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自治体IT革命の今日、明日
第244回 「デジタルトランスフォーメーション、その4『DXの定義・背景・課題』」

2021/01/12

 明けましておめでとうございます。新型コロナに振り回されたこの一年でした。早くコロナも明けてくれるとよいのですが。
 一月「睦月」、5日は24節気の「小寒」でした。
池や川の氷も厚みを増し、寒さが厳しくなる頃です。この日を「寒の入り」といい、寒さの始まりを意味します。そして、小寒と大寒を合わせたおよそ1か月を「寒中」「寒の内」といい、寒中見舞いを出す時期とされています。
 ・・・ 暮らし歳時記 ・・・

(前回より)
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◎「デジタルトランスフォーメーション、その1『DXとは』」
 「デジタルトランスフォーメーション、その1『DXとは』」 | U+(ユープラス) 電子自治体の行政情報化ニュース | 内田洋行 (uchida.co.jp)

◎「デジタルトランスフォーメーション、その2『DXガイドライン』」
 「デジタルトランスフォーメーション、その2『DXガイドライン』」 | U+(ユープラス) 電子自治体の行政情報化ニュース | 内田洋行 (uchida.co.jp)

◎「デジタルトランスフォーメーション、その3『市川市DX憲章』」
 「デジタルトランスフォーメーション、その3『市川市DX憲章』」 | U+(ユープラス) 電子自治体の行政情報化ニュース | 内田洋行 (uchida.co.jp)
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(以上)

(Wikipediaより抜粋編集)
1.定義
1.1 エリック・ストルターマンによる定義
 2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した。彼は「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義し、下記の特徴を提示している。
・デジタルトランスフォーメーションにより、情報技術と現実が徐々に融合して結びついていく変化が起こる。
・デジタルオブジェクトが物理的現実の基本的な素材になる。例えば、設計されたオブジェクトが、人間が自分の環境や行動の変化についてネットワークを介して知らせる能力を持つ。
・固有の課題として、今日の情報システム研究者が、より本質的な情報技術研究のためのアプローチ、方法、技術を開発する必要がある。
 「本論文は、よりよい生活のために技術を批判的に調べることができる研究の出発点として適切な研究ポジションを確立する試みである」とあることから、研究へのアプローチ・方法論を述べた内容となっている。

1.2 IDC Japan社による定義
 2016年に、ITプラットフォームの概念を用いてデジタルトランスフォーメーションを定義している。
第1プラットフォーム:メインフレーム/端末システム
第2プラットフォーム:クライアント/サーバーシステム
第3プラットフォーム:クラウド・ビッグデータ/アナリティクス・ソーシャル技術・モビリティー
 IDC Japanはデジタルトランスフォーメーションを「企業が第3のプラットフォーム技術を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。そして、これに投資することは2017年以降5年間のIT市場における成長の大部分を占め、ITサプライヤーの優先事項になると予測している。

1.3 ガートナー社による定義
 ガートナー社によれば、企業内のIT利用は三段階ある。
1.業務プロセスの変革
2.ビジネスと企業、人を結び付けて統合する
3.人とモノと企業もしくはビジネスの結び付きが相互作用をもたらす

 ガートナーはこの第3段階の状態をデジタルビジネスと呼び、「仮想世界と物理的世界が融合され、モノのインターネット(IoT)を通じてプロセスや業界の動きを変革する新しいビジネスデザイン」(2014年) と定義している。
 また、このデジタルビジネスへの改革プロセスを「デジタルビジネストランスフォーメーション」と定義している。

1.4 デジタルトランスフォーメーション研究所による定義
1.デジタルテクノロジーの進展で劇的に変化する産業構造と新しい競争原理を予測
2.自社のコアコンピタンスを活用して他社より早く到達可能なポジションと戦略の策定
3.戦略実現のための新しい価値とサービスの創造、事業と組織の変革、意識と制度の改革、を経営視点で遂行すること

2.背景
2.1 ITプラットフォーム基盤の変化
 2011年の講演にてGartner社はクラウド・情報・ソーシャル・モバイルの4つのプラットフォームが独立の進化を遂げつつ、数年の調査でこれらが収束しており、既存のアーキテクチャが時代遅れになっていると警告している。これを2012年にNexus of Forcesとして新しいIT基盤として提唱した。
 同様の概念はIDC社の第3のプラットフォーム「クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術、モビリティー」やIBM社のSMAC「Social、Mobile、Analytics、Cloud」にも挙げられる。
 これらのIT基盤の活用により市場の優位性を獲得する一環として、デジタルトランスフォーメーションが注目されることとなった。

