東京都立 久我山青光学園(東京都 世田谷区)

使いやすさ、わかりやすさを追求したオリジナル空間。


久我山青光学園は、既存の盲学校に知的障害教育部門の校舎を新増築し、日本初の視覚障害教育部門と知覚障害教育部門の併置校として開校しました。
設計にあたっては、普通学校にはない特殊なニーズが多く、内田洋行が設計事務所に、特別支援教育のノウハウを提供する形で連携。現場の先生の意見を取り入れながら、空間提案、造作家具の製作までお手伝いしました。角にアールをつけた造作家具、知的障害のある子どもたちが使いやすいロッカー、色で自分の居場所を識別できる廊下や階段など、細かな工夫が随所にみられます。
設計段階から関わった同校の小川達夫主幹教諭からは「子どもたち一人ひとりの実態に合わせ、どんな空間が必要か話し合いを重ねました。ほぼ希望どおりの学校ができ満足しています」と評価をいただいています。

 

本が大好きな子どもたちのために設置した図書室。椅子に座って本を読んだり、マットの上で車座になって読み聞かせを聞いたり、自由なスタイルで本を楽しむことができる。

図工室の特注ロッカー。粘土作品等の乾燥棚としても使えるように、扉に通気性の良い杉のルーバーをつけている。また、自由に創作活動ができるよう、図工室の床材は簡単に汚れをふき取れる素材を使用。

シアタールーム。音楽室として使用しているが、授業の中で、音楽会や演劇など、子どもたちの発表の場として活用。子どもたちの意欲を引き出し、達成感や自信を持たせることができる。

特別支援教育では、子どもたちの障害の程度にあわせて、教員が教材を手作りすることが多い。ここはそのための教材開発室。電動のこぎりなどの工具はもちろん、粉塵を防ぐため吸塵装置を完備。

写真左手のロッカーは造作家具。名札のほかにも顔写真を貼って、視覚的に自分の場所がわかるようになっている。奥は各自の学習スペース。1つの教室を、教科学習、身辺自立のための学習、作業学習と多目的に利用する。

知的障害のある子どもには視覚教材が特に効果的なため、全普通教室にプラズマTVを設置。使用しないときは、子どもたちの集中を妨げないよう、ホワイトボードの扉を閉め収納。

小川 達夫 主幹教諭
東京都立 久我山青光学園 知的部門

東京都立 久我山青光学園
久我山青光学園は、平成22年4月に開校した、日本で最初の視覚障害教育部門と知覚障害教育部門の併置校。基本設計段階から、現場の教員が参加し、子どもたちそれぞれの実態に合わせたきめ細かな教育ができる環境が実現した。
詳しくは: http://www.kugayama-sh.metro.tokyo.jp/

2012年1月公開。所属や名称、掲載内容は取材当時のものです。