食品トレーサビリティシステム導入事例
マルトモ株式会社 様

執行役員デジタル戦略室室長 鶴岡 様、経理部部長・経営企画部 酒井 様、デジタル戦略室情報システム部長代行 水口 様
「Trace eye FOOD-Pro」を導入し、
ヒューマンエラー防止とトレーサビリティ管理を実現
業種 | 水産加工食品メーカー |
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導入システム | 食品トレーサビリティシステム「Trace eye FOOD-Pro」 |
マルトモ株式会社様は、愛媛県内に5工場、宮城県に2工場を構え、自社製品の製造・販売を展開する水産加工食品メーカー。削り節、煮干し、だしの素、めんつゆ、チルド商品など、多岐にわたる製品を1,000アイテム以上取り扱われています。製造現場での計量ミスや誤投入を防止し、トレース管理を迅速化するため、内田洋行の紹介で「Trace eye FOOD-Pro(株式会社サトー)」を導入。その経緯を、鶴岡徹様(執行役員デジタル戦略室室長)、酒井亮様(経理部部長・経営企画部)、水口浩太様(デジタル戦略室情報システム部長代行)、リモートで取材対応頂いた、尾崎健二様(仙台第二工場長)に伺いました。
導入のメリット
- 製造現場でのヒューマンエラー回避、計量ミス、誤投入の防止
- トレース調査の迅速化
- 目視チェックや手書きの削減、作業効率向上
- ミスを起こさせないシステムにより作業者の負担軽減
- システム全体構成図
かつお節や和食文化の魅力を伝える会社
―― 御社の事業内容や近年の状況を教えてください。

ヒューマンエラー防止とトレーサビリティ管理が課題
―― マルトモ様では基幹システム「スーパーカクテル販売・生産・原価」を導入していますが、2023年に食品トレーサビリティシステム「Trace eye FOOD-Pro(株式会社サトー)」を導入されました。その経緯を教えてください。
目的は、ヒューマンエラー防止と、トレーサビリティ管理の2点です。
当社の製品は複雑な配合レシピのもと、約250種類以上の調味料を計量・配合して製造しており、計量ミス、配合ミスが数年に一度の割合で発生していました。当社には厳しい品質チェック機関があるため計量・配合ミスのあった製品が市場に出回ることはありませんが、その製品はまるまる廃棄ロスとなります。これをなくすことが課題でした。
また、従来は紙ベースの計量・投入指示書を使って作業を行っており、作業記録も紙ベースで行っていました。これが現場では大きな負担になっていました。
さらに、原材料の使用における「先入れ先出し(賞味期限が短いものから先に使う)」のルールが徹底されていないという現状がありました。
システム導入によってこれらの課題を解決することが目標でした。
―― 導入までのスケジュールは?
導入検討を開始したのが4月。当初は工程が複雑なチルド工場、仙台第2工場での平行導入を考えていましたが、サトー様と現場を確認した結果、1カ所に集中してモデルケースを作った方が良いとの助言を受けました。
チルド工場は取り扱う原材料のアイテム数が細かく複雑であったことと年末にかけて繁忙期を迎えるため、まず仙台第2工場で導入することを決めたのが11月でした。
11月に仙台第2工場の現場調査、12月に「Trace eye FOOD-Pro」を発注。1月にLANや電源工事を行い2月に納品。3月からテスト開始というタイトなスケジュールで行いました。4月は仙台第2工場の繁忙期に入るのでそれまでに稼働したかったためです。
カスタマイズなしで使えることが導入の決め手に
―― 導入にあたってのプロセスは?
本社の技術担当として私、仙台第2工場の工場長、技術スタッフらでチームを作り、まず現状の工程の洗い出しやボトルネックの特定、次にシステムによって何が改善されるのか、導入メリットは何かを検討しました。
―― 導入前に他社製品を比較検討されましたか?
他に2社の製品を検討しましたが、どちらも食品製造業に特化されておらず使い勝手が悪いと感じました。
「Trace eye FOOD-Pro」は食品製造業の実績も多く、標準機能でほぼカスタマイズなしに使えそうだと感じたことで導入を決定しました。
ミスをなくし、ルールを徹底。トレーサビリティも確保
―― 導入効果は?
計量ミスがなくなり格段に効率性が高まりました。システム化により、賞味期限に合わせて「先入れ先出し」のルールも従来以上に徹底できるようになりました。
取引先からトレース依頼があった場合、以前は日常業務と並行して紙ベースの記録を確認していたため最低でも2~3時間かかっていましたが、「Trace eye FOOD-Pro」導入後はパソコンで瞬時に原材料リストが出てくるので数分で対応できるようになりました。
「デジタル化」というと「難しそう」と不安を感じる人はいましたが、初心者でも数分のガイダンスで簡単に使えるようになったことに驚きました。ハンディターミナルでバーコードを読み取るという簡単な作業と、タブレットPCのタッチパネルで直感的に操作できる点がよかったのだと思います。
工場見学にこられた取引先様もこのシステムに感心してくださり、当社の信頼性の向上にも役立っていると感じます。

最も工程が複雑な2つの工場で導入し、今後は横展開を
―― 今後の展開について教えてください。
仙台第2工場で思った以上にスムーズに導入ができたので、4月には第二弾でチルド工場に導入しました。今後は他の工場にも横展開をしていく考えです。
また、将来的には基幹システムの「スーパーカクテル」と在庫管理の面で連携したいと考えています。
―― カスタマイズはされましたか?
最初はカスタマイズなしでしたが、その後現場からの要望があり、①アレルゲンのある調味料を扱う場合の表示をわかりやすくすること、②チルド商品で少量多種の調味料を扱う場合に一活で投入できるようにすることの2点をカスタマイズしました。
他社の成功事例を見て、自社の導入後をイメージする
―― これからシステムの導入を考えている企業様へのアドバイスはありますか?
当社はシステム導入前に、バーコードで生産管理をしている他社の工場見学をさせてもらい、自社に導入したらどうなるかとても明確なイメージを描くことができました。もし迷っている企業様があるなら、他社事例を見てみるのもよいのではないでしょうか。
―― 最後に、社会に向けての御社のメッセージをお願いいたします。
当社は「お客様第一主義」「食の安心・安全の徹底」「健康と食文化の発展に貢献する」という経営理念を掲げています。近年、世界的な日本食ブームですので、国内だけでなく海外にも、だしを中心とした和食文化の魅力を広げていきたいと考えています。
企 業 名 | マルトモ株式会社 |
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代 表 者 | 代表取締役社長 明関 眸(みょうせき ひとみ) |
設 立 | 1918年(大正7年)11月 |
資 本 金 | 1億円 |
従業員数 | 約460名 |
事業内容 | 花かつお、かつおパック、削りぶし、煮干し、だしの素、めんつゆ、チルド製品(魚介加工品)、ご贈答品詰め合わせ、サプリメント、ペットフード |
U R L | https://www.marutomo.co.jp/ |

当社は花かつおを中心として、削り節、だしの素、めんつゆ、チルド商品などを展開し、和食文化の魅力を伝えています。
ロシア・ウクライナ戦争の影響で、鰹節の鮮度保持に使う窒素ガスなどのエネルギーコストが高騰し、2021年~2023年で1.5倍増に。原材料は輸入が多いため円安の影響も響いています。コスト増を価格にも転嫁したため売上は上がっていますが利益は減少。この危機を乗り越えるべく全工場一丸となってコストダウンに創意工夫した結果、2024年には増収増益が見込めそうです。