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第145回 介護支援を求めている人たちが欲しているもの

2024/05/27

介護サービスの利用者に対し、「タメ口」で接する人たちは、それが利用者との間に、壁を作らない口の利き方だという。家族のように親しげに対応するために、「タメ口」が必要であるというのである。目上の人に、対等な口の利き方をするという意味でしかないタメ口対応が、お客様に対しては、いかに失礼な対応であるかを、理解できない知性の低い人間が、そのような屁理屈を唱え続けているのが、介護業界の一面でもある。そういう知性と知識のない人間が、数多く存在することで、介護業界そのものの民度と品質が、低いままにとどまっている。

しかも、そういう屁理屈を唱える輩に限って、口だけ達者で、介護に関する基礎知識と、基本技術が不十分な人間が多い。食事介助する際に、昭和初期生まれの方々の身長に配慮せず、サイズの合わない車椅子に座乗させることが、利用者にとってどれだけ苦痛なのかを知らない輩が多い。そういう輩は、フットレストに足を載せた状態で、正しい嚥下姿勢に気を配ることなく、ただ口に食物を突っ込むことを、食事介助と勘違いしている。そうした状態を放置し、なおかつ生意気なタメ口で利用者対応している姿は、醜いだけではなく滑稽でもある。それは、本来の親しみやすさや優しさとは、かけ離れた姿でしかなく、本人はそれが、家庭的な雰囲気を作っていると、思い込んでいたとしても、それは偽物の家族もどき行為でしかない。

介護サービスの利用者が望んでいるものは、そんな馴れ馴れしい対応ではない。利用者は、確実に自分の身を護り、安全に安心して、暮らしを送ることができるような、支援行為を求めているのだ。それは、確かな知識と正しい技術によってしか、担保できないものだ。

自分のお金を使って、サービスを利用している人は、サービス提供してくれる人間も、当然その対価に見合った仕事ができると思っている。それなのに、口調を家族同様に、馴れ馴れしくするだけで、家族にできることさえ、満足にできないような介護職員であることに、失望する利用者は決して少なくない。

しかし、知識と技術がないのに、口調だけ家族の真似をする人間に限って、給料が低いと文句を言う。自らの技術が、高い給料にふさわしいものかどうかを、考えろと言いたくなる。文句を言う前に、まずは基礎知識と基本技術を、磨けと言いたくなるのだ。勿論、介護サービス利用者も、感情ある人間なのだから、無表情に黙々と、介護という行為を作業化する人の手を、欲しているわけではない。自分のことに関心を持ち、気を配ってくれる介護支援者を求めているし、人として優しく接してくれる人を、求めていることも確かだ。しかし、その前提は、介護を職業にして、それによって対価を得ているプロとして、最低限の知識と援助技術をもって、自分が求める支援行為の結果を、出してくれることだ。それに加えて、介護サービス利用者を、一人の人間として尊重し、それらの方々の心に、負担をかけないように、笑顔で優しい対応ができるのが、プロ中のプロということになる。

そして、正しい知識を持ったならば、「タメ口対応」がいかに、介護サービスを利用するお客様に対して、失礼であるかということに気が付くだろう・・・、そこに気づかぬ鈍感な知性しかない者は、対人援助サービスに向かないので、どうぞ遠慮せずに、介護の仕事をやめてくださいと言いたい。

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