デジタルコンテンツカタログ 131

ウチダ デジタルコンテンツカタログ Vol.131


>> P.28

新学習指導要領とICT活用「主体的・対話的で深い学び」のための教師の手立てとICT活用内田洋行教育総合研究所東北大学大学院堀田龍也先生内田洋行と東北大学大学院情報科学研究科(担当:堀田龍也教授)との共同研究プロジェクトでは、教師がどのように授業設計をすれば「主体的・対話的で深い学び」を実現することができるのか、そのためにどのような学習環境を用意すれば有効なのか、という研究テーマに取り組んできました。プロジェクトの成果である本内容は、主体的・対話的で深い学びを実現するために、授業改善の視点のもと、先生方がこれまで行ってきたいわゆる「教師の手立て」を生かすことに加え、その際に効果的なICT活用について、教師の皆さんのヒントにしてもらうことを目的としてまとめました。「主体的・対話的で深い学び」を実現するには……Point1問題解決的な学習過程を取り入れる。これからの社会では、誰かに指示されて、促されて勉強をするだけの人は、もう通用しません。自発的に知識や技能を学び、習得した知識や技能を積極的に活用する人、社会に積極的に関わり問題解決に取り組む人。新学習指導要領では、そういう人材を育もうとしています。受け身で教わるだけでなく、問題発見・解決を念頭に置いた学習過程を取り入れることで、自分から主体的に学ぶ、他者と意見を交わして多様な考えを取り入れながら学び、その結果として知識がもっと深まり、構造化され堅牢になっていく。それが、主体的・対話的で深い学び」なのです。■問題解決的な学習過程新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」は、1単位時間の授業の中で全てが実現されるものではなく、単元や題材のまとまりの中で実現されていくことが求められています。問題解決的な学習過程のどの部分で、どのような学習活動を設定するのかが重要です。課題把握課題追究課題解決振り返り課題把握の過程では課題追究の過程では課題解決の過程では振り返りの過程では学習課題を提示して、学習のねらいを明確にします。学習に取り組む前に、子供自身が「何を」「どのように」学ぶかという見通しを持つことで、自ら進んで学習に取り組む意欲を高めます。仮説を立て、それに基づいて各種の資料から必要な情報を集め、比較や分類、関連付けたり、試行錯誤したりしながら、考えを深めていきます。これらの活動は子供たち同士で取り組むことも重要です。筋道を立てて考えたことをまとめ、導き出した結論を発表したりレポートにまとめたりして表現します。また、互いの結果をもとに話し合ったり、相互に評価しあったりする活動を行いながら、より深い学びを実現していきます。これまでに学習したことを振り返り、学習したことの意義や価値を実感し、学習内容を確実に定着させます。また、取り組んだ内容をもとに新たな課題を見つけるなど、次の学習活動への活用につなげます。Point2授業改善の視点を持つ。「主体的・対話的で深い学び」は目的ではなく手段です。これまでは、例えば「対話をさせればよいのだろう」といった誤解もありましたが、そうではありません。それぞれの学習過程の中で、主体的・対話的で深い学び」を実現するために、どのような視点に立って授業改善をしていけばよいのか、常に意識していくことが重要です。教育用デジタルコンテンツカタログ2021問題解決的な学習過程の中で、どのような授業改善の視点を持てばよいのでしょうか。新学習指導要領解説では、「主体的な学び」対話的な学び」深い学び」の3つの視点に立った授業改善を行うことが示されています。そこから授業改善の視点をキーワードとして取り出し、比較的実施しやすいと考えられる学習過程に位置付けました。


<< | < | > | >>