経営方針

経営戦略

内田洋行グループ 第16次中期経営計画(2022年7月期〜2024年7月期)について

このたび、内田洋行グループは、第16次中期経営計画(3ヵ年)を策定しましたので、お知らせします。

内田洋行グループ 事業構造

前第15次中期経営計画では、伸長需要としてWindows10更新、教育ICT拡大、首都圏オフィスに焦点を定めて注力し大きな成果となりました。その後の想定外のコロナ禍においてもGIGAスクール構想にグループをあげて対応するなどから高い結果をあげ、最重要課題として掲げた「収益性の向上」を実現、2期連続で最高益を更新しております。次の第16次中期経営計画では、中長期課題である2025年以降の労働人口の急激な減少を見据え、「新たな競争優位の確立」と「中核事業の再構築」を目指します。

目指すべき姿と方向性

日本の経済政策は、バブル経済の崩壊からリーマンショック以降まで長期にわたるデフレ環境下にありましたが、2012年以降の大胆な金融緩和と財政処置で成長を促し、女性・高齢者と外国人の労働参加の増加策から景気の好転を引き出しました。しかし、2020年からのコロナ禍で巨額の財政支出を余儀なくされ、国の財政運営の将来は厳しさが増すことも予想されます。

今後はコロナ禍後の景気の反転が見込まれるものの、2025年以降から加速する労働人口の急速な減少は潜在成長率の更なる低下を呼び起こします。低下を補うための生産性向上には、社会全体のスマート化が必須となりますが、このコロナ禍での行政や医療、教育の現場では、デジタル化や規制緩和の遅れが一気に顕在化してきました。このままでは2025年以降の国内経済はマイナス成長の可能性も懸念されるところです。

この状況を打開すべく官民とも方向転換に動きだし、2021年9月にはデジタル庁が設置され、成長戦略であるデジタル化への集中投資・実装と規制改革がいよいよ本格化します。民間企業でもDX投資が加速し始めました。この官民あげてのDX時代に対応するには、将来のデジタル社会の担い手の育成が重要となり、「人」と「データ」への投資の強化がより一層必要となります。

当社グループの主要顧客である企業・自治体・教育機関では、「人」と「データ」が重視されるDX時代に向け、デジタル化の推進とともにそれを支えるICTと環境の構築ならびに働き方、学び方の変革が進むことでしょう。

2025年以降を見据え、お客様の社会変化への対応をご支援することが、内田洋行のこれからの成長機会と考え、このような社会変化に対応すべくグループのリソースを最大限に活用するため、従来の事業の枠から脱却し、本格的なグループ経営の実現を目指すことを第16次中期経営計画の主要課題といたします。

第15次中期経営計画において前倒しで着手した「中核事業の再編」に向けた施策

中長期的な会社の経営戦略

第15次中期経営計画期間では、製品とスキルの軸から環境構築関連ビジネスと ICT関連ビジネスに、市場の軸から民間市場と公共市場にわけた、4つのマトリクスを設定し、従来の三セグメントに内在する各事業をSBU(スモールビジネスユニット)として分類したうえで、内田洋行グループが持つ事業ポートフォリオを俯瞰的な視点から見直してリソース再編の検討を始めました。そのうえで一部を先行着手しております。

  • (1)従来の事業分野枠を超えた事業の強化
    • ネットワークビジネス、ガバメントビジネス推進、ドキュメント&ECOソリューションビジネスを、旧来の事業部から独立させ、事業部格として成長させる戦略を推進。また、分社し民間市場を中心としていたウチダ人材開発センタの教育研修事業を公共市場にも展開し、大きく事業拡大を果たす。
  • (2)ICTリソースの集約(機能の集約)
    • 内田洋行内の営業系の事業部に分散していたエンジニア(SE)の一体化と、ICT関連の製品・サービス開発機能のリソースを集約する。(その後のGIGAスクール構想への対応の中核となる)
  • (3)情報システムの一元化の準備
    • グループ間で分断されていた情報システムの一元化に着手

