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第359回 マイナンバーカードの一括申請?

2015/08/31

マイナンバー制度の利便性を高める道具の一つがマイナンバーカードである。10月第一週から国民一人一人に住民票のある住所にマイナンバーの通知カードが送られて、国民は市役所や区役所などの自治体窓口にマイナンバーカードの作成を申請することになっている。

ところで問題はその受け付け体制である。身分証代わりにもなり、用途も多くなりそうなマイナンバーカードの申請に、住民が一斉に申請窓口に押しかけたら、とても対応しきれないということである。申請書の郵送か受け取りの郵送か、どちらかは郵便が利用できるかもしれないが、必ず、職員が対面して顔写真が本人であることを確認しなければならない。臨時窓口を作って処理能力を一時的に強化するにも限界がある。

さらに長い列を作って順番待ちをすることになりそうないやな予感がする。

そうしたことを背景にして、先日、マイナンバーカードを「職場や学校で一括申請」する方針がある、という報道があった。

従業員や学生・生徒が自治体窓口に出向かなくても、職場や学校で申請代行をしてくれる、という話のようだ。報道の内容では、自治体の職員が職場や学校に出向いて、顔写真などの本人確認をして受け付けてくれる。

総務省が発表しているマイナンバーカードの受け取りの方法の説明資料にも、以前からこの一括申請について触れられていたようだが、実のところ、文章で表現しているほど生易しいものではない。

生徒や従業員が地域にまとまって居住している場合には、対象となるのは数自治体で、「窓口」の学校や職場への「出前」はできるだろうが、大都市で従業員や学生の居住地も広域であるような場合には難しい。また、従業員の少ない中小企業では、わざわざ職員を派遣しても効率が悪い。やはり一定以上の規模が必要だが、そうなると居住地が広域になってこれも難しくなる。

一括申請について、これまで言及が少なかったのは、こうした困難が予想されているからだが、今回、新聞報道があったということは、方法に工夫がされて、問題点が解決されたということか。あるいは議論を起こして問題点解決の道筋をみつけるきっかけにしようというのか。

現実問題として、一斉に自治体の窓口にマイナンバーカードの申請者が殺到して、処理が大渋滞を起こすということは回避してほしい。今回の記事をきっかけに、真剣に受理体制の整備を考えてほしい。

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