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第347回 「生涯輝き基盤」と呼ぼう

2015/03/16

筆者も参画している産・官・学・労組・消費者団体で構成する「情報化推進国民会議」(児玉幸治委員長)はICTを活用して少子高齢社会の課題を解決する道について検討してきた。ワーキンググループは座長の遊間和子さんをはじめ、女性委員が半数を占めて、普段のワーキンググループとは違う鋭い突っ込みの多い議論になった。

結論を急げば、マイナンバー制度を社会のプラットフォームにして、健康・医療・介護や幼児から社会人・高齢世代までの生涯学習、会社生活・起業・在宅勤務などの就労、国民生活を支える行政サービスなどを、有効に活用し、「国民一人一人が生涯に亘って健康で快適に暮らし、意欲ある限り働いて、社会参加し続けられる社会」を作る、という提言をまとめた。内閣府をはじめ関係省庁や自民党などにこの提言を伝えて、さらに意見を交換した。

さて、その中で最も強い印象を与えたのが「生涯輝き基盤」の構築を提案したことだ。基盤の構築そのものというより、「生涯輝き基盤」というネーミングである。

これは当初は「マイナンバープラットフォーム」と呼んでいたのだが、複数の女性委員から、カタカナの名前が「官制」の匂いがする、と批判を受けた。国民一人一人が「健康で快適に暮ら(す)・・・・」ために活用する基盤なのに、霞が関のお役人目線で、「作ってやる」という意識を感じる、と全面否定されてしまった。

そこでいろいろな候補を検討している中で「生涯輝き基盤」へと収斂していった。

マイナンバー制度は、国民が活用するために創設するものである。もちろん、これによって行政事務が効率化して、国民に対する行政サービスが向上する結果が生まれると期待されるが、国民にとって重要なのは、行政だけでなく、もっと幅広い効用が生まれることである。そういう国民目線、利用者目線で言えば、この仕組みは「生涯輝く」ための「基盤」である。その通りでした。

その効用を実感できるようにするためには、マイナンバーの利用を税と年金や行政事務の狭い範囲に閉じ込めるべきではない。民間に広く開放して、ビッグデータなどとして加工処理し、消費者に役立つサービスを提供する基盤にしてほしい。まだ、利用範囲を広げることに抵抗のある人たちも多く、なかなか認知も理解も社会に浸透しない。

これまでは、どうも提供サイドに立って「マイナンバープラットフォーム」などと呼びならわして来たが、こういう意識が問題なのかもしれない。利用者サイドに立つ発想が必要だったのではないか。反省させられることの多い委員会活動だった。

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