の防衛のための部隊という心細さだ。民間企業は、自助努力で重要システムを守らなければならない。グローバルな大企業の中にも、自助努力をあきらめて、重要な情報システムやデータは専門のクラウド事業者を活用しようとする動きも広がっている。

それにしても、2020年東京五輪で予想されるサイバー攻撃の回数が多すぎる。それまでに、今のペースでサイバー防衛軍をどこまで育てられるか。もちろん、現在の民間のセキュリティー能力のすべてをかけても、この膨大な回数のサイバー攻撃を防ぎ切るのは難しい。心細い限りである。50年前の前回の東京大会では、こういう心配はなかった。ネットワークを経由したサイバー攻撃などは存在しなかった。今回はテロ集団のミサイルなどの物理的な攻撃も心配し、ネットワークからの攻撃にも細心の注意を払って準備しなければならない。気が重い話である。

しかし、ものは考えようだ。五輪の準備に便乗して、日本のサイバー防衛力の飛躍的な強化を図ってはどうか。この祭典に対しては出費を惜しまない大きなトレンドがあるので、「五輪を成功させるためのサイバー防衛力強化」を標榜して、日本のサイバーセキュリティー能力を一挙に向上させる。最大のポイントは人材の育成だが、6年あれば間に合うだろう。この人材は五輪開会を目指して大量に養成し、五輪閉会後は民間企業に散らせて日本社会全体のサイバー防衛の戦力にする。五輪への国民の熱いエネルギーの結集をそのままサイバー防衛にも振り向けるのである。後れていたサイバー攻撃に対する防衛力強化の絶好の機会になるかもしれない。

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