プレスリリース

2020/3/31

東京大学と内田洋行、アクティブ・ラーニングで共同研究を開始
〜「知識構成型ジグソー法」を実装する学びの場をモデル化〜

株式会社内田洋行(本社:東京都中央区、代表取締役社長:大久保昇、以下内田洋行)教育総合研究所は、2019年10月16日、東京大学高大接続研究開発センター(所在地:東京都文京区、センター長:佐藤健二)高大連携推進部門(白水始教授)と教室でのアクティブ・ラーニング実現に向けた共同研究を開始しました。

この共同研究で両者は、内田洋行が空間構築を担当した高等学校のアクティブ・ラーニング教室での「東京大学 ジュニアドクター育成塾 特別講座」1の実施(2019年12月)や、内田洋行新川本社「フューチャークラスルーム®」での「東京大学 知の協創 実践学講座」2の共同企画(2020年3月、新型感染症対策のため実施延期)を行う中で、新しい学びのコンセプトモデルを検討してまいりました。

2020年4月1日より、これまで検討してきた学習のあり方や学習の場のコンセプトモデルを“Future Learning Sciences Room”と名付け、この研究開発プロジェクトを本格的に展開しますので、お知らせします。

「学び方変革」と「学ぶ場の変革」

2020年4月から、順次、新学習指導要領が全面実施されることにともない、小中高等学校でも、「『主体的・対話的で深い学び』(アクティブ・ラーニング)の実現に向けた授業改善」が進められ、グループ・ディスカッション、ディベート、探究学習などの授業スタイルが広がってきます。また、電子黒板や児童・生徒一人一台のタブレット端末の整備もこれまで以上に推進され、教室環境が大きく変化することも見込まれます。

こうした学校現場での「学び方変革」と「学ぶ場の変革」が進む中、内田洋行は東京大学高大接続研究開発センター高大連携推進部門の白水始教授らとともに、教室環境の提供に続けて起こる変化を以下のように想定しました。将来、教員・学校には、授業のデザイン、指導案や教材の作成、授業中の学習プロセスのモニタリングによるつまずきの抽出、データにもとづく評価と授業改善といったPDCAサイクルの構築が求められること、また、その実装にあたっては、これまで以上に学習空間やICTを組み合わせたデータ取得と蓄積・活用が必要となるということです。そのため、以下にコンセプトモデルのイメージを提示するとともに、この実装に向けた共同研究を行います。

内田洋行は、東京大学との共同研究により、次世代の人財育成に向けた教室での「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の実現のため、新たな学びの場の創造で貢献してまいります。

1.ジュニアドクター育成塾:科学技術振興機構の助成による、将来の科学技術イノベーションを牽引する理数系人材の育成を目的とした小中学生向けのプログラム。
2.知の協創 実践学講座:東京大学高大接続研究開発センター高大連携推進部門による、大学と高校との学びを越境する学習機会を提供する高校生向けのプログラム。

東京大学CoREFと内田洋行教育総合研究所 共同研究の概略

「知識構成型ジグソー法」にもとづくアクティブラーニングのモデル構築

東京大学の白水教授らは、独自に開発した「知識構成型ジグソー法」を中心とする各種研究実績をもとに、また、内田洋行は教育ICTビジネスでの豊富な導入実績と「フューチャークラスルーム®」や産官学でのさまざまな共同研究のノウハウを活用して、相互に「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の実現に向けたPDCAサイクルの体系化を目指します。

「知識構成型ジグソー法」は、一人では十分答えが出せない課題を解くために少しずつ違った視点を持った学習者同士が小グループに集まり、相互作用を通して一人一人が学びを深める授業の「型」です。自分の言葉で説明したり、相手の説明に耳を傾けたり、わかろうとする中で自分の考えを変えたりといった一連の活動を繰り返すことで学習内容について理解を深めるとともに、学び方そのものも学ぶことができます。

この授業デザインの準備・実施・評価・改善のプロセスにおいて、コミュニケーションによる児童・生徒の音声、タブレット端末上のワークシートや電子黒板に書き込まれた意見、指導者による指導案や教材、観察記録など、多様なデータが蓄積されます。これらを俯瞰してモニターしていくことで、学習者の理解度や思考プロセスにおける課題の検討を進め、一人一人の学びを深める授業デザインを改善する実践研究を通じて、学習空間・ICT・授業デザインを一体化したコンセプトモデルを構築してまいります。

Future Learning Sciences Roomのイメージ

東京大学 高大接続研究開発センター高大連携推進部門と内田洋行教育総合研究所について

東京大学高大接続研究開発センター高大連携推進部門について

東京大学高大接続研究開発センター高大連携推進部門では、前身となる東京大学大学発教育支援コンソーシアム推進機構(CoREF)が2008年にスタートした大学の専門知を小中高等学校の現場へと発信する取組を基盤とし、知識創造社会の基盤を支える小中高大社接続のために学習科学に基づいて質の高い学び方の学びを実現する実践研究を産官学連携で実施。「協調学習」を引き起こす授業手法の1つとして、複数の学習者が意見を交換して協力し合いながら解を導く学習形態である「知識構成型ジグソー法」を開発。これを軸に「新しい学びプロジェクト」「未来を拓く『学び』プロジェクト」など、初等中等教育での「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた実践研究を行っている。

内田洋行教育総合研究所について

内田洋行は、1人1台端末の導入や無線環境の構築、クラウドサービス、保守サポートまで、全国各地の学校に、幅広く、教育ICTビジネスを展開する一方で、次世代の教育研究に取り組み、1998年、内田洋行教育総合研究所を発足。総務省「フューチャースクール推進事業(2010年)」、文科省「学びのイノベーション事業(2011~2013年)」ほか、産官学で次世代の教育について研究を進める。そのノウハウをもとに、2010年には未来の学習空間「フューチャークラスルーム®」を独自に考案し、内田洋行新川本社、大阪支店に設置した。2013年には筑波大学附属小学校に「未来の教室」を構築して実証研究を進め、2016年にはインテル株式会社と「アクティブ・ラーニング」実現のための協業を発表している。

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