プレスリリース

2022/11/28

内田洋行、鴻巣市と最先端の教育ICT空間を構築、事業連携を締結
PBL(課題解決型授業)とICT活用で子どもの資質・能力の向上と新たなラボ教室の開発を目指す

左から、永塚 壽一氏(鴻巣市立鴻巣中央小学校 校長)、齊藤 隆志氏(鴻巣市教育委員会 教育部部長)、高橋 大造氏(インテル株式会社 執行役員パートナー事業本部 本部長)、大久保 昇(株式会社内田洋行 代表取締役社長)、望月 栄氏(鴻巣市教育委員会教育長)、並木 正年氏(鴻巣市長)

株式会社内田洋行(本社:東京都中央区 代表取締役社長:大久保昇、以下内田洋行)は、埼玉県鴻巣市(市長:並木正年、教育長:望月栄、以下鴻巣市)と、PBL型学習(Project Based Learning:問題解決型学習)と21世紀スキル育成のための教育推進についての事業連携を11月28日に締結しました。また、そのための研究推進の場として、鴻巣市立鴻巣中央小学校に最先端のICT機器を実装した学習空間「のすっ子未来教室」の開設の披露を行います。

鴻巣市と内田洋行の事業連携の背景

内田洋行がICT環境整備を行った鴻巣市では、教育ICT基盤を全てフルクラウド化し、ゼロトラストセキュリティや教職員用のPC統合など、国内最先端の教育ICT環境を実現し、文部科学省が進めた全国小中学校での1人1台を目指したGIGAスクール構想を支えるモデルケースとなる「鴻巣モデル」の構築がなされました。そのGIGAスクール構想後の教育現場では、先端テクノロジーやデータを活用して社会課題の解決を図り、新たな価値を創造する人材の育成が求められています。

令和6年度までの「鴻巣市学校教育情報化推進計画」では、『新しい時代で活躍するために必要な資質・能力』の育成を目指し、探求的な見方や自律的な考え方を働かせる総合的・教科横断的な学習を重視しています。自ら課題を発見し他者と解決を図るために児童・生徒主体のPBLを取り入れ、未知な社会課題を予測し、テクノロジーを思う存分に活用しながら調査や思考を繰り返し、協働して解決することを通じて発表や情報発信を行うものです。PBLとは、児童・生徒が主体的に仲間と協働しながらプロジェクトや課題解決に取り組む探求型の学習です。その学習プロセスを通じて、将来の社会的課題を解決するために必要な知識・技能を学び、資質・能力を獲得していくものです。

内田洋行は、様々な体験を通じて啓発し合う革新的な未来の学習空間「フューチャークラスルームラボラトリー®」を開発し、将来にむけての教室環境づくりで先導的な役割を果たしてきたことにより、この「のすっ子未来教室」を構築し、効果検証や実践事例の蓄積を通じて、インテル株式会社(以下インテル)とともに21世紀スキル育成のための教育を推進します。

今後はエビデンスを取りまとめて公表するなど、全国小中学校3万校に向けて新たな協働的な学びを進める教室と教育のモデル創りに取り組んでまいります。また将来的には、鴻巣市で取り組む教育データ活用と学習空間で行う様々な活動データを繋げることで、より児童・生徒毎に最適な学びの実現を目指します。

内田洋行は、本事業連携協定に基づき、以下の事項について連携・協力いたします。

■目的:鴻巣市立鴻巣中央小学校にPBLならびに21世紀型スキル育成を推進するための教育環境整備を目的に、2年間の実証研究を行う。

■概要:学習空間「のすっ子未来教室」の構築、ICT利活用教育の指導及び効果測定の実施と、政府、自治体向けに啓発、提言活動の実施。学校でのPBLや21世紀型スキル育成教育カリキュラムの開発支援・協力ならびに研究発表会、講演会、教員研修等の実施への協力。

テクノロジーの活用と自律的な学びを高める「のすっ子未来教室」の特徴

「のすっ子未来教室」では、発表のステージの場を意識したアーチ型のカーペットが広がります。デジタルでの発表・創作活動を重視した実験教室として、ICTを利活用しやすい空間デザインと可動性を重視した机や椅子を採用しています。グループワークの教育場面に応じて即興的にレイアウトを動かすなど、躍動感のある授業を行えます。

最新のICT機器を自在に実装できる空間構築ユニット「SmartInfill(スマートインフィル)」と大型スクリーンを設置し、遠隔地と等身大サイズでダイナミックな授業が行える「RealSizePresenter(リアルサイズプレゼンター)」を用いて、児童・生徒が制作するデジタル作品を大画面に効果的に投影し、もっと発表したい、もっと伝えたいという意欲を刺激します。生徒端末から大画面スクリーンに簡単に画面投影できる「wiviaR+(ワイビア)」によって、生徒同士の作品やまとめ方法を比較し、グループディスカッションを行える教室空間としました。教室のICT機器類をシンプルな操作で制御し、先生や生徒の画面を切り替えて授業での新たなコミュニケーションの創出にチャレンジします。

積極的な創作を支援するため、高性能パソコンとモニター21セットを児童2人に1台使用できるよう配備し、デジタルコンテンツ動画制作、プログラミング、モデリングやシミュレーションなどを取り入れ、3Dプリンターでのものづくりやデータを活用した学習など、協働した学びを作品化し発信を行う環境としています。また、外部のゲストティーチャーをオンラインで招いた授業ができることも想定しています。

