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ICT製品開発事例 > cochira(コチラ)

cochira(コチラ)

製品概要

「cochira」は、JR東日本フロンティアサービス研究所、内田洋行の共同研究開発成果です。
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「Cochira(コチラ)」は、”Suica”(※1)を使った、駅空間における“その場”での直感的な目的地案内を実現するシステムです。本体の頭の部分についた“ゆび”のようなユニークなギミックで、駅員さんが「それは、こちらですよ」と案内するような振る舞いを持つところからネーミングしました。まずは自分の行きたい目的地を画面で選択し、” Suica”をタッチします。すると、Cochiraシステムが目的地と”Suica”のIDを関連付けて記憶します。以降、目的地を登録したこの”Suica”を「Cochira」のカードリーダー部分にタッチするだけで、端末の上部の”ゆび” がその場所から目的地までの方向を指し示すことで、「その目的地はこちらの方向です」と教えてくれます。

※1:”Suica”はJR東日本が導入した乗車カードや電子マネーとして利用できる非接触型ICカード技術を用いたカードです。“Suica”はJR東日本の登録商標です。

開発の背景と流れ

駅空間における目的地案内のフィールド観察調査を実施し、目的地までの方向を “指”で示しながら、その「場」に必要な最低限の情報で分かりやすく教える駅員さんの案内の仕方は、最良の案内サービスの一つだということに気づきました。そして、「駅員さんが目的地を教えるようにシステムを実現できれば、誰もが快適に使えて分かりやすい個人に応じた案内サービスになるのではないか」という仮説が立てられました。この仮説をもとに、ソフトウェアとプロダクトで分かりやすい案内方法を実現することを目指してcochiraの開発が始まりました。

知る、つくる、評価する
  • 駅の利用者の行動を観察し、最適な道案内の方法を検討しました

  • プロトタイプを作成し、ユーザー評価を繰り返しながら改善していきました

  • ユーザーに実際に使用してもらうことで問題点を把握し、次期バージョンの開発に活かしました

ユーザー中心設計を用いて実現した機能

目的地の方向を調べる

駅員さんは、はじめは指で目的地までの方向を示しながら最低限の言葉で案内します。プロダクトに“ユビ”のようなものをつけ、それが単純な方向指示をすることだけに表現を絞ることで、あたかも駅員さんが指を差しながら「その目的地はこっちです」と案内するような感覚を提供します。

  • ユーザーの要求

道順の続きを知る

多くの駅利用者が利用している”Suica”に一度だけ目的地を登録すれば、あとは、その「場」その「場」にあるcochiraに“Suica”をタッチしていくだけで目的地までたどりつけるようにしました。

  • ユーザーの要求
ユーザー中心設計の取り組み

駅構内での道案内の方法を観察調査することで、最適な道案内の方法を導き出しました。

ユーザー中心設計活動写真

構造的にも視覚的にも複雑化している駅空間をシステムで案内する場合には、個人の「属性」に応じることに加え、人間の「感覚」を考慮することがとても重要だと考えます。システム単体で案内サービスを完結しようとすると、一度に提供する情報が過剰供給となり、利用者がシステムを理解して利用することが困難となり、「利用者のために創られたシステムのはずが、利用者を排除してしまう」という結果に繋がるからです。 「cochira」の開発プロジェクトのメンバは、駅空間における目的地案内のフィールド観察調査の結果から、目的地までの方向を “指”で示しながら、その「場」に必要な最低限の情報(=情報の切り捨て)で分かりやすく教える駅員さんの案内の仕方は、個人の「属性」と「感覚」に応じた最良の案内サービスの一つだということに気づきました。