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【UCHIDA ビジネスITフェア 2022】 DXを加速させるデジタル人材の育成とは 〜 IT・DXレベル測定を活用しデジタル人材育成の仕組みを確立する 〜

2023/1/20 [コミュニケーション,セミナーレポート]

自社の業務効率アップ・改革に、もはや欠かせないデジタル技術。貴社の社員はどの程度「活用できている」と言えますか?当社ではIT・DXレベル測定「i測」を活用したスキルの見える化と、その結果に基づくデジタル技術活用力向上やその他デジタル化やDX推進に欠かせないビジネススキルに関する教育についてお話します。貴社のDX推進を加速すべくデジタル人材育成のご検討にお役立てください。

株式会社ウチダ人材開発センタ
取締役 営業本部ラーニング営業部 部長
嘉山 晶彦

自己紹介

私は内田洋行に入社以来、ずっと営業畑でしたが、2002年に社内公募で、ブロードバンドサービスの立ち上げプロジェクトに参加しました。パートナー企業とともに、市場調査、サービス企画商品化に携わりました。その後、内田洋行で社員のIT力を高めようと、人材育成計画を立て、社員約300人にITパスポートを取得させるべく研修を実施。2012年に株式会社ウチダ人材開発センタに異動。現在に至ります。

株式会社ウチダ人材開発センタのご紹介

株式会社ウチダ人材開発センタは、内田洋行のグループ会社です。これまでのSE育成の経験を活かし、教育事業、eラーニング事業、派遣事業、有料職業紹介事業等を行っています。近年では、DX導入やAI、IoT関連の技術者を育成しています。

以下は主な事例です。

スライド資料:各業界における弊社DX推進・デジタル化事例-1
スライド資料:各業界における弊社DX推進・デジタル化事例-2

DX推進における課題

10月末に幕張メッセの「デジタル人材育成支援EXPO」というイベントに参加しました。半年前と大きく違ったのは、製造業、建設業の来場者がものすごく増えたことです。大手企業はDXの取組がかなり進んでおり、DX推進のため専門組織が増えていますが、製造業、建設業も今後は急速にDX化の取組が進んでいくことがうかがえます。

(1)DXの定義

まず、今更ですがDXの定義から。

「データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること、それによって企業として安定した収益を得られるような仕組みを作ること」がDXの定義です。

ポイントは、デジタルツールの導入はあくまでも手段であり、目的ではないということ。

「デジタルやデジタル技術を活用し、プロセスを改善して、デジタルを活用しやすい組織をつくり、環境変化の中でも淘汰されずに生き残り成長しつづけること」が目的です。

(2)なぜDXが必要なのか

なぜ、DXが必要なのでしょうか。理由として、AIやIoTが、急速に発展し、ビジネスの高度化が進む中で、市場における企業間の競争がますます激化していること、また、欧米諸国や中国と比べ、日本企業のDX進展が遅れていることが挙げられます。GAFAの売り上げが約770兆円、中国のアリババ一社の売り上げが約1兆円と言われる中、日本は大きく遅れています。

デジタル・ディスラプションによって淘汰されず、市場における勝ち残りを実現するため、デジタル技術を効果的に活用し、他社に先駆けて企業変革を実現することが必須となっているのです。

当社のような教育業界も競合が激しくなったと感じています。コロナ前は、オンライン講習を実施している会社はあまり多くありませんでしたが、コロナ以降はオインラインに対応しないと生きていけなくなっています。

「2025年の崖」という言葉がありますが、日本企業がDXを推進しなければ、2025年以降の5年間で、最大12兆円/年の経済損失の可能性があるといわれています。正直ぴんとこないという方もいるかもしれませんが、システムのレガシー化、レガシーシステムを維持するエンジニアの不足、レガシーシステムのままでは新しい技術に対応できないなど、厳しい課題に直面し、生き残ることができないのではといわれています。

ではどうしたらいいのでしょうか。

1つはできることからやっていくべきかと思います。私たち一人ひとりは、何からやればいいのか。まずは現状認識です。そして、激しい変化に迅速に対応するため、早いスピードでビジネスモデル、組織を変換できるビジネスパーソンになることです。

(3)企業の取組状況

DXの取組状況を見てみましょう。下図を見てください。赤線で囲んでいるのはDX未実施の企業の割合です。大企業で57.7%、中小企業で86.2%、全体で77.1%は全く取り組んでいません。