また「のすっ子未来教室」の環境を活用して、教職員に向けた授業デザイン、指導案や教材の作成などを支援する教員研修や、インテルが制作したIntel® Teach Program教員研修ならびにSkills for Innovationカリキュラムの研修も行います。なお、「のすっ子未来教室」では、デル・テクノロジーズの支援も得ています。(高性能パソコン、モニター21セット。デル・テクノロジーズ OptiPlex 7090 Micro/第11世代インテル® Core vPro® プロセッサ-搭載他)

鴻巣市立鴻巣中央小学校の取組み

鴻巣中央小学校では各教科の学習と、PBL型授業で「のすっ子未来教室」を用いる計画です。また「学びの社会化(学習成果を公表する)」を目指し、「のすっ子未来教室」を活用して外に向けたアウトプットメディアを発表するなど、鴻巣市の地域社会へも積極的に情報発信を考えています。

【教科での活用例】
  • 総合的な学習の時間:ものづくり、動画づくり、温度計・モーターの制御などへの活用
  • 理科:電気の実験、方位磁針の作成、プログラミング
  • 図工:3Dプリンター等でマイキャラクター作り、アイディアグッズ制作
  • 家庭科:アイディアグッズ制作
  • 国語:登場人物を作り動かす、音読劇制作
  • 音楽:学習用端末で音楽、楽曲、動画づくり、学級歌作り、楽譜づくり
  • 算数:関数のプログラミングへの応用
【PBL型授業実践例】

「総合的な学習の時間」を核としてPBL型授業を展開し、2年後には教科横断的な学習での活用を目標としています。

各学年で考える授業プラン

3年生:すてき発見!わたしたちの町 こうのす ~私たちの町をPRしよう~写真やインタビューをまとめる

4年生:みんなが幸せに生きるために ~多様な社会で生きること~点字を気軽に打てる用具の開発

5年生:災害が起きた時、どうする?3Dプリンタで食器を作りにチャレンジ

6年生:「未来を変えるのはわたしたち」企業連携やアイテム開発

これらを下記のような授業の流れでPBLを行い、まとめ・表現活動の充実を図ります。

①テーマと出会う ②テーマについて知る ③テーマ設定 ④調べる・考える・創る・実践する・ふりかえるを繰り返して解決する ⑤まとめる ⑥伝える

鴻巣市立鴻巣中央小学校における教師のPBL学習法研修

内田洋行の協働学習教室構築事例のご紹介

筑波大学附属小学校「フューチャークラスルーム®」2013年1人1台のタブレット端末を有効活用する教育事例の開発を実施。教科毎に特色あるICTを活用した具体的な授業事例の開発や指導方法や学習環境の研究を筑波大学附属小学校と共同で行う。

学芸大学附属竹早小学校「SUGOI部屋」2022年設置普通教室では体験できない学習活動をメインに、今後の技術革新や、ICTを活用した多様な授業にフレキシブルに対応できる拡張性を持った教室空間。

宮城教育大学「内田洋行フューチャークラスルームラボ(FCR Lab.)」2022年設置GIGAスクール構想後の教員養成では、ICT機器を使いこなしながら、子どもたちの「情報活用能力」を発揮させる新たな教員像が求められています。最先端の学修環境を、シンプルな操作で利用シーンに応じた運用をすることができます。学生同士が相互に交流を行い、啓発し合う革新的な実験場です。

内田洋行FutureClassRoom® 2010年大阪・2011年東京アクティブ・ラーニングの場として、ICT環境を実践的に検証するために、各省庁や大学との教育研究ノウハウをもとに独自で開発しました。最先端のICT環境と、可変性のある空間で、クラウド基盤のデジタル教材を活用した学習空間を提案しています。 

内田洋行の教育ICT・教育データ活用等に関する取組み

1998年に教育総合研究所を設立、大学等と共同研究を進めるとともに、経済産業省、総務省や文部科学省での様々な受託事業、全国学力・学習状況調査の委託事業も行い、そこから得た知見の普及活動もしております。1人1台端末を有効に活用するため、未来の学習空間「フューチャークラスルーム®」を独自に企画し、2010年には内田洋行大阪支店、2011年には東京新川本社に設置しました。

直近では、文部科学省CBTシステム「MEXCBT」(1)事業を幹事企業として受託し構築するとともに、MEXCBTに接続できる学習用eポータル「L-Gate」をいち早く開発、学習者が端末を日常的に使う中から、児童・生徒毎に最適化された学習に役立てるスタディログの活用を目指しています。また文部科学省「就学事務システム(学齢簿編成等)の標準化を推進するための調査研究」事業や「教育データの標準化・利活用推進事業」の調査研究に参画し、自治体・教育委員会や学校での情報システムで取得・管理しているデータの有効活用を目指し、データの管理や連携に向けての課題解決や調査を行っています。さらに教育データの可視化と活用のための標準化を促進するため、「一般社団法人日本IMS協会」の設立に参画し、日本での国際技術標準に準拠したデータ連携の普及活動に協力、自社アプリの標準化への対応を図るともに、各社のデジタルコンテンツ・ツールと広く連携を進めています。

なおインテル株式会社とは、全国に先駆けて1人1台PCを活用した実証研究を共同で開始し、2008年千葉県柏市ならびに2009年東京都中央区の小学校で実施しました。2016年には「アダプティブ・ラーニング」実現のための新たな教育方法の改善・実現に向けた両社の協業を発表しています。

※1 MEXT(文部科学省の略称) Computer Based Testing の略。

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【このリリースのお問い合わせ先】

株式会社内田洋行
広報部 佐藤 将一郎・深澤 琴絵
TEL. 03(3555)4072 FAX. 03(3555)4620