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第329回 「地域ドメイン」の登場

2014/07/07

インターネットのサイトの住所(URL)で「www.」の後や、メールアドレスの「@」の後に続く文字列は、「ドメイン」と呼ばれている。そのうち、最後部の「.××」と締める部分を「トップレベルドメイン」と呼んで、最も大きなグループを表示する。国であれば「.jp」「.us」「.cn」と表記する。企業や組織であれば、「.com」「.org」「.gov」「.net」で終わる。このトップレベルドメインのルールが変わっていろいろなドメインが認められるようになったが、そのうち、最も興味深いのが地域名を表記する「地域ドメイン」の動向である。

国際的なドメインの管理組織であるICANNが地域ドメインを認めることになってから、世界の著名な都市が一斉に地域ドメインの申請を行って、すでに、「.nyc」(ニューヨーク)、「.paris」(パリ)、「.london」(ロンドン)、「.berlin」(ベルリン)、「.joburg」(ヨハネスブルグ)、「.wien」(ウイーン)など数多くの都市の地域ドメインが承認され、運用を開始している。

日本の都市では「.tokyo」(東京)、「.nagoya」(名古屋市)、「.osaka」(大阪)、「.kyoto」(京都)、「.yokohama」(横浜)、「.okinawa」(沖縄県)などが審査を通過、もしくは審査中である。沖縄からは「.ryukyu」(ドット・琉球)も申請されたが、自治体名ではないということで認められなかった。しかし、一般の分野でのトップレベルドメインとしては認められている。

この「地域ドメイン」または「.ryukyu」のように地域を現すドメイン名がトップレベルドメインとして使用できる効果は、観光事業者や特産品を生産、販売する農業、商工事業者にとって地域をアピールできる効果が大きい。例えば沖縄を例に挙げると、ホテルで、「沖縄都ホテル」の現在のURLはhttp://www.miyakohotels.ne.jp/でドメイン名からは沖縄のホテルであることは全く分からない。独立系の情報サービス業大手の「OCC 社」のURLはhttp://www.occ.co.jp/で、ここでも沖縄の痕跡もない。同様に「りゅうせき」は http://www.ryuseki.co.jp/、泡盛の大手酒造「瑞泉酒造」は http://www.zuisen.co.jp、最大のリゾート施設「カヌチャリゾート」はhttp://www.kanucha.jp/、沖縄最大のスーパー「スーパーサンエー」はhttp://www.super-san-ei.co.jp/、沖縄を代表する観光ポイントの「首里城公園」はhttp://oki-park.jp/shurijo/、同様の「美ら海水族館」もhttp://oki-churaumi.jp/と、これらのドメイン名には沖縄や琉球をうかがわせるものはない。

これらが、「.jp」の代わりに「.okinawa」や「.ryukyu」をつければ、それだけで沖縄にあることをアピールできる。同じように沖縄に法人を作った県外企業も、沖縄法人のURLに「.okinawa」や「.ryukyu」を付ければ、アピール効果は十分にあると想像できる。

これまでのドメインは、住所番地の感覚だったが、これからは「ブランド」としての価値を高めてゆく重要なツールに変わってゆきそうだ。

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