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第340回 アプリ情報収集――ツイッターへの不信

2014/12/08

ツイッターが、利用しているスマホにインストールされているアプリ情報を収集して利用することをユーザーに通知してきて、インターネット上では「プライバシー侵害ではないか」と議論になっている。ツイッターの主張では、スマホにインストールされているアプリの種類を知れば、関心の所在、趣味などがより正確に把握できるので、絞り込んだ広告メッセージなどが表示できて、ユーザーにとって役に立つサービスである。

確かにアマゾンから始まったリコメンデーションの機能では、ユーザーの関心を推測して、関心のありそうな商品を提案してくるので、便利だ、という声は多い。しかし、一方で、自分のプライバシーを覗かれているようで気味が悪いという声もまた少なくない。

今回のツイッターの場合にはもっと本質的な反対論がある。アマゾンの場合にはアマゾンで購入した情報はアマゾンのサーバーの中にある。しかし、今回のようなスマホ端末に保管しているアプリ情報は、ツイッターには関係のない、ユーザー個人のものではないか。それを勝手に収集して、ユーザーの目が届かないところで情報処理する、というのはそもそも知的財産権の侵害ではないか。どんなアプリをインストールしているか、という情報はユーザー自身のものである、という主張だが、これは成り立たないのだろうか。

ツイッターは、このサービスを望まない人は、多少複雑な手続きが必要だが、ある機能をオフにすれば、情報収集を拒絶できる、と説明している。だが、一般のユーザーには納得できない説明だ。勝手に情報を収集しておいて、不満ならば、複雑な操作をして機能を遮断すればよい、というのは、本末転倒ではないか。新しいサービスを発表して、望む人は申し込んでください、という「オプトイン」(ユーザーが事前に選択できる仕組み)」が当然ではないだろうか。

しかし、米国ベンチャー企業のこれまでの成長を見ていると、そういう批判があるかどうかなどは気にせず、まず、やってみて、抵抗が大きければやめる、という発想がある。抵抗が小さければ突っ走ってビジネスを拡大し、社会に定着したら勝ちである。それがビジネスのスピードを上げ、次々と革新的なサービスを誕生させている原動力である。

これに対して日本の社会的風土では事前に了解をとって、石橋をたたいてからサービスに取り掛かる。合法か違法かのグレイゾーンなら日本企業は踏み出さない。米系ベンチャーはグレイならスタートする。社会の活気の違いがここら付近にあるかもしれないので悩みどころだ。

とはいえ、プライバシーにまでずかずか入って来る米国型サービスに対する不信が強くなったのは確かだ。

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