HOME > 情報システム分野 > IT レポート > これが物流現場の省人化!「台車ロボットが物流を変える」

【内田洋行ITフェア2016in東京】 これが物流現場の省人化!「台車ロボットが物流を変える」

2016/12/5 [物流,セミナーレポート]

高齢化が進み、今後ますます人手不足が深刻化する物流業界には、省力化・自動化が急務です。とはいえ、自動化につきまとうのは高コストという問題です。電動走行し、しかも自動的に作業者や先行する台車を追従する台車ロボットCarriRoの機能と、様々な環境での活用方法、今後追加されるより高度な機能について紹介します。

目次

  • 物流に自動運転・自律移動の技術を
  • 電動台車が人のあとから自動でついてくる
  • 自律移動するCarriRoを開発中
  • 倉庫、ショッピングモール、工場などで多様・多彩に活用
  • 荷台に載せた商品情報を自動で読み取るIoTパッケージも開発中

内田洋行ITフェア2016 in 東京にて

株式会社ZMP
新規事業推進室長 キャリロ事業担当マネージャー
笠置 泰孝 氏

物流に自動運転・自律移動の技術を

私たち「ZMP」はロボットメーカーです。2001年に会社を設立し、最初は「PINO」という二足歩行のロボットを作っていました。その技術を発展させ、さまざまなロボットを開発していきました。例えば「miuro」という音楽ロボットは、当時流行っていたiPodを挟むと音楽に合わせて踊ります。さらに人のあとをついていったり、自分で部屋の位置情報などを認識して自動で動いたり、といったロボットでした。

こうした製品開発で培った技術が幅広く産業分野に応用が効くのではないかと考え、2007〜8年ごろから自律移動、自動運転の方向に事業を展開することになりました。

最初は、ミニチュアタイプのロボットカーを作りました。これはステレオカメラやレーザーセンサを搭載し、路面の白線や周囲の環境を把握しながら自動走行ができる製品で、自動車メーカーや研究機関において、自動運転や運転支援技術の研究開発や実験にてお使いいただきました。

自律移動に必要となるセンシング技術や制御技術をいろいろなハードに適用することにより、さまざまなものを自動化できます。人が乗るクルマにも自律移動のシステムを導入することによって、自動で走らせることができるようになります。

これらの技術を物流分野に応用していこうと開発したのが、これから紹介させていただく「CarriRo(キャリロ)」です。キャリロは、開発に約3年をかけて今年の8月から量産品の出荷を開始しました。

電動台車が人のあとから自動でついてくる

▲ドライブモード

CarriRoには2つの運転モードがあります。1つが「ドライブモード」です。ハンドルについたジョイスティックを操作することにより、電動で台車が動きます。物流業界は若い男性の働き手の確保が難しくなっているので、女性や高齢者でも搬送機器を扱えるように作業負荷を下げる必要があります。その1つの解決策として、電動によるアシスト機能をつけることにより、誰でもラクに運搬作業ができるようにしました。

速度調整もできます。最大時速は6kmですが、作業者の走行速度、運搬速度に応じて速度を一定に保つことにより現場の作業速度を標準化することができます。

▲カルガモモード

もう1つは「カルガモモード」です。これは、台車(CarriRo)が作業者の後ろからついてくるという機能です。光の信号を出す「ビーコン」を作業者の腰につけると、後方のCarriRoの前部に備え付けられたカメラが、ビーコンとカメラとの距離を測定して、その距離を一定に保つように追従してきます。この後ろにビーコンをつければ、1台、2台とCarriRoを追従させることができます。ビーコンとの組み合わせによって、作業者がドライブモードで動かすCarriRoも含め、一人で3台ぐらいを一度に運ぶことができるわけです。これにより、運搬回数を減らし、作業効率を向上させることができます。人手を少なくしても、これまでと同じ作業をこなすことができることになります。

なお、CarriRoは「ペアリング」することができます。ビーコンの発光パターンを設定することにより、このCarriRoはこのビーコンだけを追従するというペアリングができるのです。この設定により、複数のビーコンがあったとしても、CarriRoは決められたビーコンにしか追従していきません。

