EduMallでの「たつじんテスト」販売終了と今後のご案内

2023 年からEduMallを通じてご提供してきた「たつじんテスト」について、このたび、開発者である今井むつみ先生が、学校との直接的な対話やサポートを重視されるとのご意向から、当社のEduMallからの販売は終了させていただくことになりました。

今回の販売終了は、開発者今井むつみ先生の意図と思いを反映するものです。
今後「たつじんテスト」の導入をお考えのお客様は、一般社団法人 今井むつみ教育研究所へ直接お問い合わせください。

お問い合わせ先
一般社団法人 今井むつみ教育研究所
https://sites.google.com/view/imai-edulab/
imai.edulab@gmail.com

今井むつみ先生から

「たつじんテスト」は、各教科、単元で学習する内容を子どもにどれだけ定着しているかをみる「学力調査」ではありません。その逆で、子どもたちが単元の内容を学習するにあたって、前提となる知識や思考力を備えているかを測るものです。これまで実施してくださった学校では、「わかっていて当たり前」と思っていた基本的な概念を多くの子どもたちが誤解していることがわかりました。また、学力が高い子どもと学力に伸び悩む子どもの間で、認知能力や情報処理能力にどのような違いがあるのかも明らかになりました。

つまり、子どもたちの学びの躓きの原因は、概念の誤解にあると同時に、知識を使って問題解決をするために必要な能力が十分でないことにあることがわかったのです。子どもたちの解答を見た先生方は非常に衝撃を受けると同時に、職員室で学年や学科の壁を越えて、子どもたちの躓きについて、また、その対処法について学校全体で話し合う機会となったという声が数多く、寄せられています。この調査を実施したことで、「先生たちが変わり、学校全体が変わった」という声を聴いています。

ただ、子どもたちの課題を指導に活かすためには、専門的な知識をもった開発者の私が、子どもたちの誤答パターンについてコメント、解説をし、現場の先生がたと対話することがとても大事だということにも気づきました。

「たつじんテスト」の実施後のアンケートでも、問題を解くときに必要な推論を制御する認知能力が十分でないことは躓きとしてわかったが、その対処としてどうしたらよいかがわからない、という声もいただきました。

実際、思考を制御するための認知能力は、知能テストのような問題をたくさん練習しても効果は非常に限定的なのですが、知能テストやクイズを授業に導入している先生がたも見られました。それは認知科学の研究の知見からは推奨される対応策ではありません。むしろ、日常生活の中で、学校での教科単元の学習の中で、あるいは遊びの中で、この能力を伸ばす手立てはたくさん考えられます。

これらの手立ては、認知科学の専門家の私が解説をしないと、それぞれにどのような意味があるのかがわかりにくいかもしれません。実施後アンケートでも、「課題に対応するための手だてについて、自分たちで考えた方向性でよいのかどうか、専門家の意見を聞きたい」という声をお聞きしました。また、この「たつじんテスト」自体が、従来の学力調査と同じようなものだと誤解されている先生方も一定数いらっしゃることもわかりました。

上記のことを踏まえ、今後は、「たつじんテスト」に、開発者である私、今井むつみがより深く、積極的に介入させていただき、調査の結果発見された様々な事例について解釈、解説をし、対処法も先生方と協議したうえでアドバイスさせていただく方式を取りたいと思うに至りました。