プレスリリース

2024/1/31

内田洋行、京都市らと北山杉・北山丸太の歴史や魅力、最新活用事例をまとめた『京都・北山杉PR BOOK』を刊行

株式会社内田洋行(本社:東京都中央区、代表取締役社長:大久保昇)は、2022年8月に締結した「建築物等における北山杉の利用促進協定」(以下「本協定」)に基づく取り組みの一環として、以下の関係者と協力し、『京都・北山杉PR BOOK』を制作・公表しましたのでお知らせします。

【発行】京都市
【制作】京都北山丸太生産協同組合、京北銘木生産協同組合、株式会社内田洋行、株式会社神谷製作所、菊池建設株式会社、ナイス株式会社、三井住友信託銀行株式会社

「建築物等における北山杉の利用促進協定」と内田洋行の取り組みについて

本協定は、北山杉ブランドの再生と景観も含めた木の文化の継承のために、北山杉の利用促進に向けた方策を検討・実行するものです。

当社は国産木材の普及のために需要者の都市部と生産者を結ぶ活動として、2004年より宮崎県や北海道、栃木県をはじめとした全国各地の国産木材活用を開始しています。産地での原木調達から製材及び加工までの木材活用マネジメントなど、未利用材等の利用にも力を入れております。こうした活動を中心に、学校や企業などに対して木製家具の販売を積極的に行うことで、CO2の固定化量が内田洋行グループの年間排出量(Scope1及びScope2)に匹敵する量となっています。今後も北山杉の利用促進協定における活動を推進し、SDGsや2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、北山杉を取り入れた空間づくりや需要開発に積極的に取組んでまいります。

床柱に北山杉を取り入れた組立和室
北山杉製ルーバーで空間を演出
北山杉製ネームプレート
■以下、本日、コンソーシアムより発表されたプレスリリースです。

世界に誇る日本の木造建築、数寄屋造りを支える北山杉を守り、次世代に継承するために

北山杉・北山丸太の歴史や魅力、
最新活用事例をまとめた『京都・北山杉PR BOOK』を刊行

〜中村外二工務店 中村公治氏やNAP建築設計事務所 中村拓志氏等のインタビューも収録〜

京都市、京都北山丸太生産協同組合、京北銘木生産協同組合、株式会社内田洋行、菊池建設株式会社、ナイス株式会社、三井住友信託銀行株式会社は、2022年8月に締結した「建築物等における北山杉の利用促進協定()」に基づく取組の一環として、北山杉の歴史や魅力、活用事例をまとめた『京都・北山杉PR BOOK』を刊行しました。

■PR BOOK制作の背景
〜今後、数寄屋等に使われる高品質の丸太を提供できなくなる可能性も〜

室町時代、「茶の湯の文化」を大成した千利休によって見出された北山杉。以来、それを支える茶室や数寄屋の建築用材には欠かせない素材として重用され、桂離宮、修学院離宮といった様々な建築物にも使われてきました。昭和以降に和室の床柱として需要のピークを迎え、平成元年(1989年)には約24万本が生産されました。しかし、和室の減少によって需要が低迷し、令和2年(2020年)には約1万本とピーク時の1/10以下となっています。

加えて生産の中心地である中川地区では人口の60%以上が65歳以上の高齢者であり、育林から加工まで通常の杉の数倍以上の手がかかる北山杉の生産を担う後継者や新規の林業就業者の不足にも課題を抱えています。このまま生産が落ち込み続ければ、現在の品質の北山丸太を生産できなくなることが危惧されます。

〜数寄屋造りという世界に誇る日本の技術・文化を守り、次世代に継承するために〜

日本の木造建築技術は世界的にも高い評価を受けています。中でも木肌を生かし、丸太を多用し自然との共生を美しく風流な世界観で表現する建築様式「数寄屋造り」は、日本を代表する文化の1つです。しかし、北山杉がなくなれば、数寄屋造りは成り立たないと言っても過言ではありません。また、それに付随する高い育林技術や大工の技術、大工道具の技術も消滅してしまいます。600年以上かけて培われた伝統技術をここで失えば、これを取り戻すことは不可能です。

そのため、多くの方に魅力を伝えて北山杉の利用を推進し、生産と育林を繰り返す資源の循環を再生して文化と技術を次世代に継承することを目的に、本PR BOOKを制作したものです。

■PR BOOKの内容

北山杉の歴史から独自の育林、加工技術のご紹介とともに、実際の使い手である建築家の皆様へのインタビューも収録しました。インタビューには数寄屋の名工、中村外二工務店 代表の中村公治氏のほか、世界的に活躍されるNAP建築設計事務所 代表の中村拓志氏、さらに“数寄屋のベンチャー”として京都を拠点に様々な建築やプロダクトデザインを手掛けられる吉原組の吉原雅人氏にご協力いただき、使い手から見た北山杉・北山丸太の独自性や唯一無二の魅力などについてお話しいただきました。さらに最新の現代建築における利用事例も多く掲載しています。

<目次>

  • 北山杉の歴史
  • 特別インタビュー
  • 数寄屋建築の世界
  • 新しい利活用の広がり
  • 「建築物等における北山杉の利活用促進協定」利活用者各社による取組
  • その他の利活用事例
  • 北山杉視察ツアーレポート
  • 北山丸太製品
  • 北山杉・北山丸太製品等に関するお問合せ
■PR BOOK掲載先

以下のリンクよりご覧になれます。

(※)建築物等における北山杉の利用促進協定 概要

「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」第15条第1項に基づき、北山林業の持続的かつ健全な発展や北山杉の利用促進に関する相互連携等を図ることを目的に、京都市と北山杉の利活用者、生産者により締結。

協定締結日2022年8月23日
有効期間協定締結日から2026年3月末まで
協定締結者<北山杉の利活用者>
株式会社内田洋行、菊池建設株式会社、 ナイス株式会社、三井住友信託銀行株式会社、
<北山杉の生産者>
京都北山丸太生産協同組合、京北銘木生産協同組合
<行政>
京都市
■600年もの歴史を誇る北山杉とは

『じつに真直ぐにそろって立った杉で、人の心込めた手入れが、一目見てわかる。銘木の北山丸太は、この村でしか出来ない』

これは、日本を代表する文豪、川端康成の小説「古都」の一文です。ここに描かれる、多くの人々を魅了してきた美林景観は、600年以上の歴史を持つ北山林業独特の施業により形作られてきました。手間暇をかけて育てられる北山杉は、木立(こだち)が天に向かって真っすぐにのびる姿から、「のびゆく京都」のシンボルとして「京都府の木」に選定されています。

北山杉の皮を剥き、表面を磨き上げることで作られる北山丸太は、節がなく艶やかな木肌を持ち、上下同一の太さの円直材で、床柱としては最適の材質を誇り、京都府の伝統工芸品や京都市の伝統産業品にも指定されています。茶室や床の間に欠かせない素材として桂離宮や鹿苑寺(金閣寺)等の有名建築物をはじめ、一般住宅においても「魅せる木材」として多用されてきました。

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【このリリースのお問い合わせ先】

株式会社内田洋行
広報部 佐藤 将一郎・深澤 琴絵
TEL. 03(3555)4072 FAX. 03(3555)4620