プレスリリース
2021/2/1
滋賀県教育委員会、京都大学、内田洋行、
高等学校を対象に「『説明できるAI』実証研究」で三者連携協定を締結
滋賀県教育委員会(教育長 福永忠克)は、令和3年2月1日(月)、国立大学法人京都大学 学術情報メディアセンター(同教授、緒方広明)、株式会社内田洋行(代表:大久保昇)と、高等学校の学習・指導において次世代人工知能(AI)で分析データを導き出す実証研究に関する三者連携協定を締結しましたので、お知らせいたします。このAI分析に関する実証研究は、文部科学省「GIGAスクール構想」後を見据えて実施するもので、全国で2例目の協定となる先進的な取り組みとなります。
滋賀県教育委員会では、国のGIGAスクール構想等に基づき、令和2年度に県立学校の学習用端末や校内ネットワークの整備を実施しました。県立高等学校では、令和4年度からBYODによる1人1台端末の環境を目指しており、それに向けて、令和3年度に一部の学校で先行してBYODの導入を行います。また、通信環境においては、この実証研究とは別に、文部科学省のGIGAスクール構想を実りあるものとするべく都道府県の教育委員会として全国に先駆ける形で国立情報学研究所が運用する学術情報ネットワーク「SINET」※ への接続を行い、各県立学校からの通信環境の高速化の実現と大学との連携強化を行ってまいりました。こうした教育ICTへの先進的な取り組みを経まして、このたび、新たに教育ビックデータを活用した「個別最適な学び」の実現を目指すこととしました。
一方、京都大学学術情報メディアセンターと内田洋行教育総合研究所は、令和2年7月より国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「人と共に進化する次世代人工知能に関する技術開発事業」を受託し、学校の学習・指導に有効な分析データを導き出す「説明できるAI」エンジンの開発を行っています。これは学習者が主体的な意欲をもってより納得して課題に取り組めたり、教師が生徒のつまずきを把握して適切な指導を行ったりできる教育現場に適したAI活用を目指すものです。令和3年度からは、京都市教育委員会の協力により、同市内の学校を対象とする実証研究を予定しています。
こうした状況のもと滋賀県教育委員会は、GIGAスクール構想の実現後を見据えて、学習者個々人に寄り添ったよりきめ細かい学習・指導のために学習データの活用が重要になると考えることから、京都大学学術情報メディアセンターと内田洋行の取り組みに賛同し、三者連携協定を締結したものです。今後は、三者共同で、滋賀県内の県立高等学校2校をモデルとして実証研究を進めてまいります。
協定および実証研究の概要は以下の通りです。
三者連携協定の概要
■締結者
滋賀県教育委員会 教育長 福永 忠克
国立大学法人京都大学 学術情報メディアセンター教授 緒方 広明
株式会社内田洋行 代表取締役社長 大久保 昇
■協定期間
令和3年(2021年)2月1日から令和4年(2022年)3月31日まで
■概要
滋賀県教育委員会は実証研究校を選定します。内田洋行は本実証研究の履行に必要なソフトウェア、サービスおよび教材等を実証研究校に導入し、実証研究校は教育活動を展開します。京都大学および内田洋行は実証研究校における教育活動を通して、教員の指導状況を示す指導ログおよび生徒の学習状況(学習態度や知識活用状況)を示す学習ログを収集して、当該データの解析を行います。
■実証研究校
令和3年度より先行してBYODを導入する滋賀県立大津商業高等学校、滋賀県立彦根東高等学校の2校を実証研究校とします。
実証研究の概要
実証研究校2校では、校内での教育活動や家庭学習において、スタディ・ログの蓄積、データ解析を通して、分からない分野の学習を繰り返し行い、基礎学力の確実な習得を実現したり、また、学習傾向を分析し、生徒の能力や適性に応じた「個別最適な学び」の実現を目指したりするとともに、教員が指導と評価にも活用したりすることを考えています。
滋賀県教育委員会は、その成果を全県立高等学校に普及することで「個別最適な学び」、「協働的な学び」、さらには「探究的な学び」を深めていくことができるなど、学びの質を高めることが期待できると考えています。
京都大学学術情報メディアセンターと内田洋行教育総合研究所は、システムが生成した説明が、学習者や教師によってどの程度受容されたか、システムの説明によって、学習者の理解度がどの程度向上したか、学習者がシステムを利用することで、教員の負担がどの程度で軽減するかの実証データの収集を行い、学校現場に適したデータ活用のあり方についての研究に活用します。
※国立情報学研究所が全国の大学、研究機関等の学術情報基盤として構築・運用している情報通信ネットワーク。なお、現状で接続している各教育委員会は、実証実験及び大学との共同研究契約によるものです。https://www.sinet.ad.jp/
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【このプレスリリースのお問い合わせ先】
滋賀県教育委員会事務局 高校教育課 御厨篤志
TEL. 077(528)4575
国立大学法人京都大学学術情報メディアセンター 緒方研究室
TEL. 075(753)9052
株式会社内田洋行 教育総合研究所 伊藤博康・平野智紀
株式会社内田洋行 広報部 佐藤将一郎・深澤琴絵
TEL. 03(3555)4072