プレスリリース

2023/12/15

内田洋行とPKSHAグループ、こども家庭庁の実証事業として埼玉県戸田市のこどもの不登校をAIで予測する取組みに参画
~事前予測により学校現場におけるプッシュ型支援に繋げる~

株式会社内田洋行(本社:東京都中央区 代表取締役社長:大久保昇、以下内田洋行)は、株式会社PKSHA Technology(パークシャテクノロジー)(代表取締役:上野山 勝也、以下PKSHA)の合弁グループ会社である株式会社アルゴノート(代表取締役:佐野長紀)と連携し、こども家庭庁が実施する「こどもデータ連携実証事業」に採択された埼玉県戸田市(市長:菅原文仁、教育長:戸ヶ﨑勤、以下戸田市)において、AIを用いて不登校を予測するモデルの実証研究を開始しましたのでお知らせいたします。

本実証研究は、2023年11月より戸田市内のパイロット校での試行をスタートし、12月より全18校の小中学校へ展開しているところです。

開発背景と戸田市教育委員会の目指すビジョン

近年、児童虐待、いじめ、不登校、ヤングケアラー等、子どもを取り巻く問題が深刻化し、相談窓口等の設置だけでは解決できないケースも多く、また、子ども自身がSOSを発信することが難しい実情があることから、プッシュ型支援の実現が喫緊の課題となっています。その一つの解決策として、AIを活用した予兆検知モデルは、プッシュ型の支援の一助になるのではないかと注目されています。

戸田市教育委員会は、GIGAスクール構想以前の早い段階から学習者用端末の導入を進めるなど、学校のICT環境整備に力を入れてきました。また、約100の企業やNPO、大学、研究機関と連携し、プログラミング教育やデジタルシティズンシップ教育の推進、不登校支援、インクルーシブ教育の充実など先進的な教育改革に取り組んでいます。こどもデータ連携では、2022年度に開始したデジタル庁「こどもに関する各種データの連携による支援実証事業」に採択されました。学校や教育委員会、そして各地方自治体が部署ごとに保有する教育・保育・福祉・医療などのデータを、個人情報の保護や倫理面での配慮を行いつつ分野横断的に連携し、可視化することで真に支援が必要な子どもの発見、プッシュ型の支援を目指した教育総合データベースの整備を進めており、「誰一人取り残されない教育の実現」というビジョンを掲げています。

この度、2023年7月から教育の分野で豊富な実績を持つ内田洋行が連携事業者として参画し、データ分析全体のプロジェクト管理を行い、日本トップクラスのAI開発力を持つPKSHAグループと協力して教育現場の状況を踏まえた精度の高いデータ分析に取組みます。

戸田市「こどもデータ連携実証事業」不登校予測モデルについて

■教育現場の視点からデータの整理や分析を取り決める

内田洋行は、自治体、学校に対して、子どものデータに関わる様々なソリューションやサービスを開発、販売、サポートしています。そのため住民情報、虐待相談、保健指導、健診情報、成績や学力の情報、学習の履歴など多岐にわたる子どものデータが、教育現場でどのように使われ、どのように連携するのか、さらにはそのデータを利活用するにはどうすればよいかなど、データの種類や意味、更新頻度・時期などの特性を捉えています。この教育現場の視点を大切にし、データの整理や分析を支援します。

教育データの分析フェーズでは、近い将来に不登校になりうる可能性を予測してリスクスコアとして表示することを想定しています。実際の予測モデルの構築には、教育の有識者からヒアリングをして意見を取り入れながら校務支援システムに登録されている「出欠・遅刻・早退などの状況」「保健室利用状況」などのデータのほか、「埼玉県学力・学習状況調査(学力調査・質問紙調査)」「学校生活に係るアンケート」「教育相談の利用の有無」「学校健診結果」等のその他のデータを用います。このシステムの開発では、PKSHAと連携してAIのアルゴリズムの設計と構築をすすめていきます。リスクスコアとその根拠となるデータ項目を表示することで、教職員による具体的な支援活動に結びつけていくことを検討しています。

■個人情報に配慮したデータの集約・分析と活用について

戸田市が保持している子どもに関する様々なデータを、個人情報保護法令に基づき連携するほか、戸田市が2022年12月に独自に策定した「教育データの利活用に関するガイドライン」を遵守した上で取組み、児童生徒や保護者に対する丁寧な説明を行いながらデータベースを活用するなど、個人の安心を担保できる形に整備した上でデータ活用を行います。

■将来に向けて

今後、長期的に予測を継続して行う事で、複数年データの利用や、データ項目拡張、日次のアンケートなど鮮度の高いデータの利用などに取り組み、不登校の予兆検知モデルの精度改善につとめていきます。今後、いじめなどのSOSの検知に取り組むことを検討しています。また、今回の実証研究を通して、AIを教育現場の支援に活用することで、教職員が子どもたち一人ひとりの見守りを行える環境づくりへ繋げ、全国の自治体が活用できるモデルの実現を目指します。

