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【UCHIDA ビジネスITフェア 2023】 導入事例から学ぶ!食品製造DXの勘所

2023/12/8 [食品,ERP,セミナーレポート]

食品製造業の生産現場での原材料入荷から、製造・製品出荷までをトータルに管理し、作業を効率化するソリューション「Trace eye FOOD-Pro」について「導入事例」をベースにご紹介致します。自社工場だけでなく、取引先、海外工場、外部倉庫、さまざまな拠点をCloudでつなぎ、食の安全・安心を支援します。

株式会社サトー
営業本部ソリューション推進部 企画・推進グループエキスパート
渡辺 真 氏

株式会社サトーについて

株式会社サトーは1940年に創業した会社で、現在はホールディングス制を敷いており、持ち株会社はサトーホールディングス株式会社となります。連結従業員数は約5,600人、売上高は1,428億円(2023年3月期)。事業内容としては、電子プリンタ、ソフトウェア、シール・ラベル、ハンドラベラー等の企画・開発、設計、製造、販売、保守および販売促進ソリューションの販売を行っています。

「あらゆるものを情報化して社会のうごきを最適化する。」というブランドステートメントを掲げ、「現場から、世界を動かす力になる」ことを目指しています。
「あらゆるものを情報化」する方法として、バーコードやQRコード、ICタグ等による「タギング」の技術を強みとしています。

当社のサービスは、色々な市場に提供していますが、今回は食品製造業に焦点を当ててお話ししたいと思います。

食品製造業におけるDXの状況

経済産業省の「DX推進ガイドライン」では、DXは「ビジネス環境の変化に対応し、デジタル技術を活用してサービスやビジネスモデルを変革するとともに業務、組織、企業文化、風土を変革し、競争の優位性を確立すること」と定義されています。

また、DX推進は以下の3つの段階を踏んで進んでいくとされています。

  • フェーズ1 - デジタイゼーション(アナログ・物理データのデジタルデータ化)
  • フェーズ2 - デジタライゼーション(個別の業務・製造プロセスのデジタル化)
  • フェーズ3 - デジタルトランスフォーメーション(組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変換)

一般論としては、DXの推進は必ずしもフェーズ1から実施検討するものではないと言われていますが、積み上げてきた業務フローを一気に刷新することは難しく、実際には多くの企業が、フェーズ1から順を追ってDXを推進していますし、そうでなければDXの実現は難しいと考えます。

食品製造業の現実を見てみましょう。多くの現場で、手書きで記録 → それを事務所で手入力 → 目視でチェック → 複数人でチェックを行うという、アナログ管理を行っています。作業が大変で工数もかかる上に、ダブルチェック、トリプルチェックをしても、入力もれや入力ミスなど人為的ミスがなくならないという悩みがあります。

万一作業ミスが発生した場合、廃棄ロスが出るだけでなく、クレーム対応、作り直し、影響の調査、商品の回収などの対応に追われます。さらに怖いのは、企業が社会的信頼を失うリスクです。

このような状況を変革するために、重要なポイントは、デジタイゼーション(フェーズ1)、デジタライゼーション(フェーズ2)の段階をしっかり行ってステップアップしていくことです。そのためにお役に立てるツールが当社の「Trace eye(トレースアイ)シリーズ」です。

Trace eye FOOD-Pro のご紹介

(1) Trace eye FOOD-Pro の概要

「Trace eye FOOD-Pro」は、2004年から続くサトーのトレーサビリティソリューション「Trace eyeシリーズ」の最新モデル。製造業様の現場業務支援を目的とし、原材料の入荷〜在庫〜計量・投入〜出荷までをサポートする、テンプレート型パッケージソフトウエアです。食品業界を対象とした、「Trace eye FOOD-Pro」と、化成品製造業向けの「Trace eye Material-Pro」があり、56社63工場という導入実績があります。
2023年から、クラウド対応版をリリースし、ますますDX推進を加速させる支援を提供しています。

Trace eye FOOD-Pro は、原材料入荷から製品出荷まで、工場内のモノの動きを管理します。
具体的な流れは以下の図のとおりです。

(2) Trace eye FOOD-Pro でできること

原材料入荷から製品出荷まで工場内のモノの動きを管理します

まず、サプライチェーンの上流で、ラベルを貼り付け(タギング)、原材料入荷。ここで、仕入れ原材料のロットや期限を管理します。次に原料在庫の管理、原材料の製造現場への払い出し。製造現場では、原材料の計量処理やロット情報の記録、開封後使用期限の管理を行います。原材料は工場で製品に加工され、その後、出荷されていきます。この全行程をタギングによって一気通貫で管理できます。

生産管理システムと同じではないかと言われますが、生産をデータの観点で見た場合、上位層には生産計画や、在庫管理、原価管理、工程管理などがあり、そこから、実行、実務(作業)へと情報が流れていきます。当社が提供する Trace eye FOOD-Pro は、一番下の現場に近いところ、実行する際のデータをしっかりとらえ、上流へと戻していく。生産管理システムや製造実行システムとバッティングするものではなく、連携することで、互いの強みを補完し、生産プロセスの全体最適に貢献するものです。

Trace eye FOOD-Pro の役割

(3) Trace eye FOOD-Proの特徴・優位性

Trace eye FOOD-Pro は、多様な自動認識技術、タギング力を強みとし、また、カスタマイズに強いベースパッケージです。なぜなら、食品製造業は、作っているものもノウハウもそれぞれ細かく異なります。Trace eye FOOD-Pro は、お客様の業務をシステムに合わせていただくのではなく、カスタマイズしていただいて、システムのほうがお客様の業務に寄り添うという考え方です。そのためのベースパッケージなのです。

