HOME > 公共分野 > 自治体分野 > 導入事例 > [長野県諏訪郡富士見町]富士見 森のオフィス
木の質感にこだわり、森の風景と調和した「山小屋風」のオフィス空間。無線LAN環境も整備され、自然に囲まれながら快適に仕事ができる
空間デザイン、造作家具、什器備品
平成27年12月にオープンした「富士見 森のオフィス」。都心の企業が行っている業務を、ICTを活用することで場所にとらわれずに働くことができるテレワーク拠点として開設されました。
豊かな山林に囲まれる美しい森の町富士見町は、近年若者が都市圏に流出し、人口の維持が課題となっていました。そこで町が着目したのが「テレワーク」。テレワークによる企業誘致・移住促進を目標に「富士見 森のオフィス」が開設されました。「東京の仕事をそのまま続けられれば、豊かな自然に囲まれながら充実したライフスタイルを実現できる。富士見は東京まで『程良く近い』ことに加え、『程良く遠い』ことから耐災害性が高く、企業にとってメリットが多い。テレワークの推進で新しいライフスタイルを希望する子育て世帯や若者の移住が進むと確信した」(小林一彦町長)
テレワークにより人口維持や地域活性化を目指す取り組みは、地方創生の最先端モデルとして注目を集めています。
既存施設のリノベーションで誕生した「富士見 森のオフィス」。外観は木をふんだんに使用した「山小屋」風で、森の風景に調和しています。内部も開放的な空間や木の質感を重視した内装、木製の造作家具など、居心地にこだわったオフィスです。
「木の質感とモダンデザインの融合がコンセプト。」と小林町長が笑顔で語るように、都心のオフィスにはない働きやすい空間です。
またテレワークにとって重要な通信環境にもこだわり、ギガビット無線LANを導入、本社と離れた場所でも違和感なく仕事が進められます。
さらに共有フロアには木製ミーティングテーブルを置きコワーキングスペースとして整備。入居企業はもちろん、フリーランサーや町民にも開放され、オフィス内で自然にワイガヤが始まります。バーベキューも可能な庭があるなど、都心の画一的なオフィスとは全く異なるサテライトオフィスとなっています。
森の中のオフィスであることにこだわった「富士見 森のオフィス」は、働く人からも好評です。
「通信環境が整い、働きやすいオフィスです。今後はこちらに訪れる地域住民の方と一緒に何か新しいことを始められたら、と考えています。」(長野市内からの移住者)
「自然に囲まれ、リラックスして働けます。休憩時間に森の中を散歩してリフレッシュでき、休憩場所の少ない都心にはない働き方ができます。」(都内からの移住者)
「『富士見 森のオフィス』だけでなく、第二、第三のオフィスも企画し、さらなる企業誘致や移住を促進していく。また地域おこし協力隊を導入、入居者と町民の交流を進め、森のオフィスから新たなイベントを起こすことで地域を盛り上げたい。さらに定住を促進するために、住宅支援や子育て支援にも力を入れていく。大切なことは都市部の仕事を誘致することではなく、富士見町の活性こそが最終目標」(小林町長)
ビジネスのニーズ、そして「人」のニーズを満たし、地域を活性化する―そんな富士見町の取り組みは、全国で取り組まれている地方創生の先端的な取り組みとして今後も注目を集めていきそうです。
若者の流出を食い止め、かつ人口を増やすという富士見町の課題を解決するために、自ら発案した事業の一つが「富士見 森のオフィス」です。民間企業では以前よりテレワークのニーズがあり、自治体でもその入れ物だけを用意することは難しくありません。しかし都市部での仕事を継続するためには、ネットワークをはじめとするICTが肝となります。これは民間のIT企業で長年働いてきた私でなければできない、と決断してこの事業を実行してきました。ほかにも観光や農業、福祉やエネルギーなどの分野とICT産業を結びつけた事業を進めており、移住や定住の促進に効果が表れています。地方創生はビジネスとして成立させることで初めて、ニーズを満たすものとなると考えています。
今後は移住してきた若い世代のために、子育て支援や住宅支援などの政策も実行していくほか、移住者が町へ溶け込んでもらう施策にも力を入れ、定住人口の維持と地方創生に取り組んでいきたいと思います。
取材日:2016年4月。掲載内容は取材当時のものです。
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