2.2 デジタル・ディスラプション(破壊)
 デジタル・ディスラプションとは、新しいデジタル・テクノロジーやビジネスモデルによって、既存製品・サービスの価値が変化する現象を指す。既存の市場をディスラプション(破壊)するようなビジネスモデルを展開する新規参入者が登場してきたことで、各企業は、競争力維持・強化をスピーディーに進めていくことが求められている。

2.3 法律の整備
 日本では、2005年に施行された「e-文書法」によって、紙での保存が義務付けられていた文書(証券取引法や商法、法人税法など)をデジタル化したデータで保存することが容認された。また、1998年に制定された電子帳簿保存法では、国税庁が管轄する所得税や法人税といった税に関する法令関連の書類や帳簿を、デジタル化したデータで保存することが容認されている。同法律は2005年にe-文書法の施行に伴い、それまで認められなかった紙文書のスキャナ保存を容認した(スキャナ保存制度)。2015年から、電子署名と金額制限の廃止、翌2016年にはスマートフォンやデジタルカメラなどで撮影した領収書も電子保存可能とするなど、規制緩和が行われた。

3.課題
・ビジネス創出できない
 PoCを繰り返すなど、ある程度の投資は行われるものの実際のビジネス変革には繋がっていない多くの企業の現状がある。
・既存システムのブラックボックス化
 これまでの既存システムが老朽化・複雑化・ブラックボックス化する中では、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの利活用・連携が限定的であるため、その効果も限定的となってしまうといった問題がある。また、既存システムを放置した場合、今後ますます維持・保守コストが高騰する(技術的負債の増大)とともに、既存システムを維持し保守できる人材が枯渇し、セキュリティ上のリスクが高まる。
・スキルの獲得
 デジタルトランスフォーメーションでの課題として最も多く挙がったのが、「適切な技術スキルの獲得」だった。自社の社員をスキルアップできない理由として幹部があげたものとしては、「時間不足」「トレーニングのための構造がない」「組織に知識がない」がトップ3だった。

4.方法論
4.1 DX推進システムガイドライン
・DX推進システムガイドライン
 2018年経済産業省のデジタルトランスフォーメーションに向けた研究会が策定したDX推進のためのガイドライン。正式名称は「DXを推進するための新たなデジタル技術の活用とレガシーシステム刷新に関するガイドライン」。DXの失敗の典型パターンから、DXを実現すべくITシステムを構築していく上でのアプローチや必要なアクションを示す。

「2018年策定の構成案」
1.DX の位置づけ
 1.経営戦略とDXの関係
 2.事業のビジネス・モデルや価値創出の具体化
 3.戦略方針について社内組織との共有
 4.スピーディーな対応を可能とする変革
2.体制・仕組み
 1.ITシステムの基本構想の検討体制
 2.経営トップのコミットメント
 3.新たなデジタル技術活用におけるマインドセット
 4.事業部門のオーナーシップ
 5.ユーザ企業自らの選択・判断能力
 6.ユーザ企業自らの要件定義能力
 7.評価・ガバナンスの仕組み
3.実行プロセス
 1.情報資産の分析・評価
 2.情報資産の仕分けと移行プランニング
 3.レガシー刷新後のシステム: 変化への追従力
 4.経営者自らによるプロジェクト管理
 5.DXの取組の継続

4.2 ContinuousNext戦略
・ContinuousNext戦略
 2018年11月、ガートナージャパン株式会社は、「ContinuousNext」のアプローチを取り入れることを提唱。CIOが取り組むべきこととして以下の5項目を挙げている。
 1.プライバシー - プライバシー管理プログラムを担当する責任者を配置し、セキュリティ侵害を速やかに検知・報告し、個人が自身のデータをコントロールできるようにする。
 2.拡張知能 - 高度なAIに基づくシステム、プロセス、ロボティクスと協働することで、従業員はより大きな影響力を発揮できること。
 3.組織文化 ‐ CIOの46%は、組織文化がデジタル・ビジネスの潜在力の実現を阻む最大の障壁。ただし組織文化の変革を大規模な取り組みとして実施する必要はなく、また改革は必ずしも難しいものではない。
 4.プロダクト管理 - ガートナーの2019年CIOアジェンダ・サーベイにおいて、先進企業がプロジェクト中心ではなくプロダクト中心のデリバリを実践している可能性は、ほかの企業に比べて2倍高いことが明らかになっ ている。
 5.デジタル・ツイン - デジタル・ツインは、多くの場合、センサやコンピュータ・モデリングを介してジェット・エンジンや風力タービンなどの物理的なモノを管理するために使用されている。
 デジタルへの移行は官民とわず既存の運営モデルを破壊しつつある。新しいモデルは、組織にとっても価値あるものとなり、変化に適応できる体制が求められている。

2021年01月08日

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