自律移動するCarriRoを開発中

現在、「自律移動モード」を開発中です。自律移動の技術を応用して、CarriRoを自動で動かすモードです。下の絵に示したように、部屋の四隅にビーコンのポールを設置します。3つビーコンの光をキャッチできれば、そのエリア内の座標軸を設定できるので、その座標軸を各CarriRoが共有してルートを記憶させることができます。一度ルートを記憶させれば、あとは自律走行で行ったり来たりできます。なお、こちらはあくまで一つの自律移動の方式で、最終製品に搭載される技術は異なる可能性もあります。

倉庫、ショッピングモール、工場などで多様・多彩に活用

CarriRoのおもな活用方法をいくつか紹介したいと思います。

【倉庫、ショッピングモール】

最もよく見られるのは、倉庫や物流センター内でのピッキング業務、入庫・出庫業務に使うというものです。作業者が腰にビーコンをつければ、後ろのCarriRoがついてきます。女性や高齢者でも荷物の搬送をラクに行うことができます。

ショッピングモール、デパートの館内物流でもCarriRoは力を発揮します。現場では、作業者が台車を押して100mほどの距離を行ったり来たり、1日に何十往復もしています。これをカルガモモードで追従させれば、3回分の往復を1回で済ませられますから、作業負荷が下がり雇用の安定も期待できます。

【製造業、小売業】

工場内での工程間の搬送では、様々な使い方が考えられます。いわゆるミズスマシ(工程間の搬送作業者)といわれる、搬送だけを専門に行う方の作業効率を上げることで、人数を少なく抑えることができます。AGV(無人搬送車)にビーコンをつけ、それをキャリロが追従することによってAGVの搬送効率を上げることも可能です。

スーパー、ホームセンターなど大型の小売店舗でも、重量のある商品の品出し業務において搬送回数や作業負荷を下げることができるでしょう。

物流業界では自動化が進み、ロボット系のマテハン(マテリアルハンドリング)、AGV、自動倉庫などの導入を考えられている方も多いと思います。これらは省負荷効果、導入効果はありますが、導入にはかなりの初期コストが必要です。業務フローの設計や、レイアウトの変更なども必要になり、導入後のメンテナンス費用もかかります。なかなか踏み切れないので、手押し台車など人手の機器を使い続けているという会社も多いと思います。

私たちは、完全自動化と人手の中間を埋めるような製品開発を行っています。CarriRoは、1台のリース価格が月額3万5000円ぐらいですから、ハードルを感じることなくお使いいただけるのではないかと思います。この価格の中にメンテナンス料も含まれますから、ランニングコストの心配もありません。

荷台に載せた商品情報を自動で読み取るIoTパッケージも開発中

現在のピッキング作業では、一旦アイテムをピックした後に検品するところまで台車を押していきます。RFIDをキャリロに搭載することによって、ピッキングと検品を同時にやってしまおうというのです。さらに、そのまま梱包スペースまでCarriRoを移動させれば、梱包と出荷に直結することができ、作業を大幅に省力化できるでしょう。

リアルタイムの作業情報をWMS(倉庫管理システム)などのシステムを通じて管理者がチェックできれば、今、このアイテムがピッキングされた、この人の作業はこれだけ進んだというように、在庫の情報と作業の進捗を同時に把握することができます。

RFIDを搭載したキャリロの試作機はすでにでき上がっています。

ドライブモード、カルガモモードを備えた現行のCarriRoをお試しいただくと同時に、今後リリースされる新機能を備えたCarriRoにも是非、ご注目いただきたいと思います。

  • 「UCHIDA ITメールマガジン」にご登録ください!
    セミナーやお役立ち情報をメールでお届け

新着記事

情報システム分野

主な製品シリーズ

  • 文書自動配信サービス「AirRepo(エアレポ)」
  • 業種特化型基幹業務システム スーパーカクテルCore
  • 会議室予約・運用システム SMART ROOMS
  • 絆 高齢者介護システム
  • 絆 障がい者福祉システム あすなろ台帳

セミナーレポートやホワイトペーパーなど、IT・経営に関する旬な情報をお届けする [ ITレポート ] です。

PAGE TOP

COPYRIGHT(C) UCHIDA YOKO CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.