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第161回 介護生産性向上のカギは介護実務をどれだけ自動化できるか

2026/03/02

介護人材不足が深刻化し、その状況が好転する見込みがない介護業界。そこでは、介護DX等による生産性向上の波に、乗ることができない介護事業者は、大波に呑まれて浮き上がることは不可能となる。だが介護DXに取り組む多くの介護事業者の現状を見ると、ICT活用がバックオフィスレベルにとどまり、介護実務の場は旧態依然のままであるところが少なくない。

それでは意味が無いと思う。なんといっても介護事業は、介護職員がいないと成り立たないのであるし、その介護職員が一番不足しているのである。そしてその数が、劇的に増えることはなく、長期的に見ればさらに、介護職員の人材不足は加速し続けるのだ。だからこそ、現状より少ない介護職員であっても、現状並みの介護サービスを提供できる得る体制作りを、目指していかねばならず、介護実務に携わる介護職員が行う業務の省力化・生産性向上を意識した、テクノロジー導入が求められるのである。

とはいっても、人に替わって身体介護をしてくれるロボット等が、存在しないことも事実であり、現行で介護実務の省力化を図る具体的なテクノロジーと言えば、見守り業務を省くことのできる見守りセンサー、連絡のための移動時間を削減することができるインカム装着、おむつ交換回数を減らすことができる高性能紙おむつ、体位交換の回数を減らすことができる高性能エアマットや自動体位交換機、介護記録を自動に近づける生成AI搭載記録装置などが主である。

例えば、すでに実用化が図られている全自動歯ブラシは、口にくわえて起動すると、ブラシが円を描くように振動しながら移動し、上下の歯の表裏や歯間を磨いていく仕組みで、最短1分で手磨きと同程度まで、歯垢を除去できるので、介護実務の省力化につなげることが可能だ。特に介護保険施設・居住系施設などでは、多くの利用者に対して朝・昼・晩と食後に口腔ケアを行なわねばならない。しかも歯磨きというのは思った以上に、時間も手間もかかる重労働である。そうしたケアが、全自動歯ブラシを利用することで大幅改善される。

そう考えると、全自動歯磨き機は、非常に便利なツールとして活用できそうだ。

勿論のこと、口にくわえて使用する機器であるのだから、使用者にはその方式に慣れてもらう必要があるだろう。さらに事故がないように、見守る必要もあるかもしれない。そうであっても、わずか1分見守るだけで、口腔ケアが完結するのであれば、それだけで介護業務省力化である。

介護施設におけるニーズについては、口腔ケアに力を入れたことによって、従来比で1年後の利用者全体の入院日数が、850日近く削減されたというデータもある。磨き残しの可能性が排除できない手作業で歯を磨くより、確実に歯垢除去できるケアの全自動化は、こうした結果にもつながるという意味で、介護サービスの品質向上でもあるといえる。こうしたADL介助の様々な動作に、一つずつ対応できる機器が確実に増えていけば、介護実務の省力化や生産性向上効果は大きくなる。

このことに関連して、介護保険最新情報Vol.1458では、介護現場の清掃・配膳ロボットや飲料ディスペンサー/とろみ給茶機、再加熱キャビネット/カートに、新たな補助金が支給される旨が通知されている。

ロボット掃除機などの清掃ロボットや給茶機は、かなり以前から介護現場でも導入が進んでいる。だがこの配膳ロボットは、考えられている以上に優れもので、介護実務の場で活躍できるものだ。

配膳ロボットは、食堂内のテーブル配置をマッピングしておけば、特定のテーブルまで、お盆に乗せた食事を運ぶことができる。それだけではなく、施設内をマッピングすることで、各個室へと料理を配膳・下げ膳することもできる。

ただこれによって、介護業務負担が大幅軽減することはないだろう。なぜなら運んだお膳を食卓テーブルに乗せ換え、食事介助を行うのは介護職員であるからだ。

そもそも配膳だけを考えれば、この業務を介護職員に行わせている介護施設は、かなり少なくなっており、ほとんどが厨房業務の委託業者の調理員の仕事に替わっている。厨房業務を委託していない介護施設であっても、配膳は介護助手の仕事としているところが多い。むしろ未だに配膳を、介護職員の業務としている介護施設は、その古いシステムの改善が急がれるだろう。

しかし、配膳ロボットによって運搬できるものは、料理だけではないということが、介護業務の省力化につながる可能性がある。各個室へシーツやタオルなどの備品を、運搬することも可能で、AI搭載の配膳ロボットの中には、入居者との日常会話が可能なものがある。配膳ロボットが普及する段階で、さらに様々な工夫がされ、介護業務の軽減につながる使い方も見出せるように思える。そう考えたとき、今補助金対象になっているこの時期に、こうしたロボットの導入を検討してみることは大いに有りだ。

補助金は限りあるものなのだから、この時期を逃せば購入は全額自腹になってしまうので、スピード感を持った検討と決断が求められる。

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