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第102回 ワンストップサービスの復活を望む

2020/02/17

昨年12月27日の社保審・介護保険部会でまとめられた意見書の7頁には、地域包括支援センターが、居宅介護支援事業所に委託しやすい環境を作り出す観点から、具体策を構想すべきという内容が盛り込まれ、「介護報酬上の対応についても検討が必要」と明記された。

要するに、予防支援費の単価をもっと高くすることで、居宅介護支援事業所が予防プランを受託しやすい環境を作り、予防支援計画を居宅介護支援事業所へ委託するケースをもっと増やしたいという訳である。それはなぜかというと、地域包括支援センターが、予防プランマネジメントに業務の時間をとられ、地域支援に力を発揮できないという状況がある。ここにメスを入れて、地域包括支援センターの機能強化を図ろうという対策である。

その背景には、高齢化で相談支援のニーズが増大しているほか、地域全体を見据えた連携・調整のコーディネート、地域ケア会議の運営などの重要性が高まっていることが挙げられる。それに加え、今後政府が推奨する、「全世代型社会保障」の推進のために、地域包括支援センターが高齢者のみならず、育児支援や児童支援、障害児者支援にも関わっていくことが予測され、その準備や教育にも時間が取られていくことを見据えた対策ともいえる。

だからと言って、その対策として予防プランの委託を進めるのはいかがなものか。それより予防と介護でマネジメント主体が違うという制度の複雑さをなくす議論を行うのが筋ではないかと思う。

介護保険制度が誕生した際には、高齢者の介護サービスについて、居宅介護支援事業所の担当ケアマネジャーを窓口にさえすれば、総合的に調整が行われ支援が受けられるという、「ワンストップサービス」が実現したのである。そのことに一番の意義と成果を感じた人が多いはずだ。しかし、それを崩壊させたのが制度改正であった。介護保険サービスを予防サービスと介護サービスに分断し、予防プランを地域包括支援センターが担当することにしたことによって、予防プランと介護プランと、それに付随する各種サービスは寸断され、ワンストップサービスはそこで崩壊したのである。

このように、予防プランと介護プランが寸断・分断されてしまった過去を反省して、予防プランも居宅介護支援事業所の主管に戻せばよいだけの話である。その方が制度はスッキリわかりやすくなるし、利用者にとって予防と介護の時期で計画担当者が変わるというデメリットがなくなる。そもそも予防プランを、介護予防に精通した地域包括支援センターの保健師が担わなければ、自立支援ができないという理屈はすでに崩壊しているのである。なぜなら予防プランを、予防介護支援事業所(地域包括支援センター)の保健師が所管するようになった以後、介護予防効果が上がったという事実はないからである。そんなふうに、成果挙がっていないという事実が、予防プランと介護プランを分断したことに意味がないことを証明している。

だからこそ、この機会にワンストップサービスの再生させることが、一番良い結論だといえるのではないだろうか。

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