スライド資料:DXの取り組み状況

2021年のデータですから、今年は全体で60〜50%くらいにはなっていると思いますが、それでも、まだ半分くらいの企業は取り組んでいない。

(4)DX推進を阻む課題とは

DX推進における課題の1つは労働人口の減少です。人が足りないから進まない。下左のグラフを見ると、2021年あたりから労働人口が急激に減少していくことがわかります。

一方で、下右図のとおりAIやIoTサービスは爆発的に拡大しています。そちらに人員をとられ、ますますDX推進に関わる人材が足りなくなる。

スライド資料:DX推進における課題とは-1

以下は、IT人材の需要と供給を示したものです。

スライド資料:DX推進における課題とは-2

これによると、2030年には、IT人材が最大約79万人不足します。
外部採用は困難と考えられるため、社内育成が重要になります。

デジタル人材育成について

(1)デジタル人材を育成する

DX推進を加速するにはデジタル人員の育成が急務です。人材育成はすぐに成果は見えませんが、ここをしっかりやらなければDX推進は加速しません。

ポイントは、以下の2つです。

  • DX推進人材を育成する
  • 全社員のITリテラシーとDXリテラシーを向上する

(2)「DX推進人材」の育成&「全社員」のITリテラシーとDXリテラシーを向上

あえて、DX推進人材と全社員とを分けたのは意味があります。

下図は、経営層、DX推進人材と全社員の位置づけを表したものです。
経営層は、全社方針やDXの目的、DX戦略の決定、徹底を行います。それを受けて、選抜されたDX推進メンバーは、DXプロジェクトの企画・推進・実現を行います。全社員は、DXのフォロア層として、DXの実践、フィードバックを行っていきます。
それぞれ求められるタスクが異なるので、育成も分けて考える必要があります。

スライド資料:DX推進人材を育成する-1

(3)DX推進人材に求めるスキルのレベル

DX推進人材は、IT系の技術を駆使し、新たな発想でビジネスを想像できる高度なITエンジニアです。具体的にはどの程度のレベルを目指せばいいのでしょうか。
例えば、ITSS+ のレベル定義を参考にしてもいいのではと思います。
以下は、ITSS+のレベル定義です。

スライド資料:ITSS+ レベル定義

レベル7は世界で通用するプレイヤーと定義されています。そこまでいかなくても、レベル5,4あたり(ビジネス変革をリードする、業務上の課題発見と解決をリードする)を目指せばいいのではないでしょうか。

ところで、DX推進人材とはどのような人達なのでしょうか。以下は、経済産業省が考える、DX推進人材像です。

スライド資料:DX推進人材を育成する-2

経済産業省では、2022年12月には、「DXスキル標準」を発表する予定のようです。

スライド資料:参考:経済産業省 デジタル社会の人材像

たとえば、データサイエンティスト育成では、どのようなスキルの育成が求められるのでしょうか。以下の図に示すとおり、「DXスキル標準」ではビジネス力、データサイエンス力、データエンジニアリング力の3つの力が求められるとしています。具体的なスキルについては、現在検討中のようです。

スライド資料:DX推進人材を育成する

(4)DX推進人材育成の課題

DX推進人材育成において想定される課題として以下のようなものが考えられます。

  • メンバーの選抜方法
  • メンバーの意識づけ
  • スキルや成長の可視化

メンバーの選抜方法は、こちらが良いと思って選抜しても本人のニーズと合わなければ、ミスマッチによって退職してしまうということもあります。選抜の際にも何かの指標を設ける必要があります。

メンバーの意識づけについては、DXの理解に個人差がありますので、それを客観的に見える化したほうが良いでしょう。

スキルや成長の可視化はほとんどの会社でできていません。資格取得を目安にするのはわかりやすい考え方でしょう。

(5)DXフォロア層(全社員)育成

DXは一部の選抜メンバーが実施する企業戦略ではなく、全社員で取り組むべき戦略であるとの認識で、DXフォロア層を育成する必要があります。

変化の激しい時代に生き残りをかけて、自らがDX推進の一翼を担うという意識をもって、DX推進のための知識・スキルの習得を目指し、企業としての優位性を保ちます。

DXフォロア層に必要な知識・スキルをまとめたのが以下の図です。

スライド資料:全社員のITリテラシーとDXリテラシーを向上する

1つは土台となるITリテラシー、2つめはDXリテラシーです。具体的にはどのような知識・スキルを身につけるかは、経済産業省がとりまとめる「DXリテラシー標準」を参照すると良いでしょう。