■戸田市教育委員会様から内田洋行へメッセージ

豊富な業務実績による教育分野への知見と高いデータ分析技術を駆使して、機械学習による不登校予測モデルを開発し精度改善に取組んでいただいております。この不登校予測モデルが真に学校の役に立ち、使い続けてもらえるようにするために、先生方が専門的知識をもたずに理解でき、実感が伴うモデルに育てていくことが大切です。内田洋行様には学校との打合せに同席するなど戸田市教育委員会の伴走支援をいただいており、本市の目指す「誰一人取り残されない、子どもたち一人一人に応じた支援の実現」に向けて、モデル開発・精度向上を引き続きお願いします。

■PKSHA Technology代表取締役 上野山勝也より内田洋行へメッセージ

PKSHAグループは、創業以来12年にわたりソフトウエアの社会実装に取り組んでまいりました。技術の発展と人口減少が同時発生する現代において、社会のあらゆる領域でAI活用の需要が高まっています。

この度、ICT環境整備に早期より取組む戸田市様のもと、教育業界及びその周辺データの利活用におけるリーディングカンパニーである内田洋行様との共同開発に着手し、学校現場で活動する方々にとって最適な予兆検知モデルの実現を目指します。人と共進化するソフトウエアを形にし、戸田市様が描く「誰一人取り残されない、子どもたち一人一人に応じた支援の実現」の一助となるべく邁進する所存です。

PKSHA Technology、AlgoNautについて

■PKSHA Technology(パークシャテクノロジー)について

「未来のソフトウエアを形にする」をミッションに、企業と人の未来の関係性を創るべく自社開発した機械学習/深層学習領域のアルゴリズムを用いたAIソリューションの開発・AI SaaSの提供を行っています。自然言語処理技術を用いた自動応答や、画像/動画認識、予測モデルなど多岐に渡る技術をベースに顧客の課題にあわせた解決策を提供する他、共通課題を解決するAI SaaSの展開により、ソフトウエアの社会実装を多面的に支援し、人とソフトウエアが共に進化する豊かな社会を目指します。

会社名株式会社PKSHA Technology
所在地東京都文京区本郷 2-35-10 本郷瀬川ビル 4階
代表者代表取締役 上野山 勝也
URLhttps://www.pkshatech.com/
■AlgoNaut(アルゴノート)について

AlgoNautは、東京海上ホールディングスとPKSHA Technologyが両社の経営資源を最大限に生かすために設立した合弁会社です。 東京海上グループ各社が積み上げてきたリスクデータやリスク予防ノウハウと、 PKSHAが自社開発した機械学習・深層学習領域のアルゴリズムを用いて お客様や社会を取り巻くリスクに対応するソリューション事業の企画・開発を行っています。

会社名株式会社AlgoNaut
所在地東京都文京区本郷 2-35-10 本郷瀬川ビル 4階
代表者代表取締役 佐野 長紀
URLhttps://www.algonaut.co.jp/

内田洋行の教育ICT・教育データ活用等に関する取組み

1995年インターネットの教育利用を目的とする経済産業省「100校プロジェクト」に参画、その実績を基に1998年に内田洋行教育総合研究所を設置し、その後文部科学省・総務省他多くの事業に参画しました。文部科学省「情報活用能力調査(2013年)」「全国学力・学習状況調査 英語『話すこと』調査(2019年)」を受託するなど、学校現場でICTを活用した学力評価に関する取組を進めています。直近では、文部科学省CBTシステム「MEXCBT※1」の受託事業の幹事企業として構築と運用を受託するとともに、文部科学省「就学事務システム(学齢簿編成等)の標準化を推進するための調査研究」事業や「教育データの標準化・利活用推進事業」の調査研究に参画し、自治体・教育委員会や学校の教育情報システムで取得・管理しているデータの有効活用による効果を検証し、データの管理や連携に向けての課題解決や調査を行っています。

また教育データの可視化と活用のための標準化を促進するため、「一般社団法人日本1EdTech協会(日本IMS)」の設立に参画し、日本での国際技術標準に準拠したデータ連携の普及活動に協力し、自社のアプリケーションの標準化対応を図るとともに、各社の持つデジタルコンテンツ・ツールと広く連携を進めるために学習用eポータル「L-Gate※2」を開発。学習者が端末を日常的に使う中から、児童・生徒毎に最適化された学習に役立てるスタディログの活用を通じてデジタル教育エコシステムの実現を目指しています。

※1:MEXT Computer Based Testing (文部科学省によるコンピューター学力テストの略)。内田洋行教育総合研究所は、幹事企業として参画し令和2年度にプロトタイプ開発、令和3年度に本番開発、令和4年度に追加開発とシステム運用を進めています。

※2:内田洋行の学習eポータル「L-Gate」は、2023年12月現在、教育委員会・学校法人約750団体、約9500校、約300万アカウントに活用が拡がっております。

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【このリリースのお問い合わせ先】

株式会社内田洋行
広報部 佐藤 将一郎・深澤 琴絵
TEL. 03(3555)4072 FAX. 03(3555)4620