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自治体IT革命の今日、明日
第238回 「IoT、AI&5G、その4『AI』」

2020/07/13

 7月「文月」。7日は24節気の「小暑」でした。
 “だんだん暑さが増していくという意味で、梅雨明けも近くなり、湿っぽさの中にも夏の熱気が感じられるようになります。海や山に出かけるのにもいい時期です。また、小暑と大暑を合わせたおよそ1か月を「暑中」といい、「暑中見舞い」を出す期間とされています。” ・・・ 暮らしの歳時記より ・・・

(参照 今さら聞けない「AI・人工知能」とは?)
https://ainow.ai/artificial-intelligence-3/

(前回より)
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第235回 「IoT、AI&5G、その1『IoTとは』」
https://www.uchida.co.jp/uplus/morohashi/20200413.html

第236回 「IoT、AI&5G、その2『公共IoT −地域を創るIoT投資−』」
https://www.uchida.co.jp/uplus/morohashi/20200518.html

第237回 「IoT、AI&5G、その3『5G(第5世代移動通信システム)』」
https://www.uchida.co.jp/uplus/morohashi/20200601.html
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(以上)

〇AI(人工知能)の定義
AIとはArtificial Intelligenceの略で、日本語では人工知能と表されます。
AI(人工知能)の定義は、専門家の間でもまだ定まっていないのが現状です。さまざまな専門家がそれぞれの定義をしており、統一的な定義はありません。

1.AI(人工知能)の種類
AIは「特化型人工知能」と「汎用人工知能」の2つに分けられます。

・特化型人工知能
特化型人工知能とは、1つのことに特化したAIを指します。
例えば画像認識や音声認識などの技術や自動運転技術、AlphaGo(囲碁AI)やPonanza(将棋AI)なども特化型人工知能に区別されます。
・汎用人工知能(AGI)
汎用人工知能は、簡単に言うと「なんでもできる人工知能」のことを指し、AGI(Artificial General Intelligence)とも略されます。

特化型人工知能は1つのタスクに特化し、それ以外のタスクをこなすことができませんが、汎用人工知能は与えられた情報をもとに自ら考え、応用することができる人工知能です。まさに「人のようなふるまいをする」イメージで、「ドラえもん」や「鉄腕アトム」のように、まるで人間のようなロボットを想像する人も多いでしょう。
汎用人工知能が完成した時、シンギュラリティが起きるといわれており、汎用人工知能が人間最後の発明になるとも言われています。

2.シンギュラリティ、AIが人間を超える?
AIの技術に注目が集まると同時に「シンギュラリティ」という言葉を聞くことが多くなってきました。「シンギュラリティ」は「技術的特異点」とも言います。
AI技術が極端に進化を遂げた未来では、AIが人類の知能を超え、指数関数的に進化し、その進化の速度が予測できなくなると言われています。AIが人類を超える、そのポイントが、シンギュラリティ(技術的特異点)です。

人間が人間を超えるAIが発明されると、そのAIは、さらに賢いAIを生み出すことが可能になると考えられます。
つまり、爆発的に知能の高い人工知能が再開発され、人間には到底想像ができない人工知能がどんどん生み出され、生活が一変すると言われています。
未来学者のレイ・カーツワイル氏はシンギュラリティが2045年 に到達すると予想しています。

〇AIの歴史

1.第一次AIブーム:推論・探索の時代(1950年代後半〜1960年代)
この時代、コンピュータで「推論・探索」をすることによって問題を解決する研究が進んでいました。
「人工知能」という言葉の始まりは、1956年夏、ダートマスで開催された「ダートマス会議」というワークショップです。ここには、ジョン・マッカーシー、マービン・ミンスキー、アレン・ニューウェル、ハーバード・サイモンと言った著名な学者が参加していました。
このワークショップでは、アレン・ニューウェルとハーバード・サイモンが「ロジック・セオリスト」という人工知能プログラムのデモを行いました。これは自動的に定理を証明するプログラムで、世界初の人工知能プログラムと言われていました。