  • ITリテラシーでは、コンピュータ、ネットワーク、セキュリティ、データ、インターネット、AI、IoT、DXといった、コンピュータの用語を理解し、仕組みをイメージできることが重要です。
  • DXリテラシーとは、DXの背景や活用されるデータや技術の知識、スキルを理解し、DXを自分事ととらえ、変革に向けて行動できる力であり、企業のDXを推進するために欠くことのできないスキルです。

たとえば身近にこのようなことはないでしょうか。

一人で Zoom や Teams の会議を接続できない、安全でないインターネット回線に接続する、Zoom や Teams で資料共有できない、エクセルを表の清書ツールとしてしか使えない、面倒だから便利なツールを避ける、検索せず、すぐ質問する…など。

ITリテラシー不足による効率ダウンもあるのではないでしょうか。全社員のITリテラシーを向上することで、こういう問題も解決していきます。

DX推進には、個人のDX理解と行動、組織のDX理解と協力が必要です。一部の社員が、DXの必要性を理解してもDXは進まないのです。

(6)現状把握と教育研修

「自分には関係ない」「めんどうなので協力したくない」「こんな研修必要なの?」など、新しいことに関わりたくない、変わりたくないのは、変化を嫌う心理=「現状維持バイアス」があるからです。これを克服するためには、第三者からアドバイスを受けたり、具体的な数字を用いて判断をすることが必要です。

全社員のITリテラシーを向上するために必要なことは、一つは、学ぶ意義の意識づけ、「なぜこれをやらなければいけないか」を示していくことが必要です。そのために大事なのは、1つは、数字で「今の理解はこのくらいだよね」ということをしっかり示していくことです(現状把握)。

2つ目は、効果的に研修を行っていくことです。全社員だと人数が多いので、全員に同じように研修をすることは難しい。わかっている人は自学習でいいけれど、そうでない人にはしっかり対応するといった棲み分けも必要です。

・スキルと知識の把握

現状把握では、ITリテラシーとDXリテラシーがどのくらいあるかを把握することがポイントです。以下は、アセスメントテストによって、知識の理解度を見える化した例です。

スライド資料:現状把握と教育研修-1

この例によると、情報セキュリティやコンプライアンスについては比較的理解できているが、ハードウエアやMicrosoft Officeについてはあまり理解できていないようだとわかります。全体の偏差値は40台です。

このような資料があると、「もう少し偏差値を上げていこう」とか、「弱い部分を強化しよう」とか、研修の方針が立てられます。

下図は年代別の正答率を表していますが、情報セキュリティやコンプライアンスは、若手の方の理解は年配に比べると低い。であれば、「若手の研修をしっかりしよう」という判断ができます。

スライド資料:現状把握と教育研修-2

以下はアセスメントを初級、中級、上級に分けて可視化した例です。例えばこの結果から、「エクセルは初級者が多いので、エクセルの研修を強化したほうがいい」といった使い方ができます。

スライド資料:現状把握と教育研修-3

以下は、カテゴリ別に、自分ができると思っているレベルと実際のテストの点数とのギャップを示したものです。これによると、「Excelはできると思っている人が多いが、実はそれほどできていない」ということがわかります。

スライド資料:現状把握と教育研修-4

このような分析をしながら、研修を組み立てていくというアプローチがよいのではないでしょうか。

たとえばアセスメントの結果によって社員を初級、上級、中級と分け、理解の少ない初級者には対面研修をやりましょう、中級者はeラーニングや動画研修でいいですね、上級者は自学習でもいいのではないですかと、いうふうに効率的に研修が組み立てられます。

そのためには現状の把握が重要ですので、把握するためのツールをわれわれは提供しています。以下は、アセスメントをもとに設計した基礎研修カリキュラムの例です。

スライド資料:現状把握と教育研修-5

まとめ

DX推進を加速するためには、2つのポイントがあります。

1つは、DX推進人材を育成すること。
これは、経済産業省のDXスキル標準を参考にしながら、人材類型ごとに必要な「知識・能力を整理し、教育を計画することが大事です。

もう1つは、全社員のITリテラシーとDXリテラシーを向上すること。一部の社員だけがDXを理解したのではだめで、一人ひとりがDXを自分事としてとらえ、変革に向けて行動できることが重要です。そのためには、アセスメントによってスキルや理解の現状認識を行い、その人に合った、やらされ感のない教育を実施することが大事です。

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