HOME > U+(ユープラス) > masaの介護・福祉よもやま話 > 第160回 補正予算補助金と臨時報酬改定による処遇改善について
2026/01/19
現在、処遇改善加算の恩恵を一切受けていない居宅介護支援事業所の介護支援専門員(※以下、居宅ケアマネと略)であるが、今年度の補整予算による介護支援パッケージによって、賃上げ支援が行われることになった。
介護支援パッケージの処遇改善は、以下の3階建てになっている。
①介護従事者に対する幅広い賃上げ支援1.0万円
②協働化等に取り組む事業者の介護職員に対する上乗せ0.5万円
③介護職員の職場環境改善の支援(※人件費に充てた場合、介護職員に対する0.4万円の賃上げに相当)
↑このように②と③は、介護職員が対象の補助であるため、それ以外の職種については@のみが給与改善の対象となる。よって居宅ケアマネの賃金改善額は、最大月額1万円ということになる。
③の介護職員の職場環境改善の支援については、機器の購入代金に充てるなどして、介護職員に直接給与として、手渡さなくても良いとされてはいるが、それによって他事業所と給与差がつき、介護職員が流出してしまうことを、危惧する経営者が多いだろうから、給与改善に回す事業者が多いと思われる。よって介護職員の多くは、最大月額1.9万円の給与改善が見込まれる。
すると居宅ケアマネと介護職員の給与改善差額の差は、月額0.9万円となる。
介護保険制度施行時に、ケアマネという資格ができた当時は、介護職などはその実務5年を受験資格として、試験に合格した者のみがケアマネ資格を得ることができたことで、ケアマネは介護職の上位資格と認識する人が多く、介護職からケアマネへの転向をあこがれる人も少なくなかった。しかし、居宅ケアマネ等を除外した形での、度重なる介護職員の処遇改善の結果、現行ではケアマネより介護職員の方が、月額給与が高い事業者が多くなっている。その結果、制度開始当初に介護職員からケアマネに転向した人の一部が、介護職員に再復帰するというケースも増えている。
そのことも影響してか、福祉人材センター・バンク 職業紹介実績報告(令和7年7月)では、居宅ケアマネの求人倍率は8.77倍で、ヘルパー以外の介護職の6.46倍を2.31ポイント上回っている。居宅ケアマネの人材不足が加速しているのだ。
今回、介護支援パッケージで、居宅ケアマネが処遇改善の対象となったことは評価できるが、介護職員の賃金がケアマネより高いという格差が、さらに広がる結果にもなっている。それはケアマネのなり手不足を、さらに助長させる可能性がある。
今回の介護支援パッケージによる賃上げ支援は、今年12月から来年5月までの半年間とされている。来年6月以降は、臨時の介護報酬改定を行い処遇改善加算も新しい算定ルールとなり、そこでは現在加算支給の対象になっていない居宅介護支援事業所も算定対象事業所に加えられる。
その際に、介護支援パッケージの処遇改善のルールが引き継がれるとしたら、居宅ケアマネと介護職員の給与差額はさらに広がり、給与額という部分のヒエラルキーでは、介護職の下に居宅ケアマネが置かれることになる。この状態で居宅ケアマネのなり手が増えるとは思われず、居宅ケアマネ不足はより深刻化するのではないだろうか。
補正予算案が国会で可決された今、介護支援パッケージによる賃上げ支援ルールは変えようがないが、来年度の臨時改定の際の処遇改善加算については、介護職員とケアマネの改善額格差をなくしてほしいと訴えたい。
また、介護支援パッケージの処遇改善が3階建てになり、介護職以外の介護従事者が1階部分にのみ置かれたことに対しては、関係者から不満の声が挙がっている。それは今年度からせっかく処遇改善加算が一本化され、職種分断がなくなったのに、再び処遇改善で職種分断が行われて、加算一本化の意味をなさなくなったという不満の声である。もっともな主張である。
たしかに国が財源支出して、介護従事者の処遇改善が実施できることはありがたいことだ。それを否定するつもりは毛頭ない。しかし、処遇改善の財源の配分を事細かく国が規定するのはどうなのかと思う。もっと介護事業者個々の裁量を認めるべきではないのだろうか・・・特に職種分断するような配分方法は見直すべきではないかと思う。