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【食品工場長向けコラム】 カミナリ対策に無停電装置が有効

2022/9/8 [食品,コラム]

今回の食品工場長向けコラムは「カミナリ対策に無停電装置が有効」と題して、パソコンや生産設備、データなどを雷による被害から守るための対策についてお話します。

ゴロゴロ音がしてからでは遅い

ゴロゴロとカミナリが落ちそうな気配があるときには、パソコンの電源を落として電源ケーブル、LANケーブルなどを抜くといいと言われています。ゴロゴロ鳴り出してからだと、ケーブルを抜いている最中にカミナリが落ちると、抜いている方がカミナリの被害に遭ってしまいます。

カミナリ対策には、UPSが有効と言われています。
UPS とは「Uninterruptible Power Supply」の略で、日本語では「無停電電源装置」と言われています。なぜUPSを設置するだけで機器を守ることができるのか。実は、UPSには雷サージを吸収する素子である「バリスタ」が内蔵されています。

バリスタとは、バリアブル・レジスタ(Variable Resistor)の略で、電圧により抵抗値が可変する半導体素子をいいます。ふだんは抵抗値が高くほとんど電流を流しませんが、一定の電圧を超えると抵抗値が急激に低下して電流が流れはじめ、電圧は一定になるという特性があります。

この特性を応用した製品が「雷ガード電源タップ」で、回路にバリスタを挿入することにより、誘導雷サージで発生する電流から電化製品を保護します。バリスタの入った電源タップを使用することで、カミナリの被害を防ぐことは出来ますが、停電になってしまうと、パソコンが強制的に終了してしまい、データなどが破損してしまう可能性があります。

UPSも停電してから5分程度あれば、通常の作業でパソコンの電源を落とすことができるので、カミナリ対策、停電対策だけを考えれば、非常に安価なUPSで十分な事になります。
停電対策を考えるときに、「ノートパソコンだから大丈夫」と言う方もいますが、カミナリで発生する雷サージと呼ばれる現象があります。雷サージとは、雷によって発生する一過性の異常な高電圧・過電流のことで、避雷針やアンテナ、電線などを伝ってパソコンに侵入することで被害をもたらします。すなわち、ノートパソコンでもカミナリの被害に遭う可能性があるのです。ノートパソコンであれば、カミナリ対策が出来ている電源の延長ケーブルを使用していれば、防ぐ事ができます。

デスクトップのパソコン、モニター、外付けハードディスクは、雷サージが侵入してくる経路にUPSを設置することで、大切なIT機器を雷サージから守ることが期待できるのです。

工場にカミナリが落ちたときに、事務所のパソコンだけでなく、生産設備にカミナリの影響が出ないか、電源供給の設備にカミナリ対策ができているか、確認する必要があります。
工場で使用しているパソコンがカミナリ被害に遭った時には、一般的な火災保険で保証されていますが、契約内容によっては、ノートパソコンは保証されていない物もあります。生産設備も、カミナリで破損したときに保険が出るかどうかの確認が必要です。
しかし、保険で保証してくれるのはパソコン等の機械だけになるので、大切なデータは保証してもらえません。

理想的には、すべてのデータをクラウド化することです。クラウドを直訳すると「雲」ですが、インターネット上のデータの保存置場を「雲」に見立てています。 手元にあるデータをインターネット上のデータ置場(クラウド)に保存することで、手元のデータを保存しているパソコンがカミナリ被害にあっても、データは守られる事になります。

「クラウドするほどではない」という方は、外付けハードディスクにデータのバックアップを取って、パソコンとは常時つなぐことなく、別の所に保管しておくことをお勧めします。
パソコンがカミナリで燃えてしまっても、データだけは生き残っていることです。

雷対策のチェックリスト

項目 内容
1.カミナリ対策の担当がいるか カミナリなどの危機を考える担当が明確になっているか
2.バリスタ (電子部品)があるか 必要な箇所に、バリスタを使用した対策ができているか
3.保険が有効か パソコン、生産設備が壊れた時の保険をかけているか
4.データのバックアップ 必要なデータがクラウドなどにバックアップできているか
出荷判定システム

食品工場長向けコラムの記事一覧

・カミナリ対策に無停電装置が有効

生産帳票の確認について 〜出荷判定を確実に〜

設備のバックアップについて 〜欠品を防ぐために〜

データの流出防止 〜パソコンなどの持ち出しを許可しているか〜

ICカードの利用 〜生産性向上、歩留り向上のために〜

アンテナを高く 〜最新の情報を集め、活用しているか〜

不審者対策ができているか 〜大阪放火事件から学ぶこと〜

ICチップカードの利用について 〜入場していい作業場かどうか〜

帳票の管理について、クレーム発生時にすぐに確認ができるか

現場で手書きの表示は行わない

帳票は毎日印刷すること

トレースバックできる仕組み作り

地域からの苦情の受付について

個人情報の取り扱いについて

危機管理センターの備えておくべき電気設備

危機管理センターの備えておくべき通信設備

危機管理センターという考え方

虫対策の必要性

殺菌の必要な設備の設計

こんな新設備の提案がほしい

ネット上の情報を確認していますか

ミス失敗の図書館が必要

安全衛生点検の必要性 〜転倒事故を防ぐために〜

コールセンターの必要性 〜違反の笛を吹くために〜

AI等の設備投資

食堂もキャッシュレスに。食品工場内のICカードの利用のすすめ

天災時には従業員との連絡を最優先で行うこと

通勤時の荷物について

清掃が工場管理の基本の基本 工場長の机は磨き込んでいますか

従業員満足を考えていますか

地域の方からいい会社と言われるために

生産性を上げるために、自分の設備と思える設備管理を

バイトテロを防ぐ従業員教育

残業の管理をどうすべきか

有給取得率を把握していますか

食品安全教育研究所 代表
河岸 宏和 氏

1958年1月北海道生まれ。帯広畜産大学を卒業後、農場から食卓までの品質管理を実践中。これまでに経験した品質管理業務は、養鶏場、食肉処理場、ハムソーセージ工場、餃子・シュウマイ工場、コンビニエンスストア向け総菜工場、玉子加工品工場、配送流通センター、スーパーマーケット厨房衛生管理など多数。毎年100箇所以上の食品工場点検、教育を行っている。
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