HOME > U+(ユープラス) > masaの介護・福祉よもやま話  > 第134回 介護職として新たなスタートを切った人に伝えたいこと

U+(ユープラス)

U+のTOPへ

mssaの介護・福祉よもやま話

コラムニストの一覧に戻る

第134回 介護職として新たなスタートを切った人に伝えたいこと

2023/04/24

介護の職業に就くにあたって、志(こころざし)を高く持つということは大事だ。その志を現実の介護という職業に生かして、より高品質なサービスの実現に寄与できれば、それに越したことはない。
だからといって、高い志を持つことが、介護という職業を選ぶにあたっての必要絶対条件ではない。ここを取り違えてはならないのである。

正直いうと、介護の職業に就く動機づけなんて何でもよいのである。人それぞれの事情があるのだから、たまたま介護という職業に出会って、自分が目指した職業ではないけれど、その職に就いたという人がいたって良いのである・・・というか、そのような人がたくさんいるのが介護関連事業の実態でもある。

そうした人たちに、特別な思いを持てと指導したとしても、そんなものを持つことができない人も多い。そもそも思いとは、個人の感情なので、他人が押し付けて持つことができるようなものでもない。ないものねだりをしないで、もっと現実的に対人援助のプロとして、スキルアップできるように導くのが、管理職や指導者の役割である。

人の考え方も様々なのだから、その人の価値観に合わせた色違いの様々な花を、咲かせる手伝いをすることが大事になる。様々な理由で介護の仕事を選んだ人が、一旦就いた介護の仕事を続けたいと思う動機づけを、得られるかどうかが一番重要なのだ。そういう動機づけを与えられる職場環境であるか、そういう動機づけを与えられる指導者やリーダーがいるかどうかが問題だ。

大した動機づけもない状態で、介護の職業を選んだ人であっても、実際にこの仕事をやってみて、人の暮らしに介入して、人の人生の幸福度に、自分が大きな影響を与えることの意味と役割を、感ずることができるのであれば、その人は介護人材として、大きな成長を遂げることができるだろう。だからこそ、自分の関わり方ひとつで、関わる人の尊厳を護ることができる反面、逆にその尊厳を奪い心を殺して、不幸のどん底に沈めてしまう恐れさえあることを、知らしめてほしい。

利用者によそよそしく思われないようにと考えて、言葉を崩して失礼な態度で接することが、いかに人の尊厳を傷つける元凶になっているかを、理解させる指導が必要なのである。よそよそしさを感じさせることを恐れるよりも、馴れ馴れしく無礼な態度を恐れる対人援助のプロを育んでほしい。
誰かの人生の幸福度に、影響を与える仕事であるからこそ、介護という職業には、社会的使命があることを理解するように導いてほしい。ごく当たり前に、人の暮らしを支えるという責任感を持つことができる教育が、求められることを忘れないでほしいのである。

上記のコラム購読のご希望の方は、右記の登録ボタンよりお申込みください。

登録はこちらから