2.第二次AIブーム:知識をいれると賢くなる(1980年代)
「エキスパートシステム」の開発・導入がきっかけとなり、第二次AIブームが起こりました。
第一次ブームでは高度な計算はできましたが、現実的な問題となると厳しいものがありました。
そこで開発された「エキスパートシステム」は、知識表現に重きを置いて作られました。医者などの専門家の知識から得たルールを用いて特定の領域についての質問に答えるプログラムです。

3.第三次AIブーム:機械学習・深層学習技術の発展(2010年代〜)
結果的に、2回ともAIの本質が見えないままブームは去っていきました。
そして、2010年代前半から第三次ブームが起こっています。この第三次ブームが起こった大きな要因として、ディープラーニング(深層学習)技術が発展したことやビックデータが普及したこと、計算機(GPUなど)の能力の向上が挙げられます。 ディープラーニングにより、画像や映像、音声から情報を抽出したり、音楽や文字を生成することが可能となっています。

従来のAIの技術では、人間がルールを定義することで、問題を解決したり、知識を取り出す手法が主流でした。しかし、AIが目指すべきところは、「自ら学習し、推測する」ことです。それを可能にする技術がディープラーニングです。 ディープラーニングを活用することで、膨大なデータをAI自らが学習し、そのルールを自主的に取得することが可能になりました。
ディープラーニングがこれからのAIの発展に大きく関わってくることは間違いないでしょう。

〇AI(人工知能)と機械学習、ディープラーニングの違い、関係性
機械学習は、AIの1つの要素技術であり、ディープラーニングは機械学習の1つの要素技術です。
1.機械学習
・教師あり学習
「教師あり学習」は「データ」と「問題の正解」のセットを与えることによって学習する仕組みです。
過去のデータから未来の数値を予測する回帰と画像に何が写っているかなど判別をする分類を行うことができます。
回帰では、将来の売上など数値の予測、分類ではカメラ映像からの人物の検知など、現在でも活用が進んでいる機械学習の手法と言えます。
・教師なし学習
「教師なし学習」は、「教師あり学習」のように正解データを必要としない学習方法です。
主な手法として、与えられたデータの傾向を分析することができるクラスタリングなどがあります。
・強化学習
「強化学習」は与えられた問題に対してAIが試行錯誤をすることにより、問題を解決する行動を学習する手法です。
強化学習では、AIの行動結果に報酬を設定することで、その報酬が最大化するように行動パターンを自律的に学習します。
最近では、強化学習とディープラーニングを組み合わせた手法「深層強化学習(DQN:Deep Q Network)」なども主流で、囲碁AI「AlphaGo」が世界最強の棋士を破るに至ったのもDQNを取り入れたことが一因となっています。

2.ディープラーニング
・ニューラルネットワークとディープラーニング
機械学習の具体的な学習の仕組みとして人間の脳の神経回路を模倣したニューラルネットワークと呼ばれるモデルがあります。
ニューラルネットワークの構造は、入力となるデータを入れる入力層、入力層から流れてくる重みを処理する隠れ層(または中間層)、結果を出力する出力層で構成されます。

〇AI(人工知能)のメリット・デメリット
1.AIのメリット
業務が効率化出来る
今、少子高齢化が進んでいます。厚生労働省によると、2053年に日本の人口は1億人を割ると予測され、合わせて労働人口も今後減少を続け、今後は人手不足がさらに問題視されるようになるでしょう。
AIの活用に注目が集まっています。例えば、定型的なルーティン作業をAIに任せることによって、限られた人的資源を社内で有効に活用することができるかもしれません。
例えば、アメリカでは、レジなしのコンビニ「Amazon Go」が大きく注目されました。カメラの映像をAIで解析することによって、レジがなくても、商品棚から商品を取り出し、そのまま店を出るだけでで、自動的に決済が終わる仕組みです。これにより、レジ打ちを担当するスタッフが不要になりました。

2.AIのデメリット
AIのブームを巻き起こしたディープラーニングなどの機械学習技術は、膨大なデータを学習することで、時には人間以上の精度で判断を行うことができます。
例えば、自動運転においては、従来は人間が判断していたハンドル操作をAIが代替するようになります。
もし、事故が起きた場合は、責任はどこにあるのでしょうか?AIを作った企業なのか、自動運転車に乗車していた人なのか、これらは明確に法律で定義されていません。

2020年07月09日

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