基幹システム導入事例
株式会社コスメサイエンス 様

業務効率・欠品率を劇的に改善
スーパーカクテルと秤量機連携で実現した化粧品OEM企業の業務改革
| 業種 | 化粧品・医薬部外品製造業 |
|---|---|
| 対象業務 | 販売管理、購買管理、品質管理、生産管理、 原価管理、在庫管理 |
| 導入システム | スーパーカクテル販売・生産・原価 UC+ バックアップ IT-Matex |
化粧品の開発から製造までを担うOEM専門メーカーの株式会社コスメサイエンス様は、2016年に生産管理システムの更改において「スーパーカクテル販売・生産・原価」を導入。同時期に導入した寺岡精工グループ様の秤量機/ 入出庫管理システム「IT-Matex」と連携し、原材料の入庫・出庫・在庫管理の高度化を実現しました。また2020年には内田洋行ITソリューションズの「UC+ バックアップ」も導入し、事業継続の強化も実現。その経緯を、管理部 部長 戸貝一裕様にお聞きしました。
導入前の課題&導入効果
紙 / Excel 台帳と実在庫量の差異が生じた場合その修正に手間がかかっていた
種類が多く、似たような容器に保管された原材料を見分けることが難しく、誤出庫などのヒューマンエラーも誘発しやすかった
製造実績や出荷実績は各部署が独自に管理する Excel から抽出する必要があり、部署間での共有ができていなかった
スクラッチ開発への投資が困難なため生産管理に実績のあるパッケージが必要だった
秤量システムと連携したバーコード管理で実在庫の把握とトレーサビリティが実現
棚卸結果のリアルタイム登録が可能になり、効率化とともに欠品率も劇的に改善
原材料投入時の取り間違いや秤量・投入順におけるミスの可能性を大幅に削減
標準原価と実際原価の比較により生産工程の見直しなど原価低減の対策に貢献
生産管理の作業時間が最大3分の1 に削減され、役割の分散化と責任範囲の明確化も実現
- システム全体構成図

