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第351回 自動運転への激しい潮流

2015/05/11

連休中に、独ダイムラーが、米ネバダ州の高速道路で、自動運転トラックの走行実験の許可を得た、というニュースを聞いた。事故の多いトラックの長距離走行で自動運転が実用化すれば、事故件数は大幅に減少すると期待される、というコメント付きである。安全・安心社会実現に、ICTが大きく寄与する。

ICTの適用分野として急進展中なのが、自動車の「自動運転」である。運転者が操作していないので、「運転」ではない、として「自動運行」「自動走行」「自律走行」あるいは「自動操舵」など、別の呼び方をするべきだという指摘もあるが、ここでは、慣用に従って「自動運転」としよう。ただ、今のところ、「完全自動運転」つまり、「無人運転」ではない。「完全自動運転」を目標にするが、一部で許可され始めたのは、運転者が運転席にいる「ドライバー支援型」の「自動運転」である。

米国では2012年ころから「試験運行」が行われていたが、さらに進んでネバダ州やカリフォルニア州などの先進的な州で、公道を自動運転車の走行が許可され始めた。グーグルに対して「完全自動運転車」も試験走行が認められた。日本は公道の試験走行の認可が始まっているので、それほど米国の現状とは離れていないが、米国の方が緩いので、日本メーカーや欧州のメーカーも米国での自動運転車の投入に力を入れている。

市場規模は2035年に1180万台とする予測もある。ただ、一度普及し始めれば加速する傾向があるので、この予測は上振れするかもしれない。先端技術の進展は、概ね、前倒しになる。特に、ICT関連の予測はいつも前倒しになる。

もっとも、最近の自動車では、センサーと情報処理によって部分的に自動運転もどきの機能が相当に入り込んでいる。

多くの人が苦手な車庫入れだが、カメラで映した背後の様子をカーナビのモニターに映し出て運転者がハンドル操作するところから一歩踏み出して、自動誘導に進んだ車種もある。追突や前方障害物への衝突を防ぐ自動ブレーキなどのシステムも普及し始めた。センターラインや車線を検知して、車線はみ出しを直ちに警告する機能も、自動修整につながる技術だ。前方の自動車に近づきすぎると、距離と速度を計算して「前方の自動車が近づきすぎている」と警告を発する。交差点で信号が変わったのに気がつかないと「前の車両が発車した」とアドバイスする。周辺の安全を確認するセンサー機能が合わされば、これも自動運転につながる技術である。

こういう自動車を運転してみると、自動運転がそう遠くないことを実感する。もちろん、事故が起きた場合の責任の所在の認定、どの部品に問題があったのか、など法的に解決しなければならない問題も多いが、市場が開き始めれば、法的問題も「保険」などの形で処理できる部分もあるだろう。自動運転時代はすぐそこまで来ている。

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