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【物流セミナー】 今ならまだ間に合う!物流2024年問題対策 〜具体的な対策編〜

2023/12/28 [物流,セミナーレポート]

ドライバーの時間外労働上限規制の適用は目前に迫っています。「これまで通りに荷物を運べなくなる」という危機が現実的になっている今、運行時間・距離を確保するための具体的な施策を、網羅的に解説いたします。あわせて、施策の1つとなる「トラック待ち時間の削減」を解決するツール「トラック簿」のご紹介もさせていただきます。

株式会社モノフル
セールス&マーケティングマネージャー
小窪 亘 氏

株式会社モノフルにて、セールス&マーケティングマネージャーを担当しています、小窪と申します。まず株式会社モノフルについて説明いたします。モノフルの親会社は株式会社日本GLPという会社で、物流事業を行っております。関東・関西エリアでもっとも物流用の不動産を保有している会社です。私どもモノフルは100%子会社で、物流業界向けのソフトウェアの開発・販売を中心に、他社ソリューションとの業務提携やスタートアップ企業への投資を行っています。

2024年問題とは?

皆様ご存じのことと思いますが、「働き方改革法」の改定によって2024年4月1日以降、ドライバーの年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることによって発生する問題のことを総称して「物流2024年問題」と言われています。
本セミナーにご参加されている皆様は「荷主」「物流事業者」「運送会社」いずれに所属されていますでしょうか?2024年問題は三者すべてに関わってくる大きな問題です。

では、2024年問題でどんな困りごとが発生するのでしょうか?大きく分けて2つあると考えられます。
一つは「割増賃金率がUPすること」、これは今年2023年4月からすでに実施されており、25%だったものが50%に引き上げられています。もう一つは2024年4月から始まる「時間外労働の抑制」、これによって残業時間の上限が960時間と定められることになります。

この問題によって支払運賃がUPし、ドライバーの総労働時間が減りすべての荷物を運びきれなくなるのではないか、と言われています。これが最大のリスクではないかと考えています。
ですので、ドライバーの労働時間をいかに運転時間に宛てられるかが非常に重要になってきます。「荷主」「物流事業者」「運送会社」の三者すべてが対策を講じる必要があります。

2024年問題への具体的な対策とは?

それでは、2024年問題への具体的対策について触れていきます。
まずはこちらの図をご覧ください。

貸切便の1日の動き

この図では、ドライバーさんの1日の働き方を簡単な例に示したものです。上部に記載した13時間というのは、このドライバーさんの1日の拘束時間です。これは現在日本で定められた上限です。そのため絵で表した様々な業務――車庫での点呼・点検、移動して積込、そして遠方の倉庫まで運行し荷卸しし、戻ってくる――を13時間の中でこなしている、というのが日本のドライバーさんの実情です。
これが2024年問題でどう変わるかというと、図の中の8時間の運行時間、そして運行距離が2割減るのではと言われています。そうすると、荷物が届けられなくなってしまうおそれがあります。荷主様にとっては「商品が届けられなくなる」つまり「販売機会のロス」が起きる可能性があります。運送会社さんにとっては、運行距離が短くなることで「収益の減少」のおそれがあります。

この問題に対し、我々がご支援することで何ができるか、次の図で解説いたします。私たちは運行時間の前後に発生している時間に着目し、これらを短縮することで運行時間をしっかり確保できるのではと考えています。

何をすべきか?