Trace eye FOOD-Pro は具体的にはどのように使うのでしょうか。まず、管理するものにバーコード、QRコードなどでIDをつけます。作業時に、リーダーでラベルをスキャンして、作業記録をデータ化します。これまで手書きで日報をつけていたのと同じ作業が一瞬で完了します。

これにより、原材料在庫の見える化、先入れ先出しの徹底、原材料の計量間違いの防止、投入間違いの防止、誤出荷防止、出荷記録の開示等が実現できます。

Trace eye FOOD-Pro で解決できる代表的な課題

Trace eye FOOD-Pro の特長と導入ポイント

(1) 特長

Trace eye FOOD-Pro の特長の1つは、原材料管理、製造管理、製品管理といった、モジュール単位で導入できること。全ての仕組みを一気にデジタル化できればいいですが、現場の負担が大きいですしコストもかかる。そこで、現場で一番困っているところにまずピンポイントで導入する。そこから段階的に導入範囲を広げていくという運用が可能です。

特長の2点目は、ハンディターミナルやラベルプリンタ、計量器など、様々な機器と連携ができること。

3点目は、現場の見える化です。スキャンされたデータは即座にシステムに反映され、また、誰がいつ何をどうしたかという作業もリアルタイムで把握できます。

4点目は、スーパーカクテルなど様々な上位システムと連携が可能なことです。これにより二重入力が不要となり、人的ミスも防止できます。

2023年2月にリリースされたクラウド版を使用すれば、さらに多くのメリットがあります。

まず、システムの維持・運用は弊社にお任せいただくことができます。中小企業では、IT専門スタッフがいないことが多くシステムの管理運用が負担になっていますが、そのお悩みが解消されます。

クラウドなら、サーバー構築費用などの初期コストも最小限に。維持・運用コストも軽減できます。SaaS型サービスなので、契約後すぐにご利用いただけます。インターネット環境さえあれば、工事も不要です。
お試し期間も設けていますので、導入が不安な場合は、1〜2週間使っていただくと、デジタル化への意識も変わるかもしれません。

Trace eye FOOD-Pro クラウド版は、システム標準APIを公開していますので、様々なシステムやサービスと連携することができます。地域拠点や海外拠点、業務委託先などとデータを繋げることで、様々なデータの利活用が可能になります。

さらに、ダッシュボード機能を新たに搭載しました。種々のデータをビジュアル化し、課題発見、改善のサイクルへとつなげることができます。

(2) 当社ならではの提案

お客様の中には、揮発性が高い原料などの使用により爆発の危険を伴う現場もあります。当社は防爆対応機器の選定や防爆対応機器に合わせた運用を提案しています。

また、食品の中には、ラベルを直接貼ることができないものや、結露して貼れない、高温・低温など、さまざまな条件のものがあります。当社はラベルを自社生産しているからこそ、結露や熱にも強く、お客様の運用に合わせた最適なラベルをご提案できます。
また、台紙のない「ノンセパラベル」(台紙をはがす手間や台紙のごみを削減)や、金属探知機が反応する「メタルサーマルラベル」(異物混入防止)なども当社で独自に開発しご提供しています。これが広がると、バーコードラベルは自社のためだけに貼るのではなく、取引先にも物流業者にもメリットがありますし、海外に発送する際にも作業の効率化が図れます。

導入事例のご紹介

Trace eye FOOD-Pro の導入事例をいくつか紹介します。

以下は惣菜メーカー様で、スーパーカクテルと連携した事例です。

導入事例のご紹介:惣菜メーカー様

この企業様の課題は、これまで手書きで行ってきた作業をデジタル化したいということでした。ポイントは、データ管理はスーパーカクテルで行ってきたので、いかにそこに情報を届けるかでした。原材料にIDラベルを貼り付け、入荷実績、移動実績、製造実績、出来高実績などを現場でインプットし、その情報をスーパーカクテルと連携することで、手書きの手間を削減。先入先出の際のミスもなくなりました。
この企業様は、最初は原材料の管理から段階的にデジタル化に取り組みました。最終的には、インシデントの際に原因を絞り込めるところまで実現し、トレーサビリティの強化に繋がりました。

次は調味料製造メーカー様の事例です。

導入事例のご紹介:調味料製造メーカー様

従来アナログで行われていた、原材料の計量、小分け、投入の工程をシステム化したことで、計量ミスがゼロに。また、製造前後の準備工程や手作業によるチェックなどの付帯作業が不要になり、トータル作業時間が半減。無駄な作業がなくなった分、本来の作業に集中できるようになりました。何より大きかったのは、ミスがなくなることによる安心感でした。

次は、化粧品メーカー様の、Trace eye Material-Pro の事例です。

導入事例のご紹介:化粧品メーカー様

この企業様では様々な外部環境の変化に対応して新しい製造プロセス作りました。近年は安心安全やパーソナライズ、オーガニックのニーズが高まっています。また、化粧品はOEM製品が多いのですが、品質の担保がブランド戦略にも直結します。厳しい品質管理のニーズにこたえるためにシステム化が必至でした。Trace eye Material-Pro は、柔軟なカスタマイズが可能なことから、採用していただきました。

以上です。実際の製品は、展示ブースでもご確認ください。
ご清聴ありがとうございました。

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