第16次中期経営計画の考え方

2025年以降を見据え、新たな競争優位と中核事業の再構築に向けて、以下の重点施策に取り組んでまいります。

  • (1)2025年を見据えながら、コロナ後の景気回復と新たな需要への対応
    • ○大手民間市場へのリソース集中
      • 生産性向上に直結するオフィス構築
      • DX時代に向け、シェアの高いソフトウエアと顧客基盤の連携から新たな競争優位を形成
    • ○ICT×環境への挑戦(独自性の発揮)
      • 人とデータを結びつける環境構築とICT構築の事業連携
    • ○民間のDX対応と中堅中小での業種特化
      • マイナンバー、電子帳票、電子インボイスで加速するDXに向けた強化
      • 食品業、建設業、社会福祉、化成品業の深堀と新たな業種への展開
    • ○公共のDX
      • GIGAスクール後の新需要への対応へプラットフォームの強化
      • 政府・自治体のシステム標準化にむけたDX推進への対応
    • ○再度地方創生の高まり
      • 地方の公共需要、コロナ後の対策拡大への対応
  • (2)2025年以降を見据えた中核事業の再構築に向けて
    • 新たな競争優位の獲得を推進するには、従来事業を横断した施策が必要となる。15次中計で着手した再編から中核事業の再構築に入る。まずは先行して、公共ICT、地域施設で組織を、ICTエンジニアでは人材とスキルに横串を通すことを推進する統括を置き、変革のスピードアップを図る。今後は、大手民間市場などを念頭に、市場と事業スキルを縦横の軸とした4つのマトリクスに沿って、新たな統括の設置やグループ各社を含む再編等により柔軟に再構築を進める。
  • (3)ダイナミズムを創出するための構造の見直しを支えるマネジメント改革
    • ○情報システムのグループ対応
      • 会計・販売管理のグループ統合
      • 単体・グループ人事IDの統合とグループネットワーク基盤の増強
      • 新たなビジネスモデルに対応できるシステム化(サブスクリプションモデル)
      • これらを通じてデータの可視化と新たなビジネスモデルの対応を進める
    • ○統合した財務と各ビジネスユニットの新たな事業評価
    • ○人事・総務等の制度改革
    • ○セグメントの見直しの検討

利益計画の考え方

中長期的な会社の経営戦略

2020年度、2021年度に獲得した期間が限定された大きな増収要因は今後は予測されていませんが、顧客基盤が拡がり各事業での競争力も向上していることから、特需を除いたベースラインアップは堅実に今後も伸長できると考えます。そのなかで、2025年以降に向けての中核事業再編ならびにグループ経営推進のため、システム投資や人材投資、ICT関連の製品・サービス開発など、将来に向けた投資を見込みます。

<第16次中期経営計画(2024年7月期)目標値>
売上高 2200億円以上
営業利益 60億円以上
ROE 8%を安定的に達成できる経営基盤の確立を目指す

計画期間における日本のGDP成長率を6~7%と推定し、(2021年7月期にあった特需を除く)売上高2000億円をベースとして、その伸び率を上回る10%以上を目指す。

持続的成長に向けて

内田洋行グループは、「働き方変革」「学び方変革」「場と街づくり変革」に取り組むことを、2015年から先駆けて方針として掲げました。コロナ禍を経た2021年、この方針の先につながる、デジタル化社会の実現、「人」と「データ」への投資の強化、新たな地方創生という大きな社会課題の解決に挑戦します。

第16次中期経営計画では、従来のマネジメントから脱却を図り、売上構成で三分の二となるICT事業を基盤として活用し、ICTと環境の両方のリソースを駆使することで、グループ全体で新たなダイナミズムを生み出すことから、2025年以降に予想される大きな社会構造変化に対処することを目指します。

2021年に内田洋行グループは創業111周年を迎えました。歴史の中で創り上げた事業領域にこれからの社会課題を重ね、中核事業の再構築に取り組むことが、ESG経営とSDGsの実現につながるものと考えます。

グループビジョン「情報の価値化と知の協創をデザインする」のもと、内田洋行グループは社会構造変化に対応し、将来に向けて社会に貢献してまいります。

株式会社内田洋行
2021年9月10日

内田洋行グループ 第16次中期経営計画(2022年7月期~2024年7月期)について[PDF 977KB]

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