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第128回 ケアマネが国家資格かどうかなんて国民は興味なし

2022/11/14

日本介護支援専門員協会が、10/13に開催された自民党の「日本ケアマネジメント推進議員連盟」で、介護支援専門員登録証の発行元を、都道府県から国に変えることを要望した。
このきっかけになった出来事は、2003年に政府が閣議決定した答弁書で、介護支援専門員資格が「国家資格」であるとされていたことによるものである。

当時、野党議員が国会へ出した「質問主意書」の中に、「この国に国家資格はどれくらいあるのか。その名前も含めて全て示して欲しい」という質問があり、これを受けた政府は、当時存在していた国家資格の名前を、全て列挙した答弁書を閣議決定していて、その中に介護支援専門員も含まれていたというものだ。僕の認識では、介護支援専門員と同様に、「都道府県資格」だと思っていた「准看護師」も国家資格であると、答弁書に掲載されている。

国家資格かどうかを審査する試験を実施する団体は、国だけでなく、地方自治体や法律で指定された団体でも可である、ということが根拠になっているようである。
介護支援専門員の資格試験が、都道府県ごとに行われ、資格認定者が都道府県知事であり、登録も都道府県に行うことになっているけれど、国の法律に基づいて、個人の能力・知識が判定されているために、国家資格であるというわけである。

今回の日本介護支援専門員協会の言い分は、介護支援専門員の地位向上につなげるという意味も含め、「国家資格にふさわしい形にお願いしたい」と求めて、登録証発行者も都道府県知事名ではなく、厚労大臣名にすべきというものだ。

しかしである・・・。同協会の要望の意味もわからないではないが、仮に登録証の発行者が厚労大臣になったからと言って、介護支援専門員の地位が向上するのかと問いたい。

そもそも介護事業とは関係のない一般国民は、介護支援専門員が長いこと都道府県資格であると、思われてきたことさえ知る人はほとんどいない。ましてや登録証の発行者が、大臣か都道府県知事かなど知る由もないし、興味もない人がほとんどだ。仮に発行者が厚労大臣名となったとしても、それだけで世間の目が違ってくるなんてことはなく、介護支援専門員の価値があがるわけではないし、地位が向上するわけでもない。

そもそも今現在だって、利用者から信頼されている介護支援専門員は、全国の地域にたくさんおられる。介護支援専門員の誕生と、その後の活躍によって暮らしを支えてもらっている人は、全国にたくさん居られ、その方々は介護支援専門員を頼り、あるいはリスペクトしているのである。

そうであるにもかかわらず、介護支援専門員の地位向上を叫ばねばならない理由は、介護支援専門員が、専従でケアマネジメント業務に携わる居宅介護支援事業の給付費が、その仕事にふさわしいレベルになっておらず、介護職員と比べて、処遇改善の必要性も認められていないからであろう。

日本介護支援専門員協会のジレンマもそこにあって、介護支援専門員が国家資格であることを広くアピールすることで、国民に「たいしたものだ」という印象を与え、地位を向上させたいということであり、その先には国家資格に見合う形で、「介護支援専門員の待遇向上」を見据えているのだろう。
だからと言って国民にとっては、資格認定者が大臣であろうと知事であろうと、知ったことではないという問題にしかすぎず、こんなアクションにエネルギーを使うのは、無駄でしかないと思うのは僕だけだろうか。

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