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第123回 新たに介護職員として巣立たれた人に伝えたいこと

2022/06/20

春から全国の介護事業者で、数多くのフレッシュな介護職員が誕生したことと思います。そうした方々に伝えておきたいことがあります。それは、「立派な介護職員になる前に、どうぞ感じの良い介護職員になってください。」ということです。

介護労働とは感情労働でもあるのですから、利用者が不快な思いをしたまま、仕事が完結されることは、「仕事ができた」とは評価できないのです。決められた仕事を、そつなくこなすことができても、そこで利用者不在の機械的作業が常態化して、利用者の感情が無視されては困るのです。介護職員の顔色をうかがいながら、自分の身をゆだねる場所に安息はあるでしょうか・・・。そんな場所に生きがいは存在しなくなります。介護という職業が、人の幸福を奪うようなことがあってはならないのです。

対人援助とは、人の暮らしを支える活動です。対人援助に携わる専門職の結果責任とは、利用者が、単に日々の暮らしを送ることができるというだけではなく、「人間尊重」の精神を基盤にして、その人らしい生き方を支え、豊かな暮らしに結びつけることなのです。そのためには私たち自身が、利用者の方に好感を抱いてもらう必要があるのです。私たちが、利用者の傍らに寄り添うだけで、安心してもらえるような存在になる必要があるのです。

だから、立派な介護職員になる前に、感じの良い人だなあと、思ってもらえる存在になる必要があるのです。感じの良さが利用者の方々に伝わるためには、接遇意識が不可欠です。接遇とは、笑顔と丁寧な態度・丁寧な言葉遣いが求められる行為です。新人教育を担当する方々は、タメ口が家庭的で、親しみやすい言葉遣いだなどという勘違いをさせず、介護のプロとして、丁寧な言葉も使いこなすことができる、接遇の仕方を教えてあげてください。作業労働を教える前に、そうした対人援助で最も大切なことを教えてあげてください。

介護事業者に就職した新人で、おむつ交換ができなくて辞める人はいません。でもこんな仕事ぶりで人の役に立っているのかと、思い悩んで辞める人はいます。おむつ交換や体位交換、入浴介助や食事介助の方法なんて、習得スピードの差はあるかもしれませんが、最終的には誰でも覚えるのです。覚えるスピードの差なんて言うものも、数カ月たてば差はなくなります。振り返ってみれば、そんなことは大した問題ではなかったという結論になります。その程度のことを、躍起になって最初に教え込む必要はないのです。

しかし、一番根っことなることを教えることを後回しにしては、取り返しがつかなくなるのです。対人援助の理念や基本をおざなりにして、作業ばかり教え込まれた人は、人権意識がないままに、作業労働だけを覚えることになり、そういう人が後々、人権意識に芽生えて、優れた介護人財に育つという可能性は、著しく低くなるのです。

無礼で馴れ馴れしい、言葉や態度に終始する場所や、機械を扱うように、流れ作業のような介護に陥っている場所に、定着する職員は、利用者の哀しい表情や、無表情を無視できる人でしかなくなります。本当に必要とされる人材は、その場所から去っていきます。皆さんが働く場所を、そのような哀しい場所にしないためにも、どうぞ、たくさんの感じの良い人たちを育ててください。

感じの良い人たちが、繋がりあう職場を創ってください。そこは、きっと人に誇ることができる職場になるだけではなく、あなたにとっても、居心地の良い職場となるでしょう。

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