HOME > 公共分野 > 自治体分野 > 導入事例 > 川崎市住宅供給公社 様 まま&きっずひろば
扉をあけるとふわっと木の匂いに包まれ、木のやわらかさや温かさを肌で感じられる空間に
空間デザイン、内装工事、造作家具、什器備品(スギコダマ、ひのきのたまごプール、おもちゃ)
平成29年4月にリニューアルオープンした「まま&きっずひろば」。川崎市住宅供給公社が子育て支援の一環として地域に開放していた当施設は、木の魅力を知り、自然への理解を育む「木育」の拠点施設として生まれ変わりました。
川崎市では、国産木材を積極的に使っていく取組を進めており、川崎市住宅供給公社は住宅政策実施のパートナーであることから、「川崎市公共建築物等における木材利用の促進に関する方針」に基づき、今回の木質化内装改修を行いました。選んだ場所は、子育て応援に力を入れる川崎市が「子育て等あんしんマンション」として認定している川崎市住宅供給公社の「スターブル塩浜」の集会室です。以前より、地域住民に愛されていた子育て応援施設だからこそ、国産木材に溢れた空間に生まれ変わることで、川崎市の「木育」を活性化させる役割を担っています。
扉を開けて初めに感じるのは木の香り。床材には厚さ30mmの宮崎県産杉を使用し、木の温かさややわらかさを肌で感じられます。大人も子どもも床にぺたっと座っている光景は、無垢材を使用した空間ならではです。木の抽象性は、子どもの創造性を刺激すると言われています。子どもたちが夢中になって遊ぶ「木育ひろば」には、造形作家・有馬晋平氏により杉を削りだしてつくられたオブジェ「スギコダマ」や、ひとつひとつ手作業で丁寧に磨きあげられた「ひのきのたまご」のプール、また壁面で遊ぶ「マグネット積み木」など、杉の生命力に触れた子どもたちの想像力がぐんぐん膨らむ木のおもちゃで溢れています。
また「まま&きっずひろば」は、保護者同士が出会う場でもあります。たたみの「くつろぎスペース」では、絵本を読んでゆったり過ごしたり、子育ての悩みやヒントを共有する癒しの空間となっています。大人も子どももついつい長居したくなる、居心地の良い空間が、木の香りと共に広がっています。
木のおもちゃや『スギコダマ』を取りいれ、こどもが夢中になって遊べる「木育ひろば」
たたみの上で、絵本を読んだり、お昼寝ができる「くつろぎスペース」
「マグネット壁面あそび」。木のおもちゃの抽象性はこどもの創造力を育てます
こどもたちに大人気の「ひのきのたまごプール」
木の飾り棚に並んだ絵本が子どもの「これ読んで!」を刺激。親子のふれあいが広がる
「木質化による良い影響を受けているのは、子どもだけではない」と話すのは、「まま&きっずひろば」を運営する川崎市住宅供給公社の「まま&きっずひろば」スタッフ松本様。「以前はおもちゃにすぐに飽きてしまう子どもが、木のおもちゃを置いてからは不思議と飽きずに遊び続けています。そんな子どもたちを見ているお母さん方の表情をもまた、以前より優しくなったように感じます。ここで過ごす全ての人が木に癒されているのがわかります。(工事前から)『木は良い』という話は聞いていましたが、木質化空間で日々過ごしている今、『木の良さ』を肌で実感しています。」(松本様)
「まま&きっずひろば」は子どもが木に触れる空間であるのと同時に、子育て家庭のお母さん達がコミュニティを築き、安心して過ごせる「居場所」にもなっています。
リニューアルオープンして1ヶ月が経過した頃、「まま&きっずひろば」にいくつか変化が訪れました。その一つは、新規利用者層の変化です。以前までは既存の利用者の紹介で訪れる親子がほとんどでしたが、リニューアルオープン以降、直接ひろばへ問合せをして新規登録をする親子が増えています。
もう一つは、「木」の変化です。「ここで過ごしていると、木が生きているのを感じる」と話す松本様。時間の変化とともに、滑り具合や肌ざわり、色合いなど木の表情も日々変化します。決して良い変化ばかりではありません。しかし、松本様は「その変化を受け入れ、ゆっくりと木の様子を見ていきたい」と言います。「ひのきのたまご」の肌ざわりが悪くなれば、利用者と一緒に磨きながら「木との付き合い方」への理解を育むワークショップの開催も計画しています。
今後も川崎市住宅供給公社は、子育て家庭が安心して暮らすことができる居住環境の提供を行っていきます。そして、これまで以上に活気溢れる「まま&きっずひろば」は、子どもたちを「木好き」に育てる「木育」の拠点施設として、川崎市の子育て家庭を温かく支えていきます。
取材日:2017年5月。掲載内容は取材当時のものです。
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