HOME > U+(ユープラス) > 奇論・暴論 > 第335回 異常気象に立ち向かえ!
2014/09/29
今更、言うまでもないように思うが、やはり、ニュースに接すると思わず、どうすれば良いのか、ため息が漏れてしまう。
名古屋で地下鉄の駅に雨水が大量に流れ込んでしまった、というニュースである。10年近くも前だったか、東京でも、地下鉄銀座線の溜池山王駅で同様に大量の雨水が流れ込んで改札口が水没する、という被害が出たことがある。そのころの溜池山王駅は、新しく開設された駅で、改札口は相当、深く掘られたところにあったので、設計ミス、雨量の想定ミスだと、例外的な被害だと思っていた。しかし、今回の名古屋の被害は、古くからある駅なのではないか。これまでの前例を覆す想定以上の豪雨による被害なのである。
設計ミスではなく、雨量の方が異常なのである。
しかし、その雨量であるが、ニュースによると「1時間に30ミリという激しい雨」だったそうである。一瞬、耳を疑ってしまう。最近では1時間に100ミリや120ミリの記録的な集中豪雨が頻発している。それに比べると1時間30ミリというのは大したことがないように思えてしまうから恐ろしい。一時代前なら、1時間30ミリは猛烈に激しい雨である。
おそらく、古い地下鉄の場合は、防水設備も1時間30ミリ程度を基準にしていたのではないか、と想像する。今や、その程度の想定では防ぎ切れない降雨が当たり前になっている。とすると、古い地下設備は危機的な状況になっているのではないか。ぞっとさせられる。
もちろん、地球温暖化による海水温の上昇で、蒸発する海水の量が増加し、そのエネルギーが暴風を強大化させ、集中豪雨の頻発、降雨量の極大化を引き起こしている。世界中で洪水が起きている。熱分布に異常が生じているので、洪水のすぐ隣では、乾燥化、干ばつの被害も広がってゆく。
地球温暖化は、これからさらに加速化すると予想されている。これまで、太陽光(熱)を跳ね返して地球外に追い返していた北極や南極の氷が溶けつつある。大気圏の中にこもる熱量が急増して、ますます、温暖化に拍車をかける。海水面の上昇は避けられない。海岸線が後退して、世界中で陸地面積は減少してゆく。
シベリアの凍土が溶けだして、冷凍して封じ込められていたバクテリアや細菌類が息を吹き返して、渡り鳥によって人間の生活圏に運び込まれる危険も出てくる。人間がすでに免疫を失った太古のバクテリアや細菌は、治療法が分からない伝染病として大流行するかもしれない。パンデミックの脅威も迫っているのである。
温暖化へと転がり始めた地球環境を、逆方向に回転させるのは簡単ではない。せめて、我々は、防水設備の背丈を高くし、大量の降雨を乾燥地帯に回す導水路を整備し、新しい疫病が発生したら直ちに細菌の遺伝子を解析してこれを制圧する処方を編み出し、熱中症や異常な冷気にも耐えられる住環境を準備することで、当分をしのぐほかないかもしれない。
そういう中で、情報・通信技術の発展が、人類存続のカギを握るのは間違いない。
さしあたって、パンデミックに備えて、どこでも仕事をこなせる「テレワーク」の仕組みを作ることくらいは、今からでも始められそうである。