ここからは図の赤い点線の中の業務を如何にして減らしていくか、その具体的な内容をお話しします。以下の5つを順にご紹介してまいります。

【対策1】通勤/移動時間の削減(運送事業者様向け)
【対策2】運行ルートの最適化(物流企業者様、運送事業者様向け)
【対策3】積み下ろし時間の短縮(荷主様、物流事業者様向け)
【対策4】労働時間を考慮した拠点選定(荷主様、物流事業者様向け)
【対策5】人材不足への対応(物流企業者様、運送事業者様向け)

【対策1】通勤/移動時間の削減(運送事業者様向け)

これは運送会社様では日々悩まれているポイントではないでしょうか。ドライバー事務所から積込場への移動時間や、点呼・点検報告の時間がかかっているため、運行にかける時間が少なくなってしまうという問題があります。これを解決するために、

●積込場付近の営業所での「IT点呼」や「共同点呼」スペースの活用

という方法があげられます。「IT点呼」についてはすでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、ITサービスを利用することで実現可能です。「共同点呼」は馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。自営業所でなく受委託関係にある他社の営業所にて点呼を実施いただく方式のことで、最近取組が増えつつあります。簡単にいうと直行ができるイメージです。ご興味のある方は、国土交通省のwebサイト(https://www.mlit.go.jp/common/001005682.pdf)もぜひご覧ください。

また、思い切った対策にはなりますが、

●積卸し場の近くや同じ物流施設内に営業拠点を設ける

という判断もあります。

【対策2】運行ルートの最適化(物流企業者様、運送事業者様向け)

日々変わる荷卸先への配送ルートはベテランの勘に頼っているところが多いかと思いますが、配送先の増減や突発的な渋滞に対応できないことがあります。私たちはこの問題に対しては計画と調整をうまく組み合わせていくことをお勧めしています。

●<計画>ルート最適化ソリューションを活用し、運行時間(拘束時間)を考慮した配車組み、ルート選定を実施

ルート最適化ソリューションは世の中に様々ものがあります。これを利用して拘束時間を考慮可能です。また、当日の渋滞情報を考慮しながら、

●<調整>当日の渋滞情報を考慮し、ルートの調整を図る

ということも必要です。これによって配車組にかかる作業時間の短縮だけでなく、最適な台数や拘束時間を柔軟に変更して運航ができるようになります。PASCOさんの配送計画システムとNAVITIMEさんのナビゲーション&運行管理サービスとの連携事例もございます。

計画と渋滞補正の連携事例

【対策3】積み下ろし時間の短縮(荷主様、物流事業者様向け)

次に、倉庫のバースが混雑していて待機時間が長く、特にバラだと作業時間が数時間に及んでしまうという問題についてです。工場は構内も広く、受付までや、積み場までなど、構内の移動所要時間が長いこともあります。この問題については荷主様がまず、

●工場や物流センターにおける、受付から退場までの各工程の所要時間を把握

することから始めることが重要です。自社の拠点内での問題が把握できたら、

●バースシステムを導入し、遠隔地からの受付や、バースの事前予約を実現

ということが可能かと思います。また、システムとは外れますが、

●バラ積み/卸しからパレット化の推進(フォークによる積卸)

することで、荷役時間を1/4にすることができると言われており検討してもよいと思います。これらの施策でドライバーさんの場内での拘束時間を削減することが可能です。ここについては、後ほど当社のサービスをご紹介させていただきます。

場内での滞留時間については、よく呼び出しまでの待機時間が問題とされます。社会問題にもなっており、バース予約システムを使った待機時間の削減策を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。しかし、倉庫の中での滞留時間には、ほかにも要因があります。例えば、入口での「受付時間」、呼び出された後の「バースまでの移動時間」や「荷物の積卸時間」「事務所までの移動時間」が発生しています。

滞在時間の内訳とトラック薄機能

私たちの【トラック簿】というシステムでは、まずはこれらの時間の内訳を把握できます。把握したうえで、対応する機能でピンポイントの対策をするご提案をしております。ポイントとしては、待機時間(予約)だけにとらわれずどこに時間がかかっているかを把握することが大事と考えております。

【対策4】労働時間を考慮した拠点選定(荷主様、物流事業者様向け)

これはすぐご検討いただける話ではないと思いますが、今後新拠点を検討されるタイミングがあれば思い出していただきたいお話です。物流拠点選定の際には、坪単価や雇用の見込みがあるかという点が重視されてきたと思います。もちろん間違いではないのですが、今後は荷物をしっかり届けるためにドライバーの拘束時間を考慮した場所選びが必要になってきます。

