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第390回 長寿国ニッポンを実感

2016/11/14

喪中につき年賀状を欠礼する、という案内が舞い込む季節になった。

そのあいさつ文をみて驚くのは、ご不幸があった親族の方の年齢が100歳を超える例が多くなったことだ。義理の伯父も5月に99歳で亡くなったが、その半年前までは認知症を患っている夫人を立派に「老老介護」していた。ちょっと風邪をこじらせた途端に、惜しまれながら伯母を残して他界した。4年ほど前、96歳のお祝いを考えていた時には、「iPadの新しい機種を使いたい」というので、甥っこたちがお金を出し合って希望の機種をプレゼントしたくらいに元気だったのだが。

気になって100歳以上の老人が生活している地域はどこか、厚生労働省の統計をチェックしてみた。

今年の敬老の日を前にして、厚生労働省が発表したデータによると、全国の100歳以上の高齢者は6万5692人、昨年より4124人増えた。もちろん過去最高である。

人口10万人当たりでみると、最も100歳以上の小高齢者が多いのは、島根県(96.25人)、次いで高知県(87.93人)、鳥取県(84.84人)、鹿児島県(82.78人)、香川県(82.60人)と「過疎」のイメージの強い県が上位に並んでいる。ちなみに国立社会保障・人口問題研究所の2040年の人口予想ランキングでは、最下位47位が鳥取県、最下位から2番目が島根県、3番目が高知県である。100歳以上上位3県が、人口予想最下位3県と同じである。

ちょっと違和感を覚える。

長寿を支える要素の一つが「医療機関の充実」だと思うが、島根、高知、鳥取、鹿児島、香川には、失礼ながら、山間の「無医村」をつい、連想してしまう。

人口100歳以上の高齢者の10万人当たりの比率で下位に並ぶのは、一見、医療が充実している都市部の都府県で、最下位は埼玉県(30.97人)、次いで愛知県(35.05人)、千葉県(38.27人)、大阪府(39.12人)、神奈川県(39.19人)、宮城(40.32人)、東京都(41.49人)と下位グループを占めている。どうやら「山間部」のイメージの強いところの方が高齢者でも、超高齢の方には生命を永らえる環境が整っているのではないか、と考えさせられる。

最先端の医療機器や情報システムが張り巡らされた都市部では、逆に、超高齢者は生きにくいのか。何のための先端機器なのか、少し考えさせられる。

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