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第357回 安全な社会インフラとして、マイナンバー制度の創設を

2015/08/03

秋田市の職員がDV(家庭内暴力)を逃れて転居していた女性の新住所を加害者の夫の問い合わせに応じて教えてしまうというミスを犯していたことが発覚した。女性は住民基本台帳の閲覧制限の手続きをしてあったが、夫が他の証明書の発行を請求してきたため、閲覧制限に気が付かずに新住所を記載した証明書を渡してしまったという。

申請主の夫と女性との住所が違うことに不審をもった職員がすぐにミスに気が付き、女性を再び転居させることによって事件になることを回避したという。転居費用の77万円を秋田市が負担した。DVの加害者の夫が女性の新住所を探していたのは、何らかの危害を加えるのが目的だったと考えられる。その意味では次の犯罪が起こる一歩手前の危険な状態だったことになる。

この不自然な行為をしている加害者の夫に対して、監視をより強めるなどの方策はないのだろうか。逃げ隠れするだけの生活を強いるのも、すでに「人権侵害」の領域ではないか。加害者側の「人権」が守られて、犯罪が起きるまで手を出せないというのは、どこかおかしい。

いくつか前例もある。やはり住基台帳の閲覧制限をしていたDVの被害女性が、市の職員が別の証明書の発行を申請されて、あっさりと新住所入りの証明書を発行し、女性の殺害につながった。つい最近も、同様に住基閲覧制限をかけていた女性が別の証明書発行でDV被害者の保護施設であるシェルターに入っているのを突き止められ、施設前に自動車で待機され、門を出てきたところを車でひかれる、という事件があった。

これらは、住基ネットと連動させていないために、閲覧制限がかかっているのを他の証明書の発行時に確認できなかったのが原因である。住基の利用分野を狭くして、閲覧制限のような重要な情報が共有されないシステムにしたことの罪は大きいのではないか。

マイナンバー制度でも一律に利用制限をしているために、逆に、重要情報が共有できないために引き起こされる不都合は発生しないだろうか。マイナンバー制度は公平で豊かな新しいネットワーク社会を築くために創設される。DVの被害女性がより安全に暮らせる情報インフラとして機能するように設計してもらいたい。

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