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第395回 家電製品が危ない〜〜攻撃被害広がる

2017/01/30

たびたびサイバーセキュリティ関連の話題を取り上げて煩わしく感じる方もいるかもしれないが、それほど、サイバー攻撃が深刻な事態になりつつある。

報道によると「防犯カメラやテレビなどの家電製品がサイバー攻撃の標的になっている。昨年12月の攻撃件数は1月(昨年)に比べ7.4倍に急増した」。1年間で7倍になったということである。「ウイルスの感染」というとパソコンの話かと思いがちだが、いまやスマホもウイルス感染が問題になっているし、いよいよ家庭電気製品にまで、その脅威が広がりつつある。

その原因は「IoT」である。すべての「モノ」がインターネットにつながって各種のデータを発信して情報を集積、価値のある情報を生み出し、また、「モノ」にフィードバックして「モノ」が最適に作動することを助ける。「IoT」は情報通信技術によって新しい価値を創造する人類にとって新しい素晴らしい道具なのだが、「行け行けどんどん」と走っているうちに、サイバーセキュリティの大問題が浮上してきているのである。

インターネットにつながった結果、ネットワークを通じて無数のハッカー(ネットワーク攻撃者)が狙う格好の標的になってしまった。多数のコンピューター部品を搭載して自動運転の比率が高まりつつある自動車では、インターネットからのハッカーの侵入によって誤作動する危険が高まった。工場の工作機械やロボットが異常行動を始めるなど、不審な状況が多発している。重大な事故につながる危険があるので、セキュリティ対策に必死の努力が続いているが、いよいよその攻撃の対象がネットワークと接続を始めた家電製品にまで広がってきたというわけである。

サイバー攻撃のモニタリングは警察庁の「ねっと観測装置」で感知した家電製品攻撃の兆候と見られるものを集計した。観測装置の1アドレス当たり1日平均1692回というから大変な数である。防犯カメラ、ネット接続できるデジタルカメラ、録画機器、テレビなどが狙われたとみられる。

感染すると、たとえば、テレビがまったく作動しなくなる、防犯カメラをのぞき見られるなどの危険がある。さらに侵入した家電製品を「乗っ取って」、これを踏み台にして他のサイトの攻撃に使う、というような場合には、ユーザーは「被害者」ではなく気がつかないうちに、加害の「共犯者」になってしまう。

これまではサイバー攻撃について考えずにネットワーク接続の家電製品が普及しているが、セキュリティソフトの提供会社もこれらネット家電用の製品を提供し始めている。攻撃する側と守る側は「いたちごっこ」で攻防を繰り返すので完全な防御は難しいが、しかし、ネット家電製品を使うユーザーは、今後はこうしたソフトの製品を利用することを忘れてはいけない。メーカーも攻撃を防ぐことを前提にした製品設計を進めるべきである。

しかし、現状は、無防備な家電製品がある程度、出回っている。便利さと危険は隣り合わせであることを意識して利用するようにしてもらいたい。

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