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ホストコンピュータからのシステム再構築に対して、共通基盤となるマイクロソフトActiveDirectoryを中心に各システムを展開。エンドユーザに直接利用されるシステムから、管理者がシステム運用に利用するシステムに至るまですべてを連携することで、利便性、運用性、セキュリティを最大限に引き出して活用中。
豊島区では、長年にわたり基幹系業務システムをホストコンピュータで運用しており、それぞれの業務システムが独立したクローズドの環境でした。当時、多くの自治体がホストコンピュータからオープン系への切り替えを進めていたこともあり、オープン環境へ移行していきたいという思いを抱いていました。そこで、2008年にシステム再構築の計画を策定したのですが、予算や人員の調整なども考慮し、長期計画で段階的に整備を行うこととなりました。
オープン化を進めていくなかでキーになったのは共通基盤です。先行していた自治体を見ていると、パッケージ化はできているものの、他の業務との横の連携をとるのに苦労されていたので、とにかくパッケージ化するというのではなく、しっかりとした共通基盤を構築し、その上にアプリケーションを載せて連携を図るという形で進行しました。
ホストコンピュータで運用していた当時も、特に使いにくいというようなことは少なかったのですが、特殊な言語の世界のため、職員を教育するのも大変でしたし、保守・管理を依頼するベンダーさんも限られてしまっていました。システム共通基盤というプラットフォームを作る上では、汎用性が高く一般的に使用されている製品が良いのではないかという考えと、当時ウィンドウズサーバで運用しているシステムが多かったこともあり、情報基盤システムの中核にあたるActiveDirectoryやユーザー認証など、マイクロソフト社製品での構築に舵を切りました。当初は、基盤上に載せていくアプリケーションの競争力をいかに高めるかという点を重視していたのですが、マイクロソフト社製品で統一することで、セキュリティ面でのメリットも見込まれました。内田洋行には、2008年のポータルサイトと文書管理システムの構築のタイミングから協力してもらっているのですが、当時のスタッフが現在も変わらずに担当してくれているなど、長期サポートの体制を整えてくれたことも大きなポイントです。安心感とともにお互いの知識や経験が蓄積され、スムーズに運用されています。
現在、1900人超の職員を抱える豊島区では、ほぼ1人に1台のPCを配布し、非常勤職員や派遣職員を含めると約2500台のPCを保有しています。数年前までは、教育系システムは教育委員会の管理下にあり、各学校の中で独立したネットワークを作っていたのですが、校務用PCのリース満了に伴う入れ替えのタイミングでネットワークを統合することになりました。これにより、すべての業務を共通基盤に統合することができ、管理のしやすさは大幅に向上しました。マイクロソフト社製品で統一しているので、従来はその都度ベンダーさんが各学校に出向いて行っていたパッチ配信やアプリケーション搭載も統合でき、セキュリティレベルも同一に合わせることができました。SCCMを入れて全職員のPCの使用状況や更新状況の監視が行えるので、セキュリティの向上にも貢献しています。次のタイミングでは、児童・生徒たちが使用する学校用PCについても、同様の管理が行えるようにできればと考えています。また、せっかくすべてのPCが横並びの状態になったので、何か新しい取り組みをしたいと考えています。例えば最近導入した防災システムでは、限られた職員だけではなく、全職員が随時災害情報を見ることができる環境を整えました。浸水や火事などがあったときに、どの部署に電話がかかってくるのかは防災担当者には把握できません。災害の大小に関わらず、最初に電話を受けた職員がその時点で情報を入力することで、全職員が迅速に状況を把握できるようになったのです。これも、全職員が1つのポータルサイトを使い、メールシステムの階層型アドレス帳を見られるという基盤があってこそ可能なシステムです。このような仕組みをもっと応用して、横並びのメリットを生かしていきたいと思います。今後はOSやアプリケーションもさらに進化していくと思いますが、内田洋行とともに基盤を維持しながら、より良い環境を構築していきたいと思います。
取材日:2016年2月。掲載内容は取材当時のものです。
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