GLPグループの拠点でいうと五霞(茨城県)〜鳴尾浜(兵庫県)間が550km〜600kmでして、これが1日で運航できる距離ではないかと思います。これまでは物流拠点には、賃貸料が都心よりは比較的近い埼玉県や千葉県などが人気でしたが、さまざまな会社で、さらに西寄り(神奈川県の厚木や相模原)に拠点を新設する動きが多くなっています。これは2024年問題を見据え、荷物を届けるためにされている判断かと思います。

●拠点選定時は、生産拠点や配送先だけでなく、ドライバーの拘束時間も考慮

する必要が出てきます。ただし、拠点を動かせない場合も多いと思いますので、

●既存拠点間でどうしてもオーバーする際は、中継輸送や、鉄道輸送も検討する

ことも必要です。

荷主様が労務上不可能な発注を行うと発注者責任を問われるリスクがあります。運賃が上がるなどの目に見えやすいリスクのほかにも、このような法的なリスクもあるということをご理解いただきたいと思います。運送事業者と健全なビジネスパートナーとなり、「選ばれる荷主」となることが重要です。

【対策5】人材不足への対応(物流企業者様、運送事業者様向け)

最後に人材不足、つまりドライバー不足による「運べない」、庫内作業員不足による「捌ききれない」といったリスクにどう対処していくかという話をします。ここについては、自社のリソースだけでなく、

●外部の空いているリソース(ドライバー・車両・作業員)を活用する

ということも必要になってくるでしょう。配送マッチングサービスやMSP(非典型労働者の確保と管理を請負うサービス)を活用することで、必要な時に必要な人員を確保することが可能です。私たちのサービスで、トランコム社との協業で提供している配送マッチングサービス【スピード求車】というものがあります。全国13,000社の運送会社と15分以内でマッチングするというサービスです。

また、OTS社との協業から人材派遣サービス【人材派遣デスク】というものも運営しています。600万人の登録をいただいており、必要人材を手配するサービスです。そして、人材不足を前提にロボットの活用を進めるという策もあります。私たちのグループ会社で、物流ロボットのサブスクリプション【+Automation】というサービスも展開しています。ロボットの採用には初期費用が高いということが多かったかと思いますが、月額で利用できるサービスです。

さてこれまで見てきた通り、まず大切なのは自社の業務の中にどんな課題があるかを把握することです。そして、ご紹介したような具体的な手を打っていっていただければと思います。

トラック簿について

最後に少しだけ、私たちのサービスを紹介させてください。現在は国内450の倉庫で使っていただいており、20万人以上のドライバーさんに使っていただいています。

トラック受付/予約サービス「トラック薄」

一言でご説明しますと、【トラック簿】は積卸倉庫で発生する滞在時間を可視化・削減するサービスです。倉庫の中で発生する滞在時間を可視化→分析→削減できるサービスです。例を挙げますと、日別平均待機時間・作業時間、燃料消費量・CO2排出量、バース稼働ヒートマップなどを把握できる機能を盛り込んでいます。

「トラック薄」の分析画面イメージ

機能別に3つのプランがございまして、月額0円からスタートいただけます。2024年4月までもう少し時間がありますので、ぜひご検討いただけますと幸いです。ご興味を持っていただいた方は、内田洋行さんにお問合せいただければと思います。

最後にまとめとして、改めてお伝えいたします。ドライバーの総労働時間が減り、皆様の荷物が運びきれなくなる「物流2024年問題」を乗り越えるためには、荷主・物流事業者・運送会社それぞれの立場で自分事として考えることが大切です。

ご清聴いただきありがとうございました。

▼よろしければ、本記事のセミナー動画(無料)もご覧ください
【いつでも視聴可能】今ならまだ間に合う!物流2024年問題対策 〜2024年問題 具体的な対策編〜

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