導入の経緯
Excel 台帳と実在庫の差異や誤出庫リスクを改善するため生産管理システムを更改
―― 貴社は化粧品の研究開発から商品出荷まで完全BtoBのOEM製造事業において、敏捷性の高いビジネスを得意とされています。そうしたユニークなものづくりにおいて、スーパーカクテル導入以前の生産管理業務における課題を振り返ってお聞かせください
―― そうした課題の改善に向けて、どのような解決法を模索されたのでしょうか
Excel と Access から脱却するために、新たな生産管理システムを導入しようと決断しました。そこで、標準化されたパッケージを導入すべきか、当社の業務に合ったシステムをスクラッチで開発すべきかを様々に検討。パッケージは様々な業態に対応するために機能が網羅されているものの、肝心の生産管理が乏しいように思えました。
一方、スクラッチ開発では、コストを試算したところ数億円にも達することが判明したため、投資の必然性が問われました。当時の経営層からも業務をパッケージに極力合わせる形で生産管理システムの導入を検討してほしいという指示があったため、生産管理機能に実績のあるパッケージ製品を検討することになったのです。
製品の選定
基本機能の充実と直感的な操作性の高さでスーパーカクテルを選定
―― スーパーカクテルの選定理由についてお聞かせください
2015年前半頃から様々なパッケージ製品を調査する中で、スーパーカクテルは業界の知人からも推奨する声が多く、当初から有力候補として注目していました。また、食品業界の製造と販売機能をベースに開発され、化粧品業界向けオプションも用意されていたことから、興味を持って詳しく検討することにしたのです。
当時は社内で原材料を管理する調製グループにおいて、寺岡精工グループ様の秤量機/入出庫管理システム「IT-Matex」の導入も検討していたため、それと連携可能なことも必要な要件でした。スーパーカクテルは IT-Matex との親和性が高いことから、導入を決定しました。
決め手は主に次の2つです。まず、基本機能が充実しているため、業務に合わせたカスタマイズを行わなくても当社の生産の流れに合わせた活用ができると考えました。また、初めて使う人でもわかりやすい直感的で洗練された操作性も高く評価できました。Excel の運用から新しいシステムに業務のやり方が大きく変わるため、職人的な管理をしていた熟練の担当者はもちろん、初めて使う担当者も戸惑わず、ストレスなく活用できることが最も重要だったのです。
―― 導入決定から稼働開始までのエピソードについてお聞かせください
2015年7月に導入し、2016年9月に稼働開始しましたが、その間に最も時間を費やしたのが設計段階における各部署への丁寧なヒアリングでした。現場の担当者が抵抗を感じないようスムーズに導入できたのは、内田洋行と内田洋行IT ソリューションズによるきめ細かな伴走支援のおかげだったのです。何度も来社し、現場の意見を傾聴した上で、担当者が納得するまで疑問を解消するなどのサポートを根気よく続けてくれたため、多くの社員も自分の思い通りのシステムができあがったというイメージを持ってくれました。
導入の効果
秤量・投入ミスの可能性を大幅に削減し原価の正確な把握も同時に実現
―― 今回はスーパーカクテル以外に、内田洋行ITソリューションズのクラウドストレージサービス「UC+ バックアップ」も採用されました
スーパーカクテルと UC+ バックアップは同じ内田洋行グループのサービスであるため、連携の最適化も図る事ができる上に、万一の際はバックアップからの復元も容易になるだろうと判断しました。
―― 一方の IT-Matex とスーパーカクテルの連携はどのように行われているのでしょうか
スーパーカクテルで発注した原材料が入荷した際に IT-Matex で受け入れを行います。入庫した原材料には1品ごとにバーコードを発行し管理する運用に改めました。入庫情報は IT-Matex からスーパーカクテルに CSV で受け渡し、入荷実績としてスーパーカクテル側に反映。その後、スーパーカクテルの生産計画をふまえた原材料の投入順や投入量について、IT-Matex より出力されるバーコードを読み込むことで具体的に指示する仕組みを構築しました。それにより、投入ミスを防ぐとともにロット管理も行い、先入れ先出し運用にも活用しています。リアルタイムな実在庫の把握と出荷後のトレーサビリティが実現したほか、毎月の棚卸もバーコードリーダでスーパーカクテル上へリアルタイムに登録できるので、Excel に手作業で登録するより格段に効率化。欠品率も劇的に改善しました。
―― その他の導入効果についてもお聞かせください
特に強調すべき効果は3つ挙げられます。
1つ目は、秤量ミスや投入ミスの防止です。スーパーカクテルのマスタから製造指示データに作業手順を反映するとともに、バーコード管理の導入によって取り間違いや秤量・投入順のミスの可能性を大幅に削減できました。
2つ目は、正確な原価の把握です。これまでは原材料や経費、労務費などの積み上げ額を製造実績の品目ごとに割って算出していたため誤差が出ることもありましたが、現在は実際原価の正確な把握が可能になりました。標準原価と実際原価の比較によって生産工程の見直しなど原価低減の対策に生かせるようにもなったほか、ロット別の個別原価も明らかにすることができています。
3つ目は、業務の劇的な効率化です。導入以前と比べると作業時間が半分〜3分の1程度に削減した印象です。Excel で原材料の調達月報を処理していた際は、購買部の担当者に数字が集められ、入力から入出庫まで全て行っていたので非効率的で時間もかかっていました。現在は物流部門が資材の入出庫処理を担い、生産部門が完成計上し、最終的には売上出荷計上するため、役割が分散化し責任範囲も明確になりました。
今後の展望
グループ企業の海外向け商品製造に備え生産管理システムもグローバル対応を強化
―― 今後の展開予定などをお聞かせください
当社は2024年3月に英国 Silverwood Brands PLC 様の日本法人 Sonotas 株式会社様のグループ企業となりました。今後は、Sonotas の海外向け商品の生産も順次当社で行っていく可能性もあるため、スーパーカクテルをはじめとした生産管理システム全体をグローバル対応に向けてよりアップデートしていくことも想定されます。
―― 最後にこの度のプロジェクトを振り返り、総評やご意見をお聞かせください
生産管理システム更改の連携パートナーとして、内田洋行グループを選択したことは正しい判断でした。現在も内田洋行ITソリューションズのSEによってきめ細かなサポートを行っていただいているので、対応が迅速かつ正確で非常に助かっています。今後は、業務アプリケーションと連携するクラウド対応も視野に入れていますので、スーパーカクテルの更なる業務への浸透に向けて変わらぬご支援を期待しています。
| 企 業 名 | 株式会社コスメサイエンス |
|---|---|
| 設 立 | 1984年11月9日 |
| 年 商 | 約15億円(2025年6月現在) |
| 従業員数 | 100名(2025年6月現在) ※パートタイム含む |
| 事業内容 | 化粧品・医薬部外品の受託製造、研究開発、企画提案 |
| U R L | https://cosme-science.co.jp/ |



カタログ、お役立ち資料を
当社は2016年にスーパーカクテルを導入しましたが、それ以前は原材料の発注から製造への払い出しまで全て Microsoft Excel で管理していたため、在庫管理を正確に維持することが課題でした。生産計画に基づき、構成品の配合に応じた供給量を Excel の在庫管理表を参照しながら担当者が秤量し、月末には棚卸後の数量を Microsoft Access を使ってデータベース化していました。しかし、原材料の入出庫の伝達と使用実績のリンクは Excel の中だけになっていたため、Excel 台帳と保管棚の実在庫量が異なっていたこともあるなど、修正に手間がかかっていたのです。また、多くの原材料は標準的な瓶または缶の容器で納品されるため見分けることが難しく、誤出庫などのヒューマンエラーも誘発しやすいという悩みもありました。さらに、当時は日々の製造実績や出荷実績なども各部署が Excel で独自に管理していたことで、部署間の連携があまり行われず、出荷月報を作成する際は各部門の Excel から必要なデータを抽出して集